今度こそ、のディナー
「僕初めて韓国料理屋に来たかもしれない。」
「えー、大学の近くにビビンバのお店あるじゃないですか。」
「あー、あれも韓国料理屋なのか。あんまり韓国料理だっていうイメージがなかったよ。定食屋っていう感じだった。」
「確かに、普通のから揚げ定食もありますしね。でも、から揚げの辛いやつ、ヤンニョムチキンって言うやつあるじゃないですか。あれも韓国料理ですよ。」
「へー、そうなんだ。詳しいね。とりあえず、マッコリを飲もうかと思うんだけど、一緒にどう?」
「え?一杯目からですか?でも、いいですよ。」
あれ?一杯目マッコリって間違い?よくわからないけど。まあいっか。
よく見ると、周りは緑色の瓶のビールを飲んでいる気がするな。あとで調べておくとしよう。
「サラダとか私が選んでもいいですか?」
「あ、うん。ありがとう。」
なんだか完全にリードされている。西浦さんが店員さんに頼んでいる名前は確かに聞いたことがあるけど、何が出てくるのかわからないものも結構ある。よく考えたら、韓国料理に限らず、外国の料理って大学生の一人暮らしだと全然触れることが無いな。
「西浦さんは韓国行ったことあるの?」
「去年の夏休みに、学科の友達と行きましたよ。親以外と初めて海外旅行に行きました。」
「あー、そういえば、旅行で一週間くらいいなかったときあるね。」
「そうなんです。でも、帰りの飛行機ぎりぎりまで遊んでたら乗り逃しそうになって焦りました。最後に買いたいお土産がありすぎて。」
「そうなんだね。」
「これが南大門の前で撮った写真です。知ってますよね?」
「う、うん。知ってる知ってる。」
やばい、興味がなさ過ぎて全然事前知識が入っていなかった。今の返事も興味なさそうな感じに取られてしまったかもしれない。
「あ、マッコリ来たね。乾杯しよう。」
「そうですね。かんぱーい。」
「あ、これ韓国ノリだよね。これは確かに知ってた。」
「ですよね。」
「これヤンニョムチキンか。食べたことあったかも。」
「ですよね。私も先輩が食べてるの見たことある気がしますよ。大学祭の屋台でもうちの屋台の近くで売ってましたよね。」
とりあえず、勉強以外の話で盛り上がったものの、なんだか僕のほうがエスコートされているみたいだ。
「もう一杯飲む?」
「うーん、どうしようかな。今からビールってのも違う気もするんで、早めに出てどこかでデザートでも食べますか?今日うちに帰ってもだれもいないんで、ゆっくりできるんですよ。」
うん、それは知っている。でも、ここでそれを言ってくれるということは、チャンスなのかもしれない。
「いいね。じゃあ、一旦お店を変えようか。アイスかケーキか、どんなのがいいかな?」
「じゃあ、アイスが食べたいですね。辛かったんで。」
「りょうかーい。」
会計を済ませてお店を出る。もう何回目かわからなくなったけど、二軒目まで持ち込めるようになったのは、結構でかい。
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