脳内作戦会議
「ごちそうさまでした。」
「ごちそうさま。今日は僕が出すね。」
「ありがとうございます!」
よく考えたら、毎日毎日僕が出しているが、西浦さん的には、今日は、出してもらっている感覚なのだ。若干不公平な気もしたが、そこは飲み込むことにしよう。
「じゃあ、また明日ね。」
「あれ?明日会う予定なにかありましたっけ?」
「あ、いや間違えた。また今度ね。」
「ふふ、ですよね。また今度、よろしくおねがいしますー。」
前回、前々回同様駅に向かい、改札で分かれる。
次回のデートに向けて準備をせねば。前回は韓国料理屋までは調べられたが、肝心の韓国料理は調べきれていなかった。今日頼んだ料理をレシートを見ながら振り返る。ふむふむ、あれがこれでそれがあれか。言われてみれば見たことある料理ばかりだな。
あと、あの緑色の瓶のビールは韓国ビールだったのか。あれも覚えておくことにしよう。乾杯はあれだな。
あとあれだ。朝イチの人身事故を防がなくてはならない。実は僕の家は1つ手前の駅との間なので、自転車で行けなくはない。早めにそっちの駅に向かい、スマホを落としそうになっていそうな人を見つけて助ける。最悪、落としたとしても、事故が起こる前に非常停止ボタンを押せば人身事故ほどの電車の停止は防げるはずだ。そうすれば、カラオケは別の部屋になるはずだ。
穂高は家の電気をつけながら、明日来るであろう今日の計画に思いを馳せた。朝起きたら、猛ダッシュで支度をして1つ前の駅に自転車で駆けつけ、事故を防ぐ。そのままカラオケ屋に早めに着いて部屋を確保する。その間に韓国料理屋に予約を入れながら西浦さんに店変更の連絡を入れる。こりゃ大忙しだぞ。予定を書こうと思ったが、今朝のブックマークが消えてしまっていることを思い出した。当然なのだが、僕のアカウントに紐づいている情報は世界の何処かのサーバーに保管されるわけだが、僕だけがタイムリープしている以上、その記録は前日のものに戻ってしまうはずだ。と言うことは……。
穂高は、いいことを思いついた。油性ペンを探しながら、自分の作戦の素晴らしさにニヤつく。これで、今回までのような、何かをしないといけないことがわかっているのにやり忘れるミスを防げるに違いない。
いずれにせよ、次回の今日はやることがたくさんだ。今日も早めに寝るしかない。同じ日が繰り返したらのんびりできるとばかり思っていたのに、全然そうはならなかった。繰り返せば繰り返すほどいそがしくなるTAS的なものに挑戦している気分だ。
そんな事を考えていたら、いつの間にか眠りについていた。
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