第46話
疲れた。
今回の一件は様々な方面に気を使ったので非常に疲れた!
ルータスを怪しいと思ったのは、ハニー様の助言があったからであり、メイが捕まらなければ、ここまで動くつもりはなかった。
むしろ、ハニー様から聞いた話をラーナ様や、フレイナ様に相談してから動いてもらうつもりだった。
だが、一度間者として決定されてしまうと、覆すことが難しくなる。
疑わしい間に助けなければならないと判断して、アオとルリに噂を流してもらって、その後にハニー様に事件の筋書きを伝えてもらった。
バカなことを考える者が、アザマーン方面に迷惑をかける恐れがあったからだ。
ルータス以外にも間者がいた場合に逃げ込む恐れを排除しておきたかった。
だから、こちらが広場で騒ぎを起こすことを伝えていた。
筋書きは作ったが、結局はガイン様の迫力と、ルータスが犯人だとメイの母親に教えてもらっていなければ解決はできなかった。
ーーコンコン
「誰ですか?」
「ご主人様、よろしいですか?」
「主人様、ご飯を持ってきたの」
そういえば、こちらに戻ってきてから、まともに食事をしていないように思える。
「ありがとう。二人とも入ってくれ」
そう言って扉を開けた俺が見たのは、ミニスカメイド服を着た狼耳美人母娘だった。
「えっ?」
「ううう、やっぱり変でしょうか?」
「可愛いの! お母さんも似合っているの」
「えっと、ああ、凄く綺麗で似合っていると思うよ」
とりあえず、俺は二人を部屋へと招き入れる。
テーブルに料理が並べられていく姿を見ていると、本当に給仕をされているようだが、フリフリとスカートの後ろから、狼の尻尾が振られている姿を見ると、つい視線が行きそうになる。
もしかしてもうすぐで下着が見えてしまうんじゃないかとギリギリのラインで作られたミニスカートは絶妙に男心をくすぐってくる。
「えっと、その服はどうしたんだ?」
「ハニー様にご報告をしに行った際に、持っていくように言われました」
「ハニー様が?」
「そうなの。『この服を着て、あなたたちのご主人様を悩殺したり!』って言われたの」
何を考えているんだハニー様は!?
「主人様、可愛くない?」
ウルウルとした瞳で聞いてくるアオの頭を撫でる。
「物凄く可愛いから困る。二人とも似合いすぎだろ」
アオの頭を撫でていると、ルリさんも隣にやってきたので、頭を撫でてあげると嬉しそうな顔をする。
フェンリルも狼で、犬の一種だから撫でられるのが好きなんだろうか? アオは子犬だった頃から撫でてやると嬉しそうにしていた。
ただ、頭を撫でているせいで二人を見下ろす位置に立っているので、二人の胸元にある谷間が目に入って、これはヤバい。
ミニスカだけでなく、上から見下ろすともっとヤバいことに気づくことになるとは!
「とにかく食事にしよう。この二日間、ちゃんとした食事を取れていない」
「はい! ご主人様」
「主人様とご飯を食べるのが嬉しいの!」
純粋に慕ってくれる二人と食べる食事はホッと息を吐けるので、俺としては気持ちを落ち着けて食事を摂ることができた。
「すまない。今日は疲れているから先に寝かせてもらうよ」
「それでしたら、今日はマッサージをしませんか?」
「マッサージ?」
ルリの提案に問い掛ければ、ルリが得意気な顔を見せる。
「はい。あまりしたことはないのですが、やり方だけは学んでいたのです」
アオのお父さんにしてあげようと思っていたのかな? ここはあまり断ることができなさそうだ。
「なら、お願いしようかな」
「はい!」
「アオもしたいの」
「そうね。まずは見ていてくれるかしら?」
「はいなの!」
俺はベッドにうつ伏せになって寝転んだ。
「それでは行きますね」
「ああ、頼む」
ルリの好意を無碍にしてはいけないと思って、身を任せれば、ルリの足が俺の背中に乗ってきた。
グラマラスな体は思っていた以上に軽くて、それでいて背中や腰の張っているところをしっかりと刺激してくれる。
「いかがですか?」
「うん。すごく上手いよありがとう」
俺がそう言って顔をあげると、スカートの中が丸見えになっていた!!!
ぐっ! この位置はヤバい! 一瞬だけだったが、白い何かが見えてしまう。
「るっ、ルリ。もう大丈夫だよ。凄く気持ちよかった」
「そうですか?」
「アオも! アオもしたいの!」
そう言って、アオがルリの代わりに乗ってくる。
ルリよりもさらに軽いアオは、不慣れで気持ち良いという感覚はないが、美女と美少女に踏まれているというのは意外に癒される。
「アオ、ありがとう。気持ちいいよ」
「主人様の役に立てたの!」
「ふふ、よかったわね。ご主人様、夕食の時間にまたきます。それまではゆっくりと休まれてください」
「ああ、ありがとう」
二人が部屋を出ていくのを待って、俺はアンチヒールをぶち破って元気になる愛棒に、さらなるアンチヒールをかけるのか悩みながら、とりあえず放置して眠りたい。
♢
《sideルリ》
ご主人様の部屋を出て、自分たちの部屋に帰ると体が火照って仕方ないですね。
「主人様、喜んでくれたの!」
「ふふ、そうね。ハニー様の作戦は成功かしら?」
私たちはご主人様の依頼でハニー様に会いに行くと、話があると衣装部屋へ通されました。
「なぁ、あんたらに聞きたいねんけど、ソルトさんをあんたら二人で独り占めしたいって思っとるか?」
「主人様、大好きなの」
「えっと、そうですね。ご主人様に愛していただきたいと思っております」
「そうか、もしもウチとミーアもソルト様を好きやから付き合いたって言ったら、あんたらはどうする?」
「どうするとは?」
「邪魔するかってことや」
そういうことですか、どうやらハニー様はご主人様を本気で好いておられるのですね。恥ずかしそうにしているところが、偉い人なのに可愛いです。
「そういうことですか。ならば、邪魔は致しません。ご主人様が望まれるならば私はどれだけの女性をご主人様が求めても構わないと思います。ただ、私たちをお側から離さないようにして欲しい。それが願いです」
「そうか、なら協力できそうやな。あんたらに頼みたいことがあんねん」
「頼みたいこと?」
私が首を傾げると、ハニー様は衣装部屋の中からいくつか服を持ってこられました。
「ソルトさんを女好きのメロメロにして欲しいねん。そのために必要な道具から衣装まで全部提供する!」
「よろしいのですか?」
「かまへんかまへん。ウチらも立場があって忙しい身や。側にいることはあんたらに任せる。せやけど女として愛される権利は、ウチらも欲しい。だから取引や、ソルトさんがウチらを受け入れてくれたなら、協力してソルトさんを支えよ」
ハニー様はそう言って私に握手を求めました。
私はそれに対して快く応じます。
「承知しました。必ず、ご主人様を女性好きな男性に」
「任せたで。ボディータッチや、一緒におる時間は増やしや。せやけどしょっちゅうするベタベタな行為は男の人嫌うからな。雰囲気作りを大切にしいや」
色々とお茶を飲みながら、私たちはハニー様とご主人様を落とす作戦を話し合いました。
ご主人様以外で、こんな普通な話ができると思っていませんでしたから、驚きましたが、それもご主人様がいて、話題がご主人様のことだったからだと納得してしまいました。
「お母さん。次は何を着ていくの?」
「そうですね。水着で洗体をしてあげましょうか? それともバニーガールの衣装で、アピールをしましょうか? まだまだ始まったばかりです。ゆっくりとご主人様が我慢できなくなるようにしていきましょうね」
「は〜い!」
アオだけでなく、ハニー様や他の女性を受け入れてくれるなら、私も受け入れてもらえるかもしれません。
ですから、全力で頑張らせていただきます。
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