第3話 反響

いない。



でも、アリサのブランケットは確かになくなっている。



周りに飛ばされていることも考えたが、どこを見渡してもブランケットも、アリサもいない。



私から勝手に離れるような子じゃなかったはず。


だって今日も、早く早くと急かすわりに、私から10メートルも離れなかった。



じゃあなに?



人さらいがアリサを連れて行ったの?



こんな僻地の、真夜中の崖で。



お願い。アリサを返して。



わたしは救いを求めるように、必死になって探した。



近くに森があったから、もしかしたらと駆け込む。



「アリサ!もう外は暗いから危ないよ。私から離れないって約束したよね!」


「わたしの声、聞こえる?」



「返事して…。アリサの声が聞きたいよ。」



返事はない。





________アリサはいない。

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