結果はいかに
部屋に入ったところで、とりあえず、横木に曲選びの注意をしておく。他の問題に比べたら些末なものだが、未来が読めているなら避けるに越したことはない。
カラオケも、バンドの練習も、滞りなく進んでいった。毎回毎回同じとこで弾き間違えるなと思うこともたくさんあるのだが、僕以外にとっては毎回の話ではないので仕方ない。
順調に行ったので何事もなくお昼ご飯の時間になったのだが、いい加減選択肢がなくなってきてしまった。ここはひとつ滅多に行かない中華定食屋にでも行ってみるとするか。
定食屋に行くと、結構混んでいて、カウンターの端っこに案内された。従業員用なのか客用なのか、はっきりとはわからない位置にテレビが置いてある。昼のワイドショーのようなものをやっている。祝日だが土日ではないので、平日の昼間にやっていそうな、平和なニュースや海外のどうでもいいニュースを流している。そういえば、タイムリープ生活を始めてから一回もテレビを見ていなかった。今日起こる大事件を事前にテレビ局に伝えたら大金がもらえるのだろうか。ただ、今日のうちに振り込んでもらって使い切れないとリセットされてしまう。流石にそれは無理か。祝日だから銀行への振込もされないだろうし。
今やっているニュースは、近いうちに2つの流星群が立て続けにやってきて、すごい数の流れ星を見ることができる、というものだったが、こんなものリークしてもなんの意味もないだろう。
油淋鶏定食を頼むと、最初からオーダーがわかっていたのではないかと思うくらい超高速で眼の前に出てきた。恐らく、揚げの部分は最初から作ってあって何をかけるかで色々なメニューになるのだろう。
久しぶりの中華は体にしみる。この辛味の感じがなんとも言えない。韓国料理とはまた違う辛さだ。
「ごちそうさまでした。」
財布から小銭を出してお会計を済ませる。ぴったり払って財布の小銭が空っぽになった。これは気持ちいい。良く考えたら大体これまでクレジットかQR決済をしていたので財布を開くのもすごい久しぶりだった。
テレビを見すぎたせいか、部屋に戻ったら全員先に帰って来ていた。かなり時間がかかってしまったようだ。なんとなく、今歌っている曲、予約リストの曲に覚えがある。タイムリープしているのでなんでも覚えがあるといえばあるのだが……。
「あーー!!!」
「どうした?穂高。急に大きな声出して。」
これは隣の部屋の曲を真似して入れているのだ。それも絶対隣まで聞こえるような音量でだ。まずいかも。と思いながら、そっと部屋を出て隣の様子を覗いてみる。何か怒っているようなら、先手を打って謝れば多少怒りも収まるかもしれない。
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