第71話
ヒールを使った瞬間、ラーナは全身を震わせて艶かしい声を漏らした。
「んんんんんんんんん!!! ハァアアアアア!!!」
何度も何度もその体を震わせて、それが落ち着くと荒い息を吐いた。
「ソルトさん、なんて…素晴らしい…」
ラーナの声は震え、その顔には恍惚とした満足げな微笑が浮かんでいた。
その表情に俺の心臓は鼓動を速め、全身が緊張と興奮でいっぱいになった。
「失礼」
荒い息を吐くラーナの唇にキスをする。
だが、その唇から熱い吐息と、よだれが漏れる。
ここで冷静さを保たなければならない。紳士として理性を失ってはいけない。
「ラーナ、まだまだこれからです。夜は長いのです。ゆっくり楽しみましょう」
俺は片方の手でそっと彼女の手を握り、優しく指を絡めた。
ラーナの手のぬくもりが伝わり、さらに快感を高めるようにもう片方で彼女の肩へ手を回した。
「少しだけ肩のマッサージをしてもよろしいですか?」
「えっ! あっはい」
俺は指先にヒールを集中させて、肩に触れる。
「ハァ〜」
リラックスとマッサージの快感でラーナが深々と息を吐いた。
俺はラーナ様の肩に手を置いて、緊張を和らげるように、ゆっくりと肩を揉みほぐす。
ラーナの肩は爆乳を支えているだけあって、かなりの硬さがあり、ここまで体を緊張させていたことが伝わってくる。
「このマッサージはリラックスするためのものです。無理をせず、ただ感じてください」
後ろから彼女の耳元に囁くようにゆっくりと低い声で伝えれば、ラーナ様はゆっくり大きく息を吐いて頷いた。
俺は彼女の肩から背中へと手を滑らせ、柔らかくマッサージを続けながら、後ろから抱きしめるように彼女の爆弾を詰め込んだ胸元へと手を伸ばす。
「んん、ソルトさん…」
俺が胸に触れてもラーナはそれを咎めることなく、身を委ねてくれる。
「俺の手に身を任せて」
「……はい。とても気持ちいいです…」
ラーナ様の言葉に、俺は少しだけ安心した。
体は熱くなり、俺に身を預けるようにもたれる。
彼女の呼吸が次第に早くなり、自らの指を噛むように快感を我慢しているのが伝わってくる。
「ラーナ」
「はい!」
「おいで」
俺はラーナの体を抱き上げて、ベッドへ誘導する。
ガウンを脱がしたラーナは、ネグリジェだけになって、恥ずかしそうに顔を赤くしたまま俺を見上げていた。
寝ていても崩れることのないボリュームのある胸が重力に抵抗している。
「大丈夫だよ」
紳士として、彼女を安心させるために笑顔を浮かべて頭を撫でた。
そんな俺の手にラーナが頭を預けた。
彼女の可愛い行動に心を打たれ、大切にしなければいけないと感じる。
「ソルトさん、あなたは本当に優しい方ですね」
「そんなことはありませんよ。今からあなたをメチャクチャにしてしまうかもしれない。ラーナ、いくよ」
「はい。ソルトさんに任せます」
俺は彼女を抱きしめて、ネグリジェの肩紐を外していく。
「ソルトさん…」
一糸纏わぬ姿になった彼女を優しく抱きしめた。
♢
《sideラーナ・コーリアス》
昨晩の夜に起きたことは私にとっては勇気がいる行動で、だけど打ち明けたソルトさんは優しく私を受け入れてくれました。
朝日が差し込む日差しによって、私はゆっくりと目を開けました。
ふわふわとしたベッドの中で、隣に横たわるソルトさんの寝顔が目に入ります。
それまで男性のことを怖いと感じていたのが嘘のように、ソルトさんの寝顔が可愛く見えました。
とても優しくて紳士的な方。
彼の穏やかな呼吸と、静かに揺れる胸の動きが、私に安心感を与えてくれます。
昨日の出来事が思い出され、顔と心が熱くなります。
ソルトさんの優しさと、紳士的な振る舞い、そして彼が私のために尽くしてくれたことを思い出すと、胸がいっぱいになっていくのです。
彼の腕に包まれたときの安心感が蘇り、またそのぬくもりを感じたいと思い、寝ている彼の腕に頭を預けました。
彼の寝顔に視線を向ければ、普段は真面目で真剣な顔をしているのに、少し不器用な物言いをする人だとおかしくなります。
今は無防備で、子供のように穏やかな表情をしています。
その姿が愛おしく、心が満たされるのを感じていくのです。
彼の寝顔を見つめるだけで、私は幸せな気持ちに包まれます。
「ソルトさん…」
小さな声で彼の名前を呼ぶと、彼の唇が微かに動きました。
寝ていても反応してくれて、その仕草がまた可愛らしく、思わず笑みがこぼれてしまいます。
彼がどれほど私を大切に思ってくれているか、昨夜の行動で十分に伝わってきました。
そして、彼の変態的な一面を知りました。
彼の指先は魔性の指だと思います。
触れられるたびに体が熱くなり、快感が押し寄せてくる。
だけど、快感が不安に思う心をそっと真摯な優しさで包み込んでくれる。
「あなたに出会えて、本当に良かった…」
彼が私のそばにいてくれることが、こんなにも安心感を与えてくれるなんて思ってもみなかった。
男性恐怖症だった私が、こうして彼の隣で目を覚ますことができるのは、まるで奇跡だと思います。
そっと手を伸ばし、彼の頬に触れると、彼の温かさが指先に伝わり、心が一層温かくなります。
目を閉じて、彼のぬくもりを感じながら、ただこの瞬間を大切にしたい。
「ソルトさん、ありがとう…」
彼の寝顔にそっと囁き、もう少しだけこの時間を楽しむことにします。
隣で眠る彼が目を覚ます前に、もう少しだけ、彼の顔を見つめていたい。
この幸せな時間を、少しでも長く感じていたいから。
この時間は長く続くことはなくて、彼は私一人では収まらないことがわかっているから、今だけは独占していたい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
どうも作者のイコです。
本日もよろしくお願いします。
明日は、話を進める《アザマーンの処遇》です。
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