玲ちゃん!旦那様(仮)の家に行く
今日は優くんのお世話をしに旦那様…(違わないけど)、彼氏の自宅へ初訪問する日。
お義父様とお義母様にお会いできないのはとても残念だけど、だからといって気を抜く理由にはならない。
誠心誠意、優君のお世話をする日のために私のこれまでの家事スキルは磨かれてきたと言っても過言ではない(過言です)。
心が通じ合ったあの日から、湯水のように湧き上がるこの想いは留まることを知らず、隙あらば邪まな考えに向かってしまいがちな自分を律する私を、優君はもっと褒めるべきである。
いやいや優君のせいにするのはよくない。これは自分自身で解決しなければ。
でも最近はかなりタガが外れかかってしまっていて、優君を甘やかしたい…違った、優君にご奉仕…違う違う…何かをしてあげたい気持ちも当然あるのだけれど、甘えたい願望が洪水のように押し寄せてきて困ってしまう。
なので今日のお世話のための準備とイメージトレーニングは万全を期している。
お昼すぎての訪問なので、午前は準備のチェックと瞑想をして脳をほぐし、穏やかな気持ちに。
あくまでお世話のための訪問である以上、浮ついた服装ではなく汚れても問題なく動きやすい服装を選んだ。スポーツブラにカットソー、ストレッチ素材のパンツスタイル、その上に薄いパーカー。
髪はあらかじめまとめて3つ編みで作る縦長シニヨンをお母さんに手伝ってもらい、臨戦態勢は整った。
お掃除の後はお夕飯も作るんだけど材料は
そんなに荷物になるほど買わないよって言ったのに、僕も玲ちゃんと一緒に手伝いたいからって…もう! もう! 優君は私をどうしたいの?
家を出る時にお夕飯は優君と一緒に食べてから帰りますとお母さんに伝えたら、小声で、
「ご迷惑にならないのであれば、今日はお泊りしてきてもいいからね。それと念のためこの袋も持って行きなさい。必要になるかもしれないからね」
そう言って少し大きめのライトキャンバスバッグを渡された。私は顔を赤くしてバックを受け取った。
そんなに重くないけれどなんだろうと聞いてみたら、「玲が困ったときに開けてみなさい」って。? っと思ったけどお母さんの先読み能力は外れたことがないので、素直に持って行こう。
少しだけ曇り空だけど雨は降らないと天気予報は出ていたので、傘は持ってこなかった。最悪降ってきても濡れて構わない服装だし走れば問題ないかな。
いつもならぐづついた天気は憂鬱になりやすいのに、今日の私の気分は過去最高に高揚している。
なのにふわふわしてるでもなく地に足がついていて…今なら空手の形競技の岩鶴が完璧にできるような気がしてしまう。
そんな不思議な心持ちで歩いていたら、あっと言う間に優君の住むマンションについてしまった。
優君の住むマンションは7階建で3階に住んでいるとのこと。オートロックの入り口でプッシュホンの呼び出しをするとすぐにドアが開いた。
そして、だんn…初彼氏の自宅へ初訪問。ここにきてさらに胸が高鳴るとは、少しだけ息を吐き…呼び鈴を押す。
ピンポンと軽快に音が鳴り、ガチャっと音をたてて玄関が開き優君が出迎えてくれた。
「いらっしゃい玲ちゃん。服装似合ってて…可愛いです」
「(照れてる優君が可愛い)こんにちは優君。ありがとう。そう言ってくれて嬉しい。今日はがんばるので!お邪魔します」
「どうぞ~っと荷物持つから」
「ん、大丈夫だよ? でも…はい。お願いします」
バッグを受け取った優君は少し顔を赤らめた顔で私を室内に招いてくれた。
さて、玄関から廊下を進みDK(ダイニングキッチン)に到着。3DKのファミリー向けマンションなので全部を掃除となると今日の数時間では終わらない。
要所を押さえて効率的にと考えていたら、優君が自分の部屋と荷物置きの部屋は片づけて掃除したので、廊下、DK、お風呂場、和室を重点的にやって欲しいと。
背負っていたナップサックを降ろし、掃除の服装準備。マスクを装着して、よし!やるわよ~!と張りきってたら、優君もいつの間にやらお掃除準備完了の服装で布マスクをつけてるところだった。
「え? 優君は座ってていいよ。今日は私が優君のお世話兼お掃除係なんだから」
「え? いっしょに掃除してくれるんだったんじゃないの? 一人でやる気だったの?」
「そうだよ?」「…」
どうやら二人の通じ合った心のつながりは、まだまだ発展途上のようである。
ふたりして笑いだしてしまった。
「もう! 優君はちゃんとお話し聞いてくれたの?」
「聞いてたけど、まさか本当に一人で掃除すると思わないよ!」
「そお? 私、やると言ったら徹底的にやるんだから」
「確かに…失念してた。でも僕一人座ってるって居心地悪いし、玲ちゃんといっしょにやりたいと言うか…」
「(ふたりの共同作業…いい)分かりました。では役割分担してがんばろー!」
「おー!」
という事で優君にはお風呂場を、私は部屋の方を受け持ち掃除を開始した。
普段からまめに掃除をしてるのか想像していたほど汚れているところはなかった。掃除の基本、全体的に上から下へ、奥から手前に静電気ホコリ取りでホコリを落とし、軽く濡らした雑巾で落としきれなった汚れを拭いていく。
小さい脚立も優君のお家に有ったのでお借りし高いところにある目につく汚れもサッと拭いていく。最後に掃除機で部屋と廊下は完了。
優君はお母さまが居ないときでも一人で食事を作ったりすると言ってたので、台所周りは正直もっと汚れていると思ってた。換気扇も油まみれということもなく軽くふき上げるだけでよかった。
男性の一人暮らしはもっと大雑把で汚いと令にぃは言ってたのに…。
優君のお義母さまがこまめに掃除しつつ優君も継続して軽くでも掃除していたのかもしれない。いつの日かご挨拶する時が楽しみだ。
集中していると時間が経つのが早い。
時折、私の様子を見に優君が顔を出してくれたりして小休憩を取ったりしたけれど、一気に掃除をやり終えてしまった。
優君の方も普段はあまりお風呂場は湯舟を洗う程度しかしないけど天上、床、壁と全部を洗って満足感があったと笑っていた。
汗をかくほどではなかったけれど、服がホコリまみれだったり水に濡れたりと二人とも汚れてしまったので普段着にお着換え。
私は持ってきた長袖Tシャツとデニムに着替えその上に着てきたパーカーを羽織った。優君も先ほどとは違うジーンズとカッターシャツに着替え、ソファーでぐたっとしてる。
「優君疲れちゃったでしょ? 少しお昼寝してて」
「うん。ごめんね。お言葉に甘えて少し横になってる…」
優君はそう言いながらすぐに寝息を立てて夢の中へ
つづく
すこしのはずが…勝手に優君と玲ちゃんが動き出した…パブロン飲んだからか…
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