4月21日 日曜日 雨

 昨日も述べたが、今日はアルバイト初出勤日だった。

 期待半分、不安半分。期待はバリスタとしてカウンターに立つ楽しみ、期待された役割を全うする自分のイメージに対する期待、お客さんとコーヒーを通してつながる機会に対する期待など、あげればキリがない。対して、不安は期待された役割を全うできるかに対する不安、ちゃんと組織に受け入れてもらえるかという不安など、これもあげればキリはない。

 そんな期待と不安で頭が一杯で、今日は朝の一杯について考えている余裕がなかった。考える余裕がなくとも、形式的でも楽しむ余裕は持っていたいということで、モーニングプレートを作り始める。モーニングルーティン。そう、どれだけ忙しくても自分の好きなことを楽しむ余裕は持っていたいのだ。時間的にも、精神的にも。

 常に自分のキャパシティの100%で生活していると、それ以上のタスクがふってきた時に対応ができない。現に今年のはじめにそれで体を壊したばかりだ。その意味においても、また心の豊かさ(今風の言い方ではウェルビーイング?)の意味においても、毎日何かしら好きなことには触れていたいと思う。例えば、今の自分にとってそれはコーヒー、料理、読書、研究、独学、花の世話、写真、あとは今こうやって書いているように言葉で表現すること。こうしてみると、随分多趣味になったものだ。少し前まで、コーヒーと研究(少し料理)くらいだったのに。読書は比較的前から好きだった。花の世話については不思議だ。送別でもらった花束の世話を始めてから、花を愛でるということよりも、世話をすること(水替えとか水切りとか)が好きになってしまった。世話好きなのだろうか。閉じてた蕾があって、開いてくると愛おしくなる。

 話が逸れたが、あえてこのまま逸らしてみよう。このように好きなものやことに囲まれた生活というのは、とても充実感がある。新生活で新しい人とのつながりも増え、新しい挑戦をする機会も増えたとなれば尚更だ。そんな毎日をこのような文字の形式で表現することに、どのような意味があるのか。今一度考えてみたい。タイトルに反して、コーヒーに全く関係ないことを語り出しているのはご容赦いただきたい。

 この意味について言葉で表現しようと思うと難しいが、このような充実した毎日はいわば線画のようなものだと思う。そのままでは色がないが、色がなくても十分美しい。そんな毎日は表現されることではじめて色づく。表現されることで色づいた生活は、美しさが増すというよりは、記憶の中で生き生きと鮮明に残る。おそらく、その他にも表現することの意味はあるだろうが、ざっとこんなイメージだ。それは表現することであれば、人に話すでも、写真に残すでも、こうして文章に残すでも、なんでもいいと思う。他者による共感、自分によるアウトプット、表現することにおけるどの要素にこの色付けの効果があるのかはわからないが、こうして表現されることで生活は色づく。持論だ。

 話を戻そう。まだモーニングプレートを作り始めたところだ。今日も昨日に引き続き、エッグチーズベーコントースト(勝手に名付けたそのままの名前)を作った。今日は好きなものに囲まれた時間を過ごすことができればよくて、特にそれ以上どういうふうに楽しもうとか考える余裕はなかった。電車の中で読んだ本も文字として認識できても、内容が頭に入ってこなかった。コーヒーも同じ理由で昨日に引き続き、エチオピアエアルームのナチュラルプロセスのコールドブリューを飲む。これは注ぐだけでいい手軽さというよりも、せっかく作ったご飯が温かいうちに食べられるのが本当にいい。このことは昨日も言ってたけど、大事なことなので二度言った。コールドブリューをグラスに注ぐとボトルの中に微妙に残った。それで、二杯目を昨日買ったくどうれいんさんの本「コーヒーにミルクを入れるような愛」にちなんで、めったに入れないミルクを入れてグラス一杯分の液量にして飲んだ。

 こうして好きなコーヒー、充実した朝ごはん、本、花に囲まれて元気がみなぎってきたところで出勤。今日の目標は楽しむこと。いってきます。

 結果から言えば、楽しく働くことはできた。愛嬌で世渡りするタイプではないが、今日は笑顔と挨拶とノリに頼りっきりだった。内心ではそれくらい余裕がなく、その一方で周りにはちゃんと働けてたよーっていう評価をもらえていたので及第点だろう。

 久しぶりにカウンターの中でバリスタとして立つ、ということがそれ以上に楽しかった。天職なのかもしれないなと思いながら、メールに溜まった新卒就活のイベントに応募をする。バリスタとしてカウンターに立つことができるのも、とりあえずあと2年と思うとなんだか少し寂しくなる。自分のための毎日の一杯一杯だけでなく、お店でお渡しする一杯一杯も大事にしていきたい。

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