いつもと違う朝

ヴーヴヴー…ヴーヴヴー

 スマホのバイブで目覚める。

 前回の夜はひどい目にあった。強めの酒を2軒はしごで飲むのはそういえば初めてだったかもしれない。それよりも、僕の体としては連日起きるたびにやることが増えていって疲れが溜まっていたのだろう。

とりあえず、柴田を救うために早く家を出なければ。でも、昨日シャワーを浴びずに寝てしまったからシャワーを浴びねば。と思って飛び起きた。


すると、隣に何か普段無い触り心地のものが……。


「っっ!!!」


声にならない声を出して飛び退いた拍子に背中をベランダ側の壁に強打してしまった……。普段無い触り心地のもの、それは僕のベッドの反対端で寝ている西浦さんだった。


急に昨日の記憶がフラッシュバックしてきた。何かしてしまったのか?してない気がする。してしまったのに記憶が無いなら逆にもったいない。これはとう言うことだ?


はっと思ってスマホの画面をじっくり見る。これはよくある、目的を果たしたらタイムリープが終了するアレなのなもしれない。


5月3日8:02、やはり5月3日がまたやってきている。


急いで部屋を飛び出しアパートの自転車置場に向かう。昨日隣駅に置いてきた僕の自転車がそこに置いてある。


と言うことは……。部屋に戻って冷蔵庫を開く。ほとんど空っぽの冷蔵庫だ。一人暮らしの冷蔵庫なんて空っぽで当然なのだが、今のであるのはおかしい。体感一週間前なのだが、カレンダー上は昨日である5月2日にパンとか栄養ドリンクとかを買ったはずだ。それがない。そういえば何回か前の朝に冷蔵庫を開けたとき空になっていたのになんで気が付かなかったんだろう。

財布の中身も見たが、昨日中華屋でピッタリ支払ったまま、小銭が空っぽになっている。


つまりまとめると、タイムリープしていたのは、僕だけではなく、僕の部屋だったようだ。部屋の外は毎夜リセットされて5月3日の朝に戻り、部屋の中は戻らなかったということだ。部屋の外の出来事は僕が何か干渉しない限り同じことを繰り返しているのだ。


そうすると何かおかしいことがあった気がする。クレジットカードの履歴が毎回消えているのは、データが家の外のどこかに保管されているからだし、QR決済の履歴も同様だ。韓国料理屋のブックマークが消えていたのはクラウドに保存されていたからだが、ブラウザで訪問済みの表示が出たのはそれはブラウザ側にデータが残っているからだ。


!!!!


重大なことに気がついた瞬間。西浦さんが目を覚ました。


「おはようございます。シノ先輩。あの後私も酔いが回っちゃったみたいで、そのまま寝ちゃいました。コンタクト外したかったので洗面所と、あとすみません。お手洗いも使わせてもらっちゃいました……」

「西浦さん!急いでうちの父親のところに行こう!」

「え?お父さん?どうして?私達何もしてないですよ?付き合ってもない……ですし。」


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