第3話 さらばダンジョン。さらば拠点。

ー拠点ー


「なんということだ!ミノタウロス共があっけなく倒されてしまうとは!」

「人間達の連携が凄かったでヤンス。一体一体ミノタウロスを引き付けて囲って倒して行くんだもの。ミノタウロス殺しのプロでヤンス!」

「ドアホ!感心している場合か!…ところでちゃんと魔法陣は消して来たんだろうな?」

「ギリギリでしたヤンス!どのタイミングで召喚されるかわからなかったから急いでやったでヤンス。」


「『ニュース速報です!先ほどミノタウロスの巣にて行われた駆除ですが、現場から新しい情報が入りました。巣の奥地にて魔法陣らしきものの痕跡が見つかったとのことです。これを受け駆除隊本部は何者かによりミノタウロスが召喚されたと見て、魔術に詳しい専門家を派遣し魔法陣から犯人を捜索するとのことです。』」


「ドアホ!ドアホ!ドアホ!!思いっきりバレているじゃないか!」

「しょうがないでヤンス!時間が無いのに完全に証拠を消すなんてできないでヤンス!」

「…くっどうするか。魔法陣からここまで魔導線を引いている。この拠点がバレるのも時間の問題だ。」

「何なら魔導監視カメラとかからも魔導線を引いてるでヤンス。今から道中の魔導線を消しに行けば大丈夫じゃないでヤンス?」

「ドアホ!今そんな動きをしているのを誰かに見られたら思いっきり怪しまれるわ!」

「じゃあどうするでヤンス?」

「ぐぬぬ…。仕方あるまい。あのダンジョンを放棄する!」

「つまり?」

「大崩落させてダンジョンごと証拠隠滅だ!念の為につけておいた自爆用魔法陣起動!駆除隊ごと生き埋めじゃあああ!」

「さらばでヤンス。ダンジョン。オイラが汗水垂らして創った愛の結晶…。」

「ドアホ!貴様だけが創ったように言うなクソゴブリン!」


「『緊急ニュース速報です!ミノタウロスの巣が突如として崩壊を始めたとのことです!駆除隊を含め現場作業員達が避難を開始したとのことです。』」


「上手く作動したようだな。」

「これでバレずに済むでヤンス!」

「ドアホ!人為的とバレた以上は奴らは掘り返してでも原因を突き止めようとするに違いない!」

「時間稼ぎにしかならないってことでヤンス?」

「そういうことだ!今のうちにこの拠点も放棄して別の拠点に移るぞ!」

「わかったでヤンス!逃げるでヤンス!」

「ドアホ!逃げるではない戦略的撤退だ!」

「どっちでもいいでヤンス!逃げるならさっさと準備するでヤンス!」

「ドアホ!士気に関わるわ!」

「2人しかいないのに士気もクソもないでヤンス。」

「ええい。やかましいわクソゴブリン!さっさと準備しろ!」

「こっちのセリフでヤンス!オイラはもうやってるでヤンス!」

「2つの作業は同時にできないとかほざいておりながら、こういう時は迅速に動きよって!」

「この素材は捨てていっていいでヤンスよね?」

「ドアホ!捨てていい素材など無いわ!」

「全部持って行くでヤンス!?」

「当たり前だ!私が苦労してせっかく集めた物を捨てようとするな!」

「全部を持っていけないでヤンスよ!」

「何度か往復すればいい。なんのためにダンジョンを潰したというのだ!」

「わかったでヤンスよ。とにかく家中のモノを1箇所に集めるでヤンス!」


ー数時間後ー


「何とか準備は終わったでヤンス〜。」

「まったくこれくらいでへこたれるなクソゴブリン!」

「オヤビンと比べないで欲しいでヤンス!」 

「さぁ荷物を持って出発するぞ!」

「無理でヤンス!疲れたでヤンス!もう明日でするでヤンス!」

「ドアホ!荷物がどれだけあると思っているのだ!」

「ありすぎでヤンス!いったい何十往復させる気でヤンス!1ヶ月はかかるでヤンス!」

「文句の多いクソゴブリンめ!…明日は馬車馬の如く働かせてやるからな!」

「それはいつもでヤンス。とりあえず今日は休めそうで良かったでヤンス。」


「『ニュース速報です。今朝崩落したミノタウロスの巣についての情報です。駆除隊によると怪我人が多数でましたが、死者はいないとのことです。』」


「へぇ〜駆除隊は優秀でヤンスね。」

「ドアホ!感心するな!腹いせに何人か潰そうとしたのに逃げ切るとは!」

「そうでヤンスね。生き埋めが出れば救助作業で捜査も遅れると思うでヤンス。」


「『なお、現場に到着した魔術専門家によりますと、巣から伸びる魔導線を発見したとのことで、より発生したミノタウロスの原因は人為的なものだと確信が深まったとのことです。』」


「魔導線も見つかったでヤンスか。ホント優秀でヤンス。」

「ドアホ!ドアホ!!ドアホ!!!魔導線が見つかったということはここが見つかるのもすぐということだ!」

「マジでヤンス!?」

「魔導線は何重にも隠蔽していたのにもう見つかるとは!…急いでここをたつぞ!」

「ええ!?」

「ドアホ!さっさと荷物を持て!」

「どれを持って行くでヤンス?!全部は無理でヤンス!」

「ぐぬぬ…。コレとコレとコレだ!」

「…うっ。重いでヤンスがなんとか持てるでヤンス。」

「よし行くぞ!」

「らじゃーでヤンス!」


ー拠点の外ー


「ここを去ると思うと何だかんだで寂しでヤンスね。」

「ドアホ!感傷に浸っている場合かクソゴブリン!」

「わかったでヤンスよ…。」

「よし、最後に火を付けるぞ。火の魔術!」

「…さらばでヤンス!今までありがとうでヤンス!」

「ドアホ!大声を出すな!人が集まって来る前に行くぞ!」

「らじゃーでヤンス。いざ新天地に行くでヤンス!」

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