幼馴染と異世界のんびり旅

皇帝ペンギン

第1話 幼馴染と異世界

「うっ ここは?」


「ねえ浩介?ここどこ?」


「…どこなんだここは…」


目が覚めると知らない場所にいた。

白い光に囲まれた場所。

そして幼馴染の桜井 二葉。

知らない場所だが恐怖や不安は感じない。

何故なら……


「こんにちは 

 あなた達の人生は悲しくも

 終わってしまいました。」


女神様がいるからだ。





9月1日 残暑が残る中、俺は幼馴染の桜井と一緒に

高校へ通学していた。

桜井とは子供の頃からずっと一緒だった。

小学生の頃には結婚の約束までした程の仲だ。

たしかその時にもう一つ約束をした。


「私と浩介くんはずっとずっと一緒!」


桜井はあの頃の約束を覚えているだろうか

ときおりあの約束は夢だったんじゃないかとも

思っていた。


だが 

考えながら歩いていたこと

あまりの残暑でぼーとしながら歩いていた。


「……浩介! 浩介!」

 

気がついたら赤信号にも関わらず

侵入してしまっていた。


目の前から車が来る。


「あ、桜井…」


桜井は俺を追いかけ、一緒に横断歩道に侵入

してしまっていた。


スローのように感じた。


嫌だ 桜井には死んでほしくない


「どっどうして…」


「約束でしょ? 私が忘れると思った?」


あの約束は本当だったのだ。


俺は泣きそうにもなる中、こう願った。


(あぁ神様女神様 どうか桜井とはずっと

 一緒でありますように)

これは約束なんだ。




「以上があなた達が

 死んでしまった理由になります。」


「なるほど?」


正直死んでしまった実感が無い上に

あまりに衝撃的な展開に戸惑っているのが実状だ。


しかし意外と桜井が冷静でいることに驚いている。


「それで? 何故私たちはこのようなところに

 いるんですか?」


「あなた達には選択肢があります。」


「「選択肢?」」


「はい。 選択肢です。

 まず1つ目は

 現代の世界に生まれ変わること。

 この場合あなた達2人は別々に

 生まれ変わり、記憶を失います。

 ですがこの選択肢の場合は

 生まれ変わった人生は

 誰もが羨ましがるような

 人生になることを確約します。

 

 2つ目は異世界への転生。

 この場合あなた達2人は同時に同じ場所に

 転生し、記憶を保持しています。

 ですがこの選択肢の場合は

 つらく厳しい旅になることでしょう。

 あなた達はどちらを選びますか?」


 なるほど両方にメリットデメリットが

 存在している選択肢か

 メリットデメリットを天秤に

 のせることによって

 最適解を見つけるものだ

 メリットデメリットは

 同じくらいに見える。

 だが俺からすればメリットが

 あまりにも片方に偏り過ぎている


「「2つ目の選択肢を」」


女神様は分かっていたかのように微笑んでいった。


「分かりました、

 あなた達の望むようにしましょう

 辛く厳しい旅でもお互いに支え合えるように」


そうして目の前が真っ白になった。


目を開けて起き上がる。

横にはまだ目を閉じている桜井がいた。


「桜井、 おい桜井。」


「うーん…ここは?」


「異世界だ。」


「あぁそっか 良かった。

 本当に良かった。」


目の前の世界は異世界そのものだった。

ドワーフのように小さい体の人。かと思えば

2メートル超えの人。

人間以外の狼男のような人。

耳が長いエルフ。


「「本当に異世界なんだなぁ」」


お互いに顔を見合わせて笑いあう。


「とりあえず立てる?」


「手貸して」


「はいよ」


手を引っ張って立たせる。

手を触ってみて幼馴染であることを

改めて確信する。

そしてつらく厳しい異世界。


「「一緒に頑張ろうね!!」」


やっぱり俺たちは繋がっている。




  


 






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