玲ちゃん!旦那様(仮)の家に泊まる!?
後ろ髪を引かれる思いだけれど、そろそろ時間も遅くなってきたので帰ることにした。お母さんからのお泊り了承済みとは言え、優君も疲れただろうし私も欲望駄々洩れの夢に当てられて調子が狂っちゃったしね。
「それでは優君、お邪魔しました。今日は楽しかったです」
「今日はありがとう玲ちゃん。助かりました。お夕飯も美味しかったです」
「うん、お粗末様でした。今度は優君のお料理も食べてみたいかも?」
「わかった。そんなに上手い方じゃないけど…練習しとくね」
「楽しみにしてます。それじゃあ…」「途中まで送るよ。暗くなったしね」
そう言いながら優君も靴を履いて一緒に玄関を出た。(あ、優君とお散歩だ。やった!)
外に出ると昼間のぐずついた天気が、なおのことご機嫌斜めなようでいつ降り出すか分からないような曇り空だった。傘持ってく?と聞かれたが、もし降り出しても走って帰るし大丈夫って。
優君も、じゃあ僕もいらないかなって。おそろい?で嬉しかった。
でも…若すぎたふたりのその判断が、あんな大変な事態に発展するなんて思いもよらなった…。
はい土砂降りです。数分も歩かないうちにバケツをひっくり返したような雨とはこのことかと。雨宿りできる軒先もなく、結局優君のお宅へ舞い戻ってしまった。
優君はすぐにタオルを渡してくれて、優君自身もタオルで濡れた頭を拭いていた。季節的には肌寒いほどではないけれど、ふたりしてずぶ濡れになったままはよくない。
この雨もやむことはなさそうだと天気予報で出ていたので、走って帰ることも難しい。まさに降って湧いた幸う…出来事に、しょうがない!しょうがないよね! と顔には出さないように優君に今日お泊りしていいか聞いてみた。
「優君、雨やまないみたいだし…今日お泊りさせてもらっても…いい?」
「僕は…大丈夫だけど…ご両親に連絡はしておこう」
「うん。お母さんからお泊りの許可はもらってるけど、心配してると思うから」
私は濡れたタオルを首にかけたまま、自宅へ電話をかけた。数回のコールでお母さんは出てくれて、今日お泊りすることを伝えたら優君に代わってと言われスマフォを優君に手渡した。
優君は緊張しながら受け答えをしていて、お辞儀してハイ! ハイ! ってちょっと可笑しかった。
通話が終わるとスマフォを渡してくれて、私のお父さんも会社から帰ってこれないらしく、玲を迎えに行けないのでご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いしますとのこと。
今日お父さん家にいたのに…お母さんも運転できるのに………玲! がんばるね!
僕は大丈夫だから玲ちゃんからお風呂先に入ってと言われ、いや優君が、玲ちゃんがと押し問答してるうちにクチュン! と私がくしゃみをして先に入ることとなった。
「優君もいっしょに入る?」「入りません」
必殺! 上目づかいで。
「私は…いいよ?」「玲ちゃん…からかってるでしょ…」
「えへへ」「可愛いけど入りません。濡れた服は洗濯乾燥機に入れておいて」
「はーい」
「玲ちゃんがお風呂場に入ったら、僕も濡れたのを洗濯機に入れて回しちゃうから」
「そしていっしょに?」
「入りません。ゆっくり湯船につかって温まってね。出る頃には乾いてないか…母さんの借りて…ぁ下着は…う~ん」
優君はまたしても、うんうん悩んでたけど私が服は大丈夫だよと言うと、頭の上に?マークがついたような顔をして、分かったと脱衣所から出て行った。
我が母ながら恐ろしい…。こうなることを予測していたのだろうか。私の想像通りなら…やっぱり。(でも『こんなこともあろうかと、予備のPSコンを入れておきましたからね(母より)』とかやりかねないところも…)
出かけに渡されたライトキャンバスバッグを開けてみると中には、私のお気に入りの紺のパジャマと…この前に買ったばかりの白のレースのインナー。
旅行用のさらさらスキンケア用品とお風呂用品まで…一番下の方にスキンの箱とメモ用紙?
『あなたの心の赴くままに、がんばれ 玲』
娘に対する配慮が行き届き過ぎ…ありがとうお母さん。
優君の言葉に甘えて私はゆっくりと、そして丁寧に身体を洗い湯船につかって温まった。
覚悟はしてる…。恐くなんてない…こともない。緊張は少し…。
本当なら私から誘いたいくらいだけれど、そこは彼氏から求められたい。めんどくさいかもしれないが世の乙女はみんなそうだと思う(所説云々…)。
先ほどの優君から初めてされた接吻は素晴らしかった。目的がロマンチックではなかったが(舌の辛さを軽減)、優君からというのがポイント高し。
まさか初めてが食卓の上!? と思ってしまったのは絶対に誰にも言えない。
常在戦場。この日のためのイメトレも欠かさず
そういえば優君は脱衣所に入ってこなかったけど、どうしたんだろう?
お風呂から上がりしっかりとお着替えしてから優君を探しに
ここが私の初めての…。
「玲ちゃんお風呂あがったんだ。温まったみたいで良かった」
「お風呂ありがとう優君」
「どういたしまして。パジャマ持ってきてたんだ。うん似合ってて可愛いです」
「お母さんが持たせてくれてて。優君も早くお風呂入って温まって」
「ありがとう。タオルで拭いた後ジャージに着替えたから寒くはなかったしね」
「そのジャージ学校のじゃないね? 優君、運動してたっけ?」
「まぁ少しね…。寝る前だから少なめにホットミルク置いといたから飲んで。それと寝るところはそこの和室に布団敷いたから。眠かったら先に寝ちゃっていいからね」
「ありがとう。何から何まで私が優君のお世話しに来たのに…」
「何言ってるの玲ちゃんは。僕が今日どれだけお世話されちゃったか。感謝するのは僕の方だから…じゃあお風呂行ってくる」
「はい。ゆっくりと温まって下さい」
優君からいただいたホットミルクを両手で持ってソファーに座る。チビチビと飲むとほのかに甘い…はちみつが入ってる。まめだなぁもう…優君ったらぁ。ほっと一息ついて今日のことを思い返す。たった半日だったのにどれだけのイベントがあったのやら。
それこそ朝から晩まで優君のことで埋め尽くされて、イレギュラーなことだらけで、でも全く不快なんかじゃなくて、チョットしたことでさえ幸せを感じてしまう私は本当にチョロインなんだろう。
顔がふにゃりと緩んでしまう。いけないいけない、お風呂上がりのスキンケアを忘れるところだった。汗も落ち着いたし、化粧水→美容液→乳液と時間をかけ保湿クリームで
寝る前の柔軟ストレッチをしてると、優君もお風呂が終わったようだ。
「玲ちゃん凄いね。180度開脚って僕できないよ。体硬くて」
「毎日の習慣かなぁ。小学生の頃からだから、時間をかけていけば優君もできると思うよ?」
「そっかぁ何事も積み重ねだよね…」
なんとなく会話が途切れてしまった。時計の針の音だけが、コッチコッチと響いている。
「優君は…自分のお部屋で寝るんだよね?」「うんそうだけど」
「せっかく敷いてくれたんだけど、私も優君のお部屋に一緒に寝ちゃ…駄目かな?」
「………玲ちゃんは…いいの?」「うん……」
そういうことになった。
つづく
ちょっと…ほんとに止まらないんですけど…セルフレイティングで性描写アリじゃないからね
優君と玲ちゃんそこんとこわかってるよね?
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