第5話 続 遠い国の返事 第三部 下 いたずらっこ
その時です。ニャーモさんの手首にくくりつけた細いロープが、ぐぅーんと引っ張られました。ニャーモさんは体勢を崩してひっくり返りました。サムハさんが抱きついていたので、その重みで二人とも海の中にどっぼーんと落ちてしまいました。
とっても慌てたし少し海水を飲んでしまったけど、浅瀬で海底に足をついて立ち上がることができました。当然ニャーモさんもサムハさんもずぶ濡れです。
「わーい、わーい、落ちた落ちた。ニャーモさんもサムハさんもお魚になってしまった!!」
それはメールボトル19の悪戯でした。二人を海の中に落とそうと相談したのです。それでボトルさんに網紐が引っ張れるほど、思い切り急激に移動してと頼んだのです。ボトルさんはビニールプールと反対の方向に強く動きました。それでニャーモさんが引っ張られたのです。
「成功、成功、大成功!」
メールボトル19は大喜びです。
「これこれ、あなたたち、いたずらっ子はお日様のカンカン照りつけるところにぶら下げましょう。お家の外にね。夜までね。」
珍しくサムハさんがお仕置きを考えました。サムハさんは本当は可笑しくてたまらなかったのです。
「サ、サムハさん、ニャーモさんごめんなさい。お外でぶら下げられるのは嫌。もうしませんからお家の中に入れてください。」
ニャーモさんとサムハさんはビニールプールには乗り込まず、そのまま浜辺まで海の中を歩きました。もちろん網紐で繋がっているメールボトル19も一緒に動きます。
浜辺についたら太い綱を引っ張ってプールを引き寄せました。
「はい、海でのお遊びはおしまい。あなたたちはどうしようか?この木に縛り付けておこうかな?サムハさんと私はお家に入ってお着替えをしなくちゃ。」
ニャーモさんもお仕置きを言いました。でもやっぱり可笑しくて笑いをこらえていました。メールボトル19の思いがけない悪戯で、しんみりして重い気分になっていたのが吹っ飛んでしまったのですから。
「ニャーモさん、よーく分かりましたよ。暗い冬でも毎日が明るくてとっても楽しいことが。こんな子達がいたら気分が沈むことなんでありませんよね。」
メールボトル19は、木にくくりつけられるのか、お家の外にぶら下げられるのかと、ちょっと心配しましたがちゃんとお家の中に入れてもらえました。一安心です。
ニャーモさんとサムハさんが手早く着替えをして、海につかってしまた衣類を真水で洗いました。ボトルさんも真水で洗ってもらうことができました。手紙さんとキリエさんはテーブルの上に置かれました。
「さあ、みんなでお茶にしましょう。ニャーモさんそこのカウチに寝転がって気楽にしてくださいね。」
「もう・・・・許してもらえたのかしら?考えついたのはキリエちゃんじゃなくて、私です。ごめんなさい」
手紙さんが尋ねました。
「おやぁ・・・珍しい、絶対キリエさんが考えたのだと思ったけどね。おかげでビニールプールの上でかなり暑かったのが、海に入ったので涼しくなれたわ。」
ニャーモさんもサムハさんも、我慢していた笑いをもう止められず大笑いしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます