最高のディナータイムへ

昨日大体韓国料理と韓国のお酒の大筋がつかめたと思う。色々と復習しながら店に向う。たくさん飲ませて酔わせちゃおうとは思わないが、前回のレストランでのことの運びは西浦さん的にはなにか不満があったのは間違いない。そのあたり改善すればもっと良いディナータイムになるはずだ。


今回は早めにカラオケを抜けることができたので、駅から余裕を持ってお店に向かうことができる。やっぱり時間的余裕って大事だ。


お店に入ると、前回同様かなり混んでいる。向かうべき席はわかっているのだが、店員の案内を待つ。


「予約した東雲です。」

「いらっしゃいませ。どうぞこちらです。」


お?前回と案内の言葉が違うぞ。どうやら西浦さんより早く着いたようだ。

席に案内されて周りを見渡す。よく見ると、昨日僕が座っていた席が、外の景色がきれいに見える席だ。恐らく先についた西浦さんが僕のほうに良い席を残しておいてくれてしまったのだろう。そんな気遣いいらないのに。

と思いながら、昨日とは逆側の席に座る。

すると、入口のドアが開いた。ちょうど西浦さんが前回と同じ服で入店してきた。あぶない。ギリギリだったのか。


「あ、シノ先輩。こんばんは。早いですね。絶対渡しのほうが先につくと思ったのにー。」

「結構早く来られてね。たしかに、時間前に集合場所に来るの、珍しいかも。」

「ですよねー。」

「あれ、そういえば、その服、確か新勧の時にも来てた服だよね。」

「そうなんです。よく覚えてましたね。うちの大学の人ってみんな他人の服装に無頓着じゃないですか?」

「いや、無頓着なのは他人だけじゃなくて自分にもだけどね。でも、西浦さんのその服はなんとなく覚えてたんだー。」


研究室トークにならないように。真面目すぎずカジュアルな話を心がけるようにしよう。


「僕大学近くのビビンパ屋さん以外、初めての韓国料理屋かもしれない。」

「えー、そうなんですね。辛いの苦手ですか?」

「いや、そうでもないよ。ヤンニョムチキンとかも食べられるよ。」


前回手に入れた知識をふんだんに盛り込んで自然に会話を進める。でも、ヤンニョムチキン食べられるよ、とか、おこちゃまっぽ過ぎたか?どうだろう。


「先輩はお酒飲みますか?」

「そうだね。この、韓国ビールってやつを頼もうかな。」

「あ、いいですね。これ、韓国ドラマとかにも良く出てくるんですよ。日本だとこれを出してるレストランはあんまりないんですけどね。」


おー、やはり、周りが飲んでいた緑色の瓶のビールが正解だったのか。快調な滑り出しができたぞ。

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