第24話
瘴気の浄化を終えて、俺はいつも通り自分自身に浄化をかけて冒険者ギルドに戻った。
だが、俺を出迎えたのは、ミーアさんではなく、真っ青な着物の女性だった。
綺麗な青い着物を着崩して、たわわに実った果実の上乳が、これでもかと惜しげもなく披露されている。
「帰ってきはったなぁ〜」
「えっ?」
「クンクン、ホンマやわ! ドウテイの匂いがするなぁ〜初物や」
「なっ!?」
俺は一気に顔が熱くなるのを感じた。
初対面の女性から、初物だと言われるなど想像もしていなかった。
「反応もウブかいな。お可愛いことで」
「だっ、誰だ! あんたは」
「なんや、この耳を見てもわからんか?」
つい、珍しい着物が目に飛び込んできたせいで、たわわな果実に目が行ってしまった。俺は顔を見て驚いた。
真っ赤な瞳に、白いロングヘアー、頭の上には大きな白いウサギの耳が伸びていた。
「ハニー様?」
「なんや知ってるやないか。そうや。ウチがアザマーン方面、ダウトの街を治める領主のハニーや。よろしゅうなぁ〜」
ガインさんの話ではボディコン衣装を着たバニーガールーさんだったはずだ。
それなのに想像していた服装とは違った着物に驚いて、理解が遅れてしまった。
「それは失礼しました。俺はAランク冒険者のソルトです」
「ええよ。ええよ。領主自ら会いにくるなんて思てもなかったやろから。そ・れ・よ・り・も」
「えっ?」
接近してきたハニー様に警戒をしていると、耳元に口を寄せて囁く。
右腕が抱きしめられて、たわわに実った爆乳に挟み込まれる。
「なぁ、初物をウチに味わわせてはくれんやろか?」
「なっ?!」
「初物って美味しそうやん。ふふ、まぁ無理にとは言わんけどな。ウチはそこそこにええ女やと思うで」
「なっなななな!」
「あっ、それとな、ウチも初物やから、今なら初物同士やで」
ゾクゾクと背中に電気が走り抜ける。
この抗うことを許さない甘美な響きに俺は……。
「ハニー様、そろそろやめてほしいにゃ」
「ミーアちゃん」
「ミーアさん!」
「先に目をつけたのは私にゃ」
そう言ってハニー様とは反対側の腕をご立派な巨乳で挟み込む。
左にご立派な巨乳、右にたわわに実った爆乳が両腕を挟み込んでいる。
これは一体どういう状況なんだ? しかも見た目は猫と兎の可愛いコスプレ美女に挟まれてしまっている。
これで興奮しない男はいるんだろうか? いや、否と言わせてもらおう!
ミーアの顔は猫顔で、エメラルド色をした目は大きくつりぎみで、目頭と目尻は丸みがなく切れ長で、鼻が小さく、あごも短く小さい、輪郭がシャープなのに頬は肉付きがよく、笑うと頬が高く可愛い顔をしている。
ハニー様は兎顔で、鼻も口も小さく、赤い瞳は大きくて、顔が小さいのでバランス良く見える。さらにその可愛い雰囲気は男性の庇護欲をくすぐって守ってあげたくなる。
「ウチもこういう男が好きやって前から言うてるやん」
「そんなの知らないにゃ! この街で、ここまでの良い男はいないにゃ!」
本当の姉妹ではないだろうが、どうして俺はこの二人に挟まれているのだろう? だんだんと状況に慣れてきたおかげで、頭の整理ができるようになってきた。
「ちょっと、二人ともいいか?」
「なんにゃ? ソルトは私を選ぶにゃ?」
「そんなことあらへんよね? ウチやんね?」
「いや、そういう話ではなくて、俺はここに仕事をしにきたんだ。女性を求めてきたわけじゃない」
二人に落ち着いてもらうために、ヒーリングをかけて眠らない程度に落ち着いてもらう。
「む〜、なんや急に落ち着いてきたわ」
「そうにゃ、もういいにゃ」
二人が腕を離してくれたので、どうにか状況を脱することができた。
名残惜しいほどに心地よい感触だっただけに離れがたい。
「落ち着いてくれたなら、話をしたい」
「話? この街で話をしたいなんて珍しい男やね」
「それがいいにゃ」
「まぁそれはそうやね。そんで? 話ってなんやの?」
いきなり領主のハニー様に出会えたのは、ありがたい。
「すまないが、ここではなくギルドの個室を借りたいがいいか?」
「構わないにゃ」
「えっ? ギルドマスターに許可を取らなくていいのか?」
「何を言っているにゃ。私がギルドマスターにゃ」
「はっ?」
「なんだわかっていなかったのかにゃ? この支部を取り仕切っているのは、このミーア様にゃ。これでも元Aランク冒険者にゃ」
「そうだったのか? 若いからてっきり受付なんだと」
実際に獣人の年齢はわからないが、ミーアの見た目は十八歳そこそこだ。
ハニー様の方が上だとすれば二十歳前後に見える。
「にゃはは、それは間違ってないにゃ。私は十二歳から冒険者をして、今は十八歳にゃ。若くはあるにゃ」
「そうやね。ウチもその時のパーティーメンバーやってん。今は功績が認められて領主を任されているんよ」
この二人の繋がりがわかったような気がする。
元Aランク冒険者パーティーをしていた仲間なら、確かに貴族としての爵位や、冒険者ギルドのギルドマスターを任されることはあり得る話だ。
「なるほど、二人は功績が認められてそれぞれの地位を与えられているのか、失礼なことを言ったならすまない」
「ふふ、誠実なんやね」
「にゃはは、それもいいところにゃ。潔い男は好きにゃ」
二人から好感度が異常に高いように思うが、何故なのか全くわからない。
「一つだけ聞いていいか?」
「何かしら?」
「なんにゃ?」
「どうして、二人は俺にそんなに優しくしてくれるんだ?」
ミーアも、ハニー様もあった時から俺に好感触な反応を返してくれていた。
それがどうしてなのか理解ができない。
「くさいねん」
「くさいにゃ」
「くさい?」
自分で自分を嗅いでみるが、全然わからない。
先ほどの初物の匂いってことか? それはかなり嫌だ。
「思っていることとは違うで」
「えっ?」
「臭くないのにゃ」
「臭くない?」
「そうや。ソルトさんは、清潔の匂いがするんやで」
「そうにゃ。ソルトは凄く良い匂いがするにゃ!」
臭いと言われても全く理解ができない。
コーリアス領にいるときは風呂にも入れていたが、最近は体を拭いて、浄化の魔法をかけているだけなので、自分としては風呂に入りたくて仕方ないのだ。
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