第2話 ダンジョン製作完了!…そして

「うむ!これでひとまずはいいだろう!」

「よ…ようやく終わったでヤンス…。」

「あとはバンバンモンスターを召喚しまくるだけだ!」

「1年で地下ダンジョンができるとは思わなかったでヤンス…。」

「私の土魔術を持ってすればこんなものよ!」

「無駄に地下5階層まで作らなければもっと早く終わったと思うでヤンス。」

「ドアホ!地下ダンジョンは深さが大事なのだ!ゆくゆくは100階層まで創る予定だ!」

「…そんなに創って地盤崩壊とかしないでヤンス?もうこの5階層でも怖いでヤンスが。」

「貴様!私の土魔術が信用ならんというのか!壁も床もミノタウロスが大暴れしても壊れないぐらいにガチガチに固めてやったわ!」

「…まぁいいでヤンス。オイラ達はどうせ安全な場所から見守るでヤンスからね。」

「?何を言っている。」

「何でもないでヤンス!オヤビン早速モンスターを召喚するでヤンス!」

「ドアホ!言われるまでもない!ここにダンジョン最奥部に彫った魔法陣と魔導線で繋げた魔法陣がある。これに魔力を込めれば今すぐよ!」

「何を召喚するでヤンス?」

「魔力が無限大にある訳ではないからな。かと言って魔力の代わりになる贄もそんなにあるわけではない。」

「となるとゴブリンを召喚するでヤンス?」

「ドアホ!クソゴブリンなんぞ召喚しても瞬殺で終わるし華がないわ!」

「酷いでヤンス!」

「ここは私の魔力的にも丁度いいミノタウロスを召喚するとしよう。何より迫力も華もある。」

「ミノタウロスに追いかけられたのを思い出すでヤンスね。」

「うるさいぞクソゴブリン!…さぁ召喚だ!」

「おお!召喚成功でヤンス!ほら、最奥部に仕掛けた魔導監視カメラに映っているでヤンス!」

「ドアホ!成功して当たり前だ!魔力が回復次第どんどんミノタウロスを召喚していくぞ!」



「これで100体目でヤンスね。」

「くっ。35日もかかるとは。」

「共食いとかで結構減ったでヤンスもんね。」

「奴らの食事のことなどすっかり忘れておったわ!」

「まぁでもそのおかげで良い感じに各階層に散ってますね。ミノタウロス同士出会った瞬間殺し合いでヤンスからお互い出会わないようにはしてるみたいでヤンス。」

「うむ。だが時間の問題だ。食料が無ければ共食いをして数が減る一方だ。早く食料となる人間を呼び込まねば。」

「オヤビンって同じ人間のくせに平気で殺そうとするでヤンスね。」

「私の知り合い以外の人間なぞどうでもいいのだ!それに私が直接手を下すわけではないからな!」

「思考がモンスターと変わらんでヤンス。」

「そんなことよりもだ!人間をどう呼び込むかだ!」

「今までで6人しか入って来てないでヤンスもんね。そのうち5人はミノタウロスに瞬殺されて、1人はミノタウロスを見た瞬間逃げ帰ったでヤンスし。」

「ダンジョンなんぞ作ればすぐに人がホイホイ来るかと思っていたが…。」

「オヤビンじゃあるまいし、普通モンスターでも人間でも怪しげなところには近づかないでヤンス。それにここにダンジョンがあるなんてそもそも誰も知らないでヤンス。」

「くっ。魔導テレビで広告を打つ金さえあれば…。」

「いや、普通にテレビ局に拒否されると思うでヤンス。」

「うるさいぞクソゴブリン!貴様も考えろ!」

「地道に噂を流すとかどうでヤンス?」

「よし、やれ!」

「オイラがやると話す前に殺されるでヤンス!オヤビンがやるでヤンス!」

「ドアホ!このダンジョンは今後歴史に残る大迷宮になるのだぞ!その大迷宮の主がひょこひょこ人前にでられるか!」

「オヤビン夢見過ぎでヤンス。」

「うるさいぞクソゴブリン。いいから人を集める方法を考えるのだ!私はトイレに行ってくる。」

「…横暴が過ぎるでヤンス。休憩を兼ねてテレビでも見るでヤンス。」


ー数分後


「オヤビン!オヤビン!大変でヤンス!」

「おいクソゴブリン!!トイレの扉を叩くな!せっかく良い方法を思いつきかけていたのに飛んでしまったではないか!!」

「そんなことより大変でヤンス!人間達がダンジョンに大勢やってくるでヤンス!」

「なに!!」

「ちょっ。ズボンを上げてから扉を開けてほしいでヤンス!ていうかケツは拭いたでヤンスか!?」

「そんなことどうでもいい!人間が大勢来てるとはどういうことだ!」

「今テレビのニュースでやってたでヤンスよ!ミノタウロスの巣が見つかったから駆除するために駆除隊が派遣されたって!それでこのダンジョンが映し出されていたでヤンス。」

「なんだと!私のダンジョンがミノタウロスの巣扱いだと!?」

「驚くところはそこではないでヤンス!」

「ドアホ!!私の偉大なるダンジョンがミノタウロスの巣扱いされたのだぞ!今すぐテレビ局に抗議しに行くぞ!」

「そんなことしたらミノタウロスの巣を作ったのはオイラ達と知られて捕まってしまうでヤンス!」

「ドアホクソゴブリン!貴様まで私のダンジョンを巣扱いしよって!!」

「謝るでヤンスから落ち着くでヤンス。」

「………わかった。今はまだ私がダンジョンの主だと知られるわけにはいかない。」

「わかってくれたでヤンスか。」

「だがしかし!テレビ局どもめ我がダンジョンをミノタウロスの巣扱いしたことは許さん!駆除隊を全滅させて身を持って思い知らせてくれる!」

「おー!そのいきでヤンス!」

「相手の数はわからんが群れだって来ることには間違いない。と言うわけでだクソゴブリン。」

「なんでヤンス?」

「私のダンジョンに赴きミノタウロスを指揮して駆除隊を撃退するのだ!」

「!?無理でヤンス!!オイラが真っ先に殺されるでヤンスよ!」

「ドアホ!貴様の戦力なぞ宛にしとらんわ!最前ではなく最後方で指揮しろというのだ!」

「いやだから死ぬでヤンス!人間じゃなくてミノタウロスに殺されるでヤンス!」

「同じモンスターだから大丈夫であろう。」

「種が違うでヤンス!普通に殺されるでヤンス!使役されていないモンスターなら尚更でヤンス!」

「…それもそうか。ならばカメラを持ってミノタウロスと駆除隊達の戦闘を撮影してくるのだ!」

「!?」

「ダンジョン内に仕掛けたカメラだけでは死角があるからな。なにより定点だと迫力が無い。そこで貴様がカメラで補ってくるのだ!」

「いやいや死ぬでヤンス!!」

「大丈夫だ。乱戦中に雑魚のゴブリンなぞ気に掛ける者はおらん。」

「いやいやいやいや流れ弾で死ぬでヤンス!ゴブリンの戦闘力を舐めるなでヤンス!」

「ええいうるさい!つべこべ言わずに行ってこい!」

「わかったでヤンスよ!死んだら化けて出てくるでヤンス!!!」

「もしもの場合は召喚してやる。」

「絶対でヤンスよ!約束でヤンスよ!」

「ドアホ!私の腕前を知っているだろう!貴様が瞬殺されぬ限り余裕で召喚できるわ!わかったのならさっさと行ってこい!」

「もう!わかったでヤンスよ!準備出来次第行ってくるでヤンス。」


ー翌日ー


「『ニュースをお伝えします。先日見つかったミノタウロスの巣ですが、駆除隊の活躍により見事壊滅できたとのことです!駆除隊は数人負傷者が出ただけで死者はいないとのことです。』」

「ぐぬぬぬ。駆除隊共め!」

「し、死ぬかと思ったでヤンス〜。」

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