三度目の失敗

昼時がやってきた。同じ駅で3日連続お昼ご飯を食べるとなると、だんだんバリエーションが減ってくる。ただ、ちょうどお昼に行く直前の時間に無事西浦さんから連絡があって韓国料理屋への変更を快く承諾してくれた。やはり、実質事前に調査入れてるようなものなのでハマるものだ。


前回はハンバーガー屋、前々回は牛丼屋だったので、今日はカレーにでも行くとしよう。前回までは夕ご飯にカレーが控えていたのだが、今回は韓国料理に代わったので、お昼のバリエーションもまた変わるというものだ。


とはいえ、そういえば僕の体的には毎日カレーを食べてるなー。と思いつつ部屋に帰ってくると、毎度のごとく、部屋には僕と横木だけになっていた。部屋が静かになると、いやおうなしに周りの部屋の音が漏れ聞こえてくる。

隣から前回までと同じ、爆音で音の外れた歌が聞こえてくる。


「おい、こっちで同じ曲の正解の歌い方、きかせてやろうぜ。」

ちょうど入ってきた田中が言った。

「それいいな。ちょうど今の曲は最後に歌おうと思っていたやつだし。」

例によって横木が乗っかる。

これはまずい、なんとか変えなければ。

「いやー、やめとこうぜ。こっから平成縛りとかどう?」

「えー、まあいっか。そういえば、最近SNSで平成レトロ流行ってるよな。まずは俺から行くぜ。」


そういえば今回どう変えるべきか、あまり考えていなかったので抜本的な解決策はおもいうかばなかったのだが、まずは今回はこれで様子を見てみよう。


外をみると、扉の外から覗いている人影が見える。うわ、やっぱり変わらなかったか……と思っていると、

バーーーン

と扉を蹴り開けて、金髪ピアスの例のやつが入ってきた。ただ、今回は心の準備ができているので、びっくりはしない。


「お前ら気持ち悪いな!古い曲ばっかり歌いやがって!」


あー、また結局これかー。

後ろで例のいかにもっぽい風体のやつが、シャツを引っ張って制している。


「おい、やめたれ、こんな男だけで昼からカラオケしてるやつらと絡むな。」

「ったく!とにかくやめろよ!」

バタンッ


嵐のように去っていった。びっくりした。真似さえしなければ良いと思っていたのだが…。アニソンも地雷だったとは…。


「おいー!穂高が平成縛りしようなんていうからひどい目にあったじゃんか。」

「なんだよ、平成縛りにしようって言ったの穂高だったのか。いいかげんにしろよー。」


これはあれだ。何を歌ったところで彼らの機嫌が悪い以上、いちゃもんを付けられる運命からは逃れられないようだ。これはなんとかして部屋を変えなければ。

タイムリープ生活もやってみると意外と難しいものだ。

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