第70話
ラーナ様の問いかけに、彼女が求めることについて考える。
無防備な姿を俺に晒してくれたということは、そういうことなのだろう。
こんな美しい女性に真剣に見つめられながら、「女性として見てくれますか?」と言われるなんて、男として(当たり前です! メチャクチャ大好きです! 特にその爆乳が!!)と叫びたくなってしまう。
だがしかし! ルリによって変態紳士を目指すと決めた以上は、ここは考えねばならない。変態とは何か?! そして、紳士とは何か?!
「ラーナ様、お手をお貸しいただいてもよろしいですか?」
「はい」
俺の前で膝をついて上目遣いに見つめるイケナイ女性を立たせて、代わりに膝を折る。
「あなたほどの女性に好意を寄せられて嫌だという男性はいない。いや、他の男性などどうでも良い。私は嫌だとは思いません」
「まぁ!」
「ですが、私は紳士である前に」
「ある前に?」
可愛く首を傾げるラーナ様。
見上げる彼女の可愛い顔の前に爆乳が壁となる。
「紳士である前に、一人の変態なのです」
「一人の変態ですか?」
「はい! 男とは、女性を欲する狩人であり、変態です!」
俺が断言すると、ラーナ様はしばし考える素振りを見せて納得した顔を見せました。
「聞いたことがあります! 人それぞれ好みがあり、変態もまた性癖というのですよね?」
可愛く首を傾げるラーナ様から、とんでもない発言が飛び出した。
一瞬たじろいでしまうが、ラーナ様の心の広さによって、俺の心臓は早く高鳴っていく。
ここはあくまで紳士的に、かつ彼女が歩み寄ってくれたことを喜ぼうと思う。
「そうです。私には特殊な性癖があります。ラーナ様、あなたのその美しさに、俺はすでに完全に魅了されています!」
「ふふ、お上手ですね」
「お上手ではありません。本気なのです。そして……」
立ち上がってわざとらしく胸を張り、両手を広げてみせる。
ラーナ様は驚いたように目を見開き、そしてクスクスと笑い始めた。
「あなたを抱きしめたい」
「嬉しい」
そう言って爆乳と共にラーナ様が俺の胸に飛び込んでくる。
シャンプーの香りが鼻腔を満たして、俺自身も幸せな気持ちに落ちていく。
「ソルトさん、あなたは本当に面白い方ですね」
体温が高まり、ラーナ様が真剣な表情で、俺の手をそっと握る。
「今日は本当に怖かったのです。もしも、助けてもらえなかったらと思うと」
腕の中で震える彼女を優しく抱きしめる。
「ですから、感謝の気持ちを伝えたくて……」
「嬉しいです。ですが、私は他にも」
俺がルリのことを告げようとするとラーナ様の指が俺の唇を抑えた。
「貴族には一夫多妻など多くあります。他の女性を咎めるつもりはありません。ですが、二人の時には」
マナー違反をした自分を殴り飛ばしてやりたい。
ラーナ様はその仕草のまま再び笑顔を浮かべ、俺をソファに座らせる。
「少し暑くなってまいりましたわね」
ラーナ様はワインを注ぎ、俺に手渡してくれる。
その手つきが優雅で、その美しさに見惚れてしまう。
彼女が隣に座り、身を寄せた。
「ソルトさん、今日は私たちだけの時間です。ゆっくりお話ししましょう」
ラーナ様の言葉に、俺は頷き、ワインを一口飲む。
その味わいに、少しリラックスすることができた。
この間、女性との経験を済ませたばかりの俺には、ラーナ様が圧倒的な輝きを放つ女神にしか見えない。
「ラーナ様、あなたの美しさと優しさには、いつも感謝しています。でも、今日は特別に眩しく見えてしまう」
ラーナ様は俺の言葉を聞くと、ゆっくりと自分のガウンを脱ぎ始めた。
その姿に、俺の心臓は再び激しく打ち始めるが、ここは冷静に、そして紳士的に振るまうべきだ。
「ラーナ様、その姿、本当に美しいです。でも、ちょっと待ってください!」
俺は慌てて手を振り、ラーナ様の動きを止める。
「何か問題でも?」
ラーナ様は驚いたように問いかける。俺は深呼吸をして、言葉を続ける。
「ここで、その……ラーナ様の美しさを前に、俺はちょっと緊張してしまって。だから、少しリラックスするために、一つだけお願いがあります」
「お願い?」
考えろ! 考えるんだ! この場合の変態紳士が取るべき行動の正解とはなんだ? あの爆乳に今すぐ顔を埋めてしまいたい。乳のパレードに興じてみたい。
だが、本当にそれがラーナ様が喜ぶことか? ラーナ様はこれまで男性恐怖症で、男性が同じ部屋にいるだけで苦痛に感じてこられた方だ。
ならば、ここで彼女にするべき行動は。
「瞳を塞いでも良いですか?」
「瞳を塞ぐ?」
「ええ」
俺はテーブルの上にあったナプキンで彼女の瞳を塞いで目隠しをしてしまう。
「まぁ、何も見えませんわ」
「ラーナ様に聞きます。今、この部屋には私とあなただけです」
「はい」
「怖くないですか?」
「大丈夫です。ソルトさんを信じていますから」
「ありがとうございます」
俺は近くにあった羽ペンを手に取って、羽の部分でラーナ様の頬をくすぐる。
「ふふ、くすぐったいです」
これは俺なりに考えた緊張をほぐす方法だ。
ラーナ様が男性に対して苦手意識を持たせないための苦肉の策だ。
いきなりエッチなことをした場合、男性恐怖症などを強めてしまうかもしれない。
紳士として、そんなことは認められない。
だからこそ、まずは軽いフェザータッチから始めることにした。
「ラーナ様は男性が苦手だと聞きました。ですから、いきなり触れ合うよりも、少しずつ慣らしていきましょう」
「まぁ! そこまで私のことを考えて?」
「ええ、ですから、まずはフェザーを私の指だと思ってみてください」
「ソルトさんの指ですか?!」
ラーナ様の顔が朱に染まり、恥ずかしそうにモジモジと太ももを擦り合わせる。
「そうです。あなたの頬、首、腕、そして、胸に私の指が滑って」
「あっ!?」
フェザーを滑らせていくうちに次第にラーナ様の声に悦が混じる。
「ハァハァ、ソルトさん。なんだか恥ずかしいです」
「ええ、今、私は指一本も触れてはいません。ですが、ラーナ様の、いや、ラーナの恥ずかしい姿を見ています」
「あっ、あの、これが男女の営みなのですか?」
「そうですね。これはそれを楽しむ前の、前戯という準備段階です」
「準備段階! この先があるのですか?」
ぷっくりとした唇が話すたびに揺れている。
その唇の上にフェザーを滑らせる。
「あっ!」
さらに恥ずかしそうな声を出したラーナ様は想像してしまっただろう。
俺がキスを求めていることを。
「ラーナの唇にキスをしても良いですか?」
「はっ、はい! ソルトさんのお好きになさってください」
恥ずかしそうに、だがどこか熱を帯びた声で許可を出すラーナ様にそっとキスをする。
触れ合うような優しいキスに、ラーナ様の唇が追いかけるように二度目のキスをする。
「もっ、申し訳ありません。はしたないことを」
「いいえ、あなたに求められるのは幸福なことです。ラーナ、あなたに触れてもいいですか?」
「はい! もちろんです」
俺はそっと手を絡めるように優しく手のひらをマッサージしていく。
「うんんん!」
「ヒール」
ヒールには血行促進作用もあり、細くて冷たいラーナの指先を温めるために使う。
「んんんんんんんんんんん!!!!! ハァハァハァハァ!!!!」
その瞬間に、ラーナは声にならない声を上げて、荒く息を吐いた。
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あとがき
どうも作者のイコです。
う〜ん、1話で収まらない。
今日も皆さんのお力をお貸しください。
よろしくお願いします。
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