検証結果

ヴーヴヴー…ヴーヴヴー

 スマホのバイブで目覚める。


「よくねた。おはよう……。」


そうだ、今日は誰もいないんだ。昨日はみんな集まって合宿みたいな雰囲気に一瞬なったので、朝もみんながいるような気持になってしまっていた。昨日は柴田と別れて家について、どっと疲れが出てきてそのまま寝てしまったんだった。結局父さんのノートは開けられずじまいだ。


ふと不安になってスマホの日付を見る。5月3日になっている。やつらが何か失敗をしてタイムリープできなくなってしまっていた。というようなことは無いようだ。

朝のシャワーと朝ごはんと柴田への電話というルーティーンをすっとこなし、みんなに連絡を取る。よく見たら、夜の間にグループチャットが作られていたらしく、そこでみんなが会話をしている。これを見る限り、みんな結構遅くまで起きていたようだ。僕だけとっとと寝てとっとと起きてしまった。


ただ、特に何かプログラムを書き換えたとかそういうことではなく、本番は今回の夜に行うらしい。支度をしてみんなのところに向かうことにしよう。


研究所について受付を普通にして中に入ると、みんな研究室の方で寝ていた。おそらく、タイムリープ後に研究室の方に来たのだろう。確かに、演算室の方は床も堅いし寒いし眠るにはあまり向いていなさそうだ。


みんなが寝ている横でカバンから買ってきた食料品やらなんとなくいるかなと思って持ってきたスマホの充電機やらモバイルバッテリを出していると、杉下が起きてきた。一通り


「おぉ、穂高、来てたのか。おはよう。」

「杉下おはよう。ご飯持ってきたよ。」

「ありがとう。」

「昨日はどうだった?」

「みんな頑張ってたけど、とりあえずは特に何も変わったことなく、夜中に寝た感じだね。」

「そっか。」


なんでもない話をしているとみんな起きてきた。


「お、おはよう。」

「おはようございますー。」

「とりあえず飯くおう。」


朝ご飯を食べながら、昨日の夜の話を聞いた。高岡と木村は演算室に籠もってモニターとにらめっこしていたらしいが、結局、構造がぼんやりわかったものの、細かいところはわからず、夜でも電話が通じる先輩とかに聞いたらしいが、いかんせん外に出ないと通話ができないので効率が全然上がらなかったらしい。杉下は、ネットワークを引き回せそうなところまでは調べがついたので、ネットで翌日便でケーブルやらルータやらを注文したらしい。自慢気に話していたが、その翌日、と言うのは今日ではなく、タイムリープしている限り永遠にやってこないことを伝えると、あっ、と言って黙ってしまった。

田中は一通り回路を見て、不具合検出の仕組みを理解したらしい。このままだと、急に何か不具合があると受付のおばちゃんが飛んできて、みんなでいるのがバレてしまうので、みんながいる間は検出が止まるようにこれから細工をするらしい。

横木は、ノートを読み漁った結果、世界中の関連施設に繫がっている分散システムの概要と、どこでなんの処理をしているのかわかっていたらしい。この部屋では、特にデータがあるわけではなく、世界中に散らばっているデータと計算機への指令を出すような構造になっているらしい。「ただ……。」と呟いて、「あ、いや、なんでもない。」と言って黙ってしまった。なんなんだろう?変なことでもあったんだろうか。


凄い、みんなが集まったら、こんなにもいろんなことの理解が進むのか。前回の1日では特に何も変化はなかったとはいえ、これは希望が持ててきた。

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