4回目の朝
ヴーヴヴー…ヴーヴヴー
スマホのバイブで目覚める。
猫かよ、ってくらいの伸びをしてベッドから起き上がる。
昨日までの出来事が夢でなかったのか確認せねば。スマホの画面をじっくり見る5月3日8:01、やはり5月3日がまたやってきたようだ。
一応パソコンも開いてみる。やはり5月3日と表示されている。
間違いなく今日も5月3日であることを確認して、ベランダに干してある着替えをする。今日はスーツに着替える必要はない。
冷蔵庫を開けるが目ぼしいものはほぼ無いようだ。どうせカラオケでおつまみプレートが出てくるから食べなくてもいいか。それよりも、前回の経験を活かすために作戦を考えねば。
まずは今夜のお店を予約せねば。昨日調べた韓国料理屋の予約をしよう。あれ?昨日ブックマークしたのに、残っていない。ブックマークをタップしたつもりでミスっていたのかもしれない。
カレー屋は予約してなかったが、ここはいったこと無いのでとりあえず予約してみることにしよう。そういえばその前に、今日のお店を変えてよいか奏奈ちゃんに聞かなければ。
急に韓国料理が食べたくなったんだけど、お店を変えてもいいかな?っと。
これでよし。あとは返事を待つだけだ。
あとはカラオケの方だが、もうあの部屋に案内された時点で横のやつがなにかいちゃもんつけてくるのは確定のような気がする。そうならば、早めに行って先に受付を済ませてしまい、別の部屋に案内されるようにするしかない。
本当はこんなに早く出る必要はないのだが、元々バイトに行く前提で家を出る時間に出発することにした。この日のこの時間に家を出るのはもう3回目だ。どこの交差点でひっかかって、どこの角から急に自転車が飛び出してきて、どこで猫が集会を開いているのかも全部わかる。駅まで最短時間で着く事ができた。
駅につくと、改札前に人が溜まっている。人身事故かなにかだろうか?昨日と全く同じ光景だ。
「いつになったら動くのかわからないのか!?」
これまで何回も聞いた覚えがある声だ。
しまった。電車は人身事故で止まっていたんだった…。駅員の話を聞いたり、電光掲示板の表示を眺めたりするが一向に状況は変わらない。改札でイライラしているとすると、声をかけられた。
「おい、穂高じゃんか、穂高のほうが先に駅に着いてるなんて珍しいな。それにしても人多いな。連休なのに人身事故とかやめてほしいな。しかも、隣駅だってさっき聞こえてきたぞ。」
なんと、足止めを食らっている間に横木が来てしまった。
「えー、運転を見合わせておりましたが、確認作業が終わりまして、ただいま前の駅を電車が出発しました。全車各駅停車での運行になります。」
電車が動き出したようだ。時計を見てみると結局昨日電車に乗った時間だ。部屋の変更作戦は失敗に終わってしまった。
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