二次会へ
近くにカフェバーの入口に、新作パフェの看板が立っているのを見つけたので、入ってみることにした。アイスもあるだろうし、この際、アイスなんてなくても最悪どっちでもいい。
薄暗い店内だが、結構お客さんは入っていて賑わっている。間接照明の下の、丸いテーブルを囲む少し高い椅子に向かい合って座る。こういうお店は初めて来たかもしれない。
「西浦さんは何を頼む?」
「迷ってます。先輩はまだ飲みますか?」
「うーん、どうしようかな……」
「私はパフェが食べたくなっちゃったんですけど、一人で食べ切れるか不安で……」
「じゃあ、二人で分けようか?あ、取り皿とかに分けてもらう感じでもいいよ。」
いきなりどれくらい距離を詰めていいかわからない。一応お酒も入ってるので、なんやらわかんなくなってきてしまった。
「じゃあ、二人でパフェを分けることにしましょう。」
「了解ー。あと、ドリンクも頼むねー。何がいいかな?」
「えっとじゃあ、ウーロン茶で大丈夫です。」
「はーい。」
と言って、店員を呼ぶ。バイトだろうか。あんまりバーに似合わない地味っぽい店員が、格好だけはバーにいそう、っていう感じの制服を着ている。
「パフェとウーロン茶2つ」
「はい、パフェ2つ、ウーロン茶2杯ですね。」
「え?あ、いや違います。パフェは1つで大丈夫です。」
「あ、はい。分かりました。」
確かにわかりにくかったか。そんなにパフェ好きの二人に見えたのだろうか。周りを見ると、この時間パフェを食べてる人は見当たらず、何かオシャレなカクテルか、あれはワインかな?を飲んでいる。
そもそも、パフェを頼む時点で異端だったのかもしれない。
確かにそうかもしれないが、だったらメニューに書かないでほしい。
「何かお酒、頼んだほうが良かったかな?」
「絶対頼まないといけないと書いてあるわけではないし、いいんじゃないですか?先輩はもう飲む気なかったんですよね?」
「あ、うん、まあそうかも。」
2軒目飲むつもりだったのかな?延長戦を期待してよかったのだろうか?わからない。わからないぞ。
「ご注文のお品です。以上でお揃いで良いでしょうか?」
「はい、ありがとうございます。」
結局、一つのパフェを二人でつつく。周りから見たら普通にカップルに見えるに違いない。よく考えたらウーロン茶もなかなか浮いてるかもしれない。
「苺、最後の食べちゃっていいですか?」
「うん、いいよ。」
「ありがとうございますー。」
うん、これはカップルだ。後は勇気を出せるかどうかな気がする。ただ、パフェ食べながら勇気を出すのはなんか違う気がする。と思いながらパフェの底の方の苺を掬う彼女の顔を眺める。
「どうしましたか?やっぱり苺食べたかったですか?」
「いや、そうじゃないよ。大丈夫。」
「えー、ホントですかぁ?」
「ホントだよ。」
と言うようなやり取りをしていると、さっきの店員がラストオーダーの確認に来た。意外と遅い時間になっていたらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます