第3話
静浜4丁目、とあるビルへとやってきた。
ビルは『立ち入り禁止』のテープで封鎖されていた。
どうやら、このビルの中にカマキリ型のモンスターが現れたようだ。
カマキリの大きさはざっと二メートルほどだという。
すでに中にいた人たちは避難済み。
スーツ姿の男性受付人に声をかけた。
「冒険者っす、中に入れてください」
冒険者免許を見せる。
「おっけーです」
「もう他の冒険者は来てるか?」
「はい、きてます」
くそ、先を越されたな。
けどまだモンスターを取られたわけじゃねえし、早く行かなきゃな。
「オッケー」
俺はビルの入り口に向かって走り出した。
ドスンドスン、と上の階から物音が響いている。
「よし、上の方だな!」
ビルは荒らされた形跡がない。
きっと、上の階からモンスターは出現したのだろう。
階段を登り、五階へとやってきた。
その上は屋上だ。
目の前は荒れていた。
窓ガラスは割れ、椅子や机が散乱していた。
この階だな……。
と、その時、目の前には──
「──ッ!!」
俺は慌てて剣を鞘から抜こうとしたが、間に合わなかった。
カマキリがいた。
俺に向かって鎌を振り下ろそうとしている。
スパン!!
あっ。
俺の首は胴体から取れ、床に転がった。
一瞬にして目の前が暗くなる。
死ぬのだ。
首が取れて生きていられる人間などいない。
普通の人間ならないッ!!
意識がグン、と戻っていく。
目を開けると、俺は立っていた。
首が自動的に胴体と繋がったのだ。
「ハハハッ、すげえだろ、俺!!」
周りを見る。
三人の冒険者が血を出して倒れていた。
「お前がやったのか」
きっともう死んでしまっていることだろう。
よくあることだ。
いつ死ぬかわからない。
ひょっとしたら今日死ぬかもしれない。
それが冒険者である。
剣を鞘から抜く。
「人を殺したんだ、殺される覚悟、できてるよな?」
俺は右手に持つ剣をカマキリに向かって振り下ろそうとしたその時。
「あら?」
右腕が吹き飛んだ。
ブシャアア──ッ、と右腕からは血が噴き上がる。
痛い。
熱い。
死ぬほど痛いし、意識がなくなりそうになる。
「いってえな、てめえ!!」
けれど、すぐに吹き飛んだ右腕が元の位置に向かって飛んできた。
痛みは一瞬にしてなくなった。
「ふう…… ありゃ?」
次は視界が横にスライドされるようにずれていく。
カマキリにより、身体をバラバラにされた。
またしても、目の前が暗くなる。
意識が遠くなっていくが、気づけば、また意識が戻る。
「そんな攻撃じゃ俺は死なねーって、あのな? 俺は不死身なんだ。確かにお前の攻撃は見えねーくれえはええ!! けどな、んなの俺には関係ねえんだよ。死なねえからさ」
右手で剣を振り下ろそうとすると、右腕が吹き飛んだ。
そのタイミングで俺は剣を宙にあげ、左手でキャッチする。
「お前、それ案外痛いんだからな? お前も味わってみろ!!」
俺はカマキリの右腕を斬り落とした。
シャアアッ、と痛さのあまり喘ぐカマキリ。
ブシャアア──ッ、と紫色の液体が溢れ出している。
「あー、血が出過ぎて意識が……」
流石にすこし血を出し過ぎてしまった。
「もう終わりにすっか……」
右腕が戻ってくると、両手で剣を持ち、縦に振った。
「お前の負けだァ」
カマキリは目は真っ白になり真っ二つになる。
紫色の体液を激しく噴き上げながら、カマキリは絶命した。
ああ……やっべ、さすがに血を出し過ぎちまった……。
クラクラする。
息苦しくなり、胸が熱い。
気づけば、目の前が真っ暗になり、俺はその場に倒れた。
治癒魔法の才能に恵まれたのでひたすら極め続けた結果、不死身になった。アンデットってそれ俺なんですけど。 さい @Sai31
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