コリアンディナーへ

とりあえず、次の予定があるので、早めに抜けさせてもらうことにしよう。


「ごめん、ちょっとのどの調子がイマイチでさ、ちょっとのど休めるために今日は早めに帰らせてもらうわ。」

「あー、確かになー。今日の穂高、調子悪そうだなって思ってたわ。」

「そうだな。GW中毎日飲んでたか歌ってたんじゃないか?って思ってた。」

「いや、ほんとごめんごめんそんなんじゃないんだけど、ちょっと疲れててね。」

「そうか。ならいいけど、気をつけろよ。」

「あ、えっとそうだね。ありがとう。」

「じゃあ、またなー。金は今度会ったときに清算させてもらうわ。」


声がだんだん疲れてきているのはやはりばれてしまっているか。練習がたくさんできて良いとはいえ、多少気を使わないと本当に声が出なくなってしまうかもしれない。気を付けないと。


そういえば、韓国料理の予習をしなければ。うんちくを語る必要はないが、何にも知らないでは流石に怪しまれてしまうかもしれない。現状、キムチとトッポギくらいしか内容と名前が一致していないからな。


サムゲタンやサムギョプサルは聞いたことはあるけど、中に何が入っているかは今初めて調べて知ったな。そういえば、チヂミやビビンバも韓国料理だったのか。確かに辛いやつ入っているな。


大体韓国料理の大筋がつかめたところで、店に向かおうじゃないか。きっと今日も集合時間より早く店についていることだろう。なんだか申し訳ないので、駅からダッシュで僕もお店に向かうことにしよう。


急いでお店に入ると、カレー屋と違ってかなり混んでいる。


「予約した東雲です。」

「いらっしゃいませ。お連れ様がお待ちですよ。」


席に向かうとあれ?西浦さんがワンピースではない服を着ている。


「あれ……、その服……、」


と口に出しそうになったが、そういえば、そもそもワンピースを着て来ることがデフォルトであることは知らないはずなのだ。危ない危ない。今のところタイムリープの発動条件が不明である以上、ひょっとしたら、タイムリープの事実を知られたらもう二度とタイムリープできなくなったり、西浦さんまでタイムリープしてしまう危険性もあるのだ。


「あ、シノ先輩。服がどうしましたか?」

「あ、いや、その服、確か新勧の時にも来てたよね。と思ってさ。」

「そうなんです。よく覚えてましたね。うちの大学の人ってみんな他人の服装に無頓着じゃないですか?」

「いや、無頓着なのは他人だけじゃなくて自分にもだけどね。特に研究室に所属するとみんな……そんな感じ……」


しまった、このままいくとまた研究室トークになってしまう。それは避けなければいけない。そのために店まで変えたんだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る