第62話

 変態紳士とはなんぞや?


 紳士とは、礼儀正しくレディーファーストで気配りができる余裕のある男だと俺は考えてきた。


 だから、貴族や奴隷、身分や人種に関係なく、礼儀正しくあろうとした。

 そして、常に相手を気にかけて相手が嫌がるであろうことはしない。


 そんな風に決めて幼馴染たちに接しているうちにそれは普通のことだと思うようになっていた。


 だけど…「もっと変態になってください。私たちはご主人様が変態紳士になってくださるのを望みます」


 ルリの望みに応えてあげたいという気持ちはある。


 シンシアが、俺を襲うように現れたのも、俺自身が悪いのかもしれない。

 彼女の気持ちに気づいていなかったから……。


 だが、変態で紳士となれば、紳士だからこそ相手が同意しなければ変態的な行為をしてはいけないという秩序を持っている者ではないかと推測できる。


 だからこそ、ルリに変態紳士を求められて俺が出した結論は、冷静に変態行為をするという至極真っ当な思考に行き着いた。


 まずは落ち着いて観察する。


 今、ルリは何を望んでいる? 彼女はとても美しい。

 アオを産んだとは思えないほどに整った容姿と体をしている。


 ロングスカートのメイド服に隠された体と、隠しきれない爆乳。

 青いロングヘアーは腰まで伸びて、頭には狼の耳が愛らしい。


 恥ずかしそうに顔を赤くしてスカートを託し上げる姿はアンバランスな妖艶さを生み出していた。


 見えてしまった白い太ももの向こうに、フサフサな狼の尻尾が緊張から膨らんでいた。


 ルリの姿一つ一つが俺の本能を呼び覚ます。


 そう、変態紳士とは本能に忠実で、妄想が得意な女性のパンツの色などを常に想像している者のことを差すのだと宣言したい。


 こうしてじっくりと女性の体をしたためるように見ることができ、どんなことでも受け入れるドMな姿勢を示す。


 これが導き出した答えだ。


「ルリ」

「はい!」


 冷静に思考できる姿勢で、ルリの観察を行った答えを伝える。


「俺のためにスカートを上げてくれないか?」


 男らしく低い声を意識して、ルリの態度を伺う。


「はい! 喜んで!?」


 嬉々とした表情で、妖艶に顔を赤くしていたのが嘘のように嬉しそうに微笑んだ。

 

 どうやら正解だったようだ。


 だが、果たしてこれから彼女を喜ばせられるだろうか? いや、今この場では俺は変態紳士にならなければいけないんだ。


「だが、まずは後を向きなさい」

「えっ? 後ですか?」

「そうだ」


 俺は立ち上がってルリを壁際へと追いやって後を向かせる。


 足しあげられたスカートによって、彼女に綺麗な尻尾が現れていた。


 その尻尾へと手を伸ばして優しく撫でた。


「んんん。ご主人様!」

「許しを得る前に触ってしまってすまない。尻尾に触れてもいいかい?」

「ハァハァハァ、はい。どうぞ」


 俺は許しを得て、ゆっくりとルリの尻尾へ触れていく。

 ちゃんと手入れをしているのだろう。

 肌触りはサラサラと綺麗で、とても気持ち良い。


 その尻尾を撫でながら、徐々にルリの腰を手を伸ばしていく。


「ごっ、ご主人様」


 腰を掴むとルリが恥ずかしそうに声を出す。

 スカートをたくし上げて、壁に手をついた姿勢で後ろから男性に腰に触れられる。


 それは異常な状態で、俺はメイドのエプロンを外すためにリボンを解き、背中のジッパーを下げていく。


 ルリの白い肌が現れ、肩へキスをした。


「んん!」


 くすぐったかったのか、声が漏れるルリの背中に指を滑らせる。


「ハァ〜!」


 息を漏らしたルリを抱き上げてベッドへと運んだ。


「ご主人様!」

「先に言っておく。俺はあまり経験がない。乱暴にしてしまうかもしれないが?」

「構いません! どんなご主人様でも受け入れたいと思います」


 正面を向いたルリの唇に重ねる。


「ルリが欲しい」

「はい! 心からお待ちしておりました」


 メイド服を脱がせたルリは下着姿で、寝転んでいても大きな胸が俺を迎えてくれる。


 両手を広げたルリの胸に顔を預ける。


「ヒール」


 俺はルリの体を気遣いながら求めた。


 ♢


《sideルリ》


 目が覚めた私は朝日を浴びながら隣で眠っているご主人様の頭を撫でました。


 きっと、今日の出来事をきっかけにこの方は多くの女性から求められるようになるのでしょう。


 それはとても寂しいことだけど、私がこの方を目覚めさせたのだという誇りが胸の中に目覚めています。


 それは幸福なことです。


 そして、道化師に対して、今でも怒りを感じています。


 ですが、同時にご主人様に巡り合わせてくれたことに対して、感謝しても良いと思っている自分がいました。


「うんん、おはよう。ルリ」

「おはようございます。ご主人様」


 可愛い寝顔で私を見つめる瞳は、幸福な気持ちにさせてくれます。


「おいで」

「はい!」


 ご主人様が伸ばしてくれた腕の中に飛び込んで頭を撫でていただきます。


 これほどの穏やかで幸せな時間が私に訪れる日が来るなんて……。


 だけど、不意にご主人様を失ったらと考えて、涙が溢れてしまいそうになります。


 絶対にご主人様は私が守ってみせます。


 何があろうと……。


 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー〜ー

 あとがき


 どうも作者のイコです。


 どの程度で止めるのか悩んで投稿が遅くなりました(^◇^;)


 今日はちょっと出掛けてくるので、投稿は1話だけになると思います。


 いつも応援ありがとうございます(๑>◡<๑)

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