第24話 歌会の前に

「それで山田くんが歌会に参加することになったんだね。すまないね、うちのメンバーたちが迷惑を掛けてしまって」


 雲助さんは、それはもう、深い深いため息を吐いている。


「いえ、僕もサト先生が参加している歌会に興味がありましたから。渡りに船です」


 成り行きで参加することになった山田くんは、この状況を楽しんでいる。トロフィーといってはおこがましいが、景品レベルの私の為に争うなんて、なんて素敵なシチュエーション。

 ちょっと、ハラハラ・ドキドキ。


「だが、勝負は継続だ。君の覚悟を見せてもらうよ」


「パワーだけが筋肉ではないことを、教えてあげるよ」


 北壁さんの謎のテンションはともかく……夏芽さん、短歌に筋肉は関係ありません。


「山田くんは営業のホープなんだから、あんまりいじめないでよ」


 ゴン太さんは平常運転。


「それでは、七月の会を始めるよ」


 雲助さんは淡々と宣言しました。


「山田くんは、初参加だから、簡単に歌会の説明するよ。我々の歌会は当月、又は季節がお題の短歌を作歌すること。ルールはそれだけだ。勿論、今回はルールに縛られずに自由でよいよ。僕は雲井大輔、皆からは雲助と呼ばれている。今日はよろしくね」


 山田くんは静かに頷いている。きっと、このメンバーで一番年上だと思っているんだろうな。

 面白いから、今は黙っていよう。


「それでは、いつもの順番で良いかな」


「ちょっと待て。今回、俺と夏芽は、山田くんとの勝負の為に、共通のテーマで一首だけ作歌した。

 だから、雲助、ゴン太、ツグミン、夏芽、俺、山田くん、ツグミン、ゴン太、雲助の順番にしてくれないか」


「なんか企んでいるんだね。いいよ。その順番でいこうか」

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