第13話 ファーストコンタクト
「ちくしょう!俺は骨を拾いに来ただけだってのか!?」
膝をついて、がっくりと肩を落とすノヴァ。
「・・・・待てよ?だったら、どうして生体反応なんか・・・?」
そのとき、
すっと
スーツが立ち上る。
「うわぁぁぁ、おばけぇぇ」
尻餅をついて後退りをするノヴァ。
すると立ち上がったスーツからなんらかの音声が発せられる。
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」
「しゃべったぁぁぁぁ!」
疲労困憊の中、あまりの衝撃に気が動転するノヴァ。
そこにイブから通信音声が入る。
「落ち着いてください。骸骨はたんにヘルメットに投影されているだけです」
イブに諭され、ようやく落ち着きを取り戻したノヴァ。
改めて相手を観察してみると頭蓋骨だと見間違えたのは、たしかにヘルメットの表面に映し出されているだけだった。
また、体をよく確認すると宇宙活動用のスーツを着用していた。そのデザインは、基本色は黒とグレーで、鮮やかな赤色のアクセントが随所に施されおり、全体に幾何学的なパターンと複雑な回路のようなディテールが組み込まれているものであった。
ただ、ヘルメットの中は見透せないため、その中が本当に生きている人間であるかまでは確認できなかった。
「~~~~~~~」
どうやら、何かしらの言語による発話のようだが、太陽系文明の言語に該当するものがなく、自動翻訳機が機能しない。
「翻訳できるか?」
「サンプルが足りないため、不可能です。
ただし、声色などから感情を読み取るに感謝を述べているようです。」
ひとまず何かしらのリアクションを取らねばと考えるノヴァ。
疲労により、あまり頭が働かず、半ば諦めるように、太陽系文明の最も基本的な”友好”を表すジェスチャーを選ぶことにした。
すっと、右手を相手に向かってノヴァが差し出す。
それに対し、ピクッと一瞬身構えるような反応を見せる。
ノヴァの動きの意味を少し考える様子を見せた後、差し出された手を握り返した。
「驚かせるんじゃないよ。まったく。」
ぼやくノヴァだったが、新たな出会いの興奮を抑えることができず、握力もほとんど残っていないながらも、右手に力を込めずにはいられなかった。
それに応じるように相手もその手を強く握り返してきたのであった。
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