最終話 大好きな彼氏に疑われた私が、大好きな彼氏をもっと好きになるおはなし?

 両親と優君との挨拶は終始とどこおりなく進んでいった。

お父さんとお母さんが優君にお礼を言った時は少しひやひやしたけど、和やかな雰囲気のなかで夕食も誘い四人で食事をした。


 二人ともずっと優君に対してお礼を言いたかったみたいで、それこそ実の息子のように構っていた気がする。恐縮してる優君がまた可愛いくて。

 

 食事を終えてから優君に私の部屋へ来てもらい飲み物を用意するからと待っててもらった。


 段取りは完璧。飲み物で緊張をほぐして、それから謝罪。

あの日の説明をして令にぃがいとこである証明として家族のアルバムを見せる。(優君個人のアルバムは秘密)最後に誕生日プレゼントを渡してMission complete。

 

 大丈夫、昨日の夜から20回はイメージトレーニングをした私に隙はない…いや油断はいけない。

 飲み物を載せたトレーを持ったまま扉の前で空手の息吹を行う…。


 優君いざ!


 そんな私の想定は全く意味をなさなかった。


 そもそも優君が家に来てからことごとくく先手を取られた時点で、私が断罪されるのは確定だったんだろう。


 お茶を飲み一息ついた優君の口からは謝罪から始まり家に来た目的、今までのいきさつと優君の本音も、そして…。


「~別れて…ほしいです…」


 そう言って頭を下げた姿を見て私は、めまいを覚え身体が震えだし息を呑み絶句した。


 優君に疑われるのも、信じてもらえなかったのも、私に対する調査も不純な動機で両親に挨拶したことだって全然気にならない。


 きっかけは私で、そうなるようにしてしまったのも全部私のせいだから。

 優君が吊りあわないなんて考えているのも何となく感じていたけど、私が変えるんだって…。

 

 だからこれは罰なんだ。別れて欲しいなんて言われるのは、私への罰なんだって。


 よく気を失わなかったと思う。涙も堪えたと思う。

冷静なふりをしていたけど危うく、ごめんなさい、捨てないでくださいと泣いてすがってしまうところだった。いや、そうしたかった。

 

 でもそれじゃダメ。それじゃあ、泣いて蹲ってたあの頃と同じ。


 今なの。私にとって一番大切で重要な瞬間は、今なの。

 

 昔、お母さんが言っていた


「玲が知ってる優君のようになれるように。また会えたとき、今度は玲が優君を守ってあげられるような女の子を目指しなさい」


 守られて、救われて、人生の指針になってくれて、どれだけ甘やかされれば気が済むの…。

 成長したんでしょ! あなたが私を誇ってくれるようにがんばってきましたと、胸を張って再会するために!


 今度は私が守るんだ。あの時、私を守ってくれた優君のように。


 

 震えよ止まれ…鼻から息を吸い口から出す。がんばれ私。負けるな私。勇気を。


 優君にそっと近づき頭を撫でて、涙をぬぐってあげる。

そして優君が疑ってたことや、していたことなど、全てではないけれど分かっていたことを伝えた。

 

 それから罪を告白し謝罪したあと頭を下げようとしたら、両腕を掴まれて(ドキドキしたけど)止められてしまった。


 優君も私もどっちも自分が悪いと引かないので、だんだん私の口調も幼くなって優しい口喧嘩がたまらなく嬉しくて、罰を受けなくちゃいけないのに幸せを感じてしまって。

 結局、優君は引いてくれなくて喧嘩両成敗みたいになっちゃった。


 でもそこで私の絞り出した勇気は限界に来ていて、堪え切れなくなって幼い頃のように大泣きしてしまい、とどめとばかりに



あ~よしよしもう大丈夫だからから大丈夫だから



 優君はズルい! 私のこと忘れてるのに! 昔会った出来事も覚えてないかもしれないのに!

 一番辛くて苦しくて悲しくて恐くて頭の中がぐちゃぐちゃな時に、一番欲しい言葉を言ってくれるんだもん。


 好き。大好き。絶対優君から離れたりしない。離したりしない。絶対に…絶対に。



 落ち着いた私は自分の顔を見なくても酷いことが分かるほど泣いてしまったことに恥ずかしくなり、明日全ての誤解を解くので時間をくださいと優君に帰ってもらった。


 今日みたいな優しい口喧嘩なら、たまにならしたい…かも。

その後の 仲直りックスが凄いってユイちゃんに聞いたことがあるけど、ちょっとわかる気がしちゃった。

 イケナイ扉を開きそうになっちゃう。もし両親が家にいなかったら…初めての体験は今日だったのかもしれない…(何がとは言わないけど)。




 次の日の朝、HR前に優君のクラスに顔を出して、放課後に学校の近くにある公園でお話ししようという事になった。


 最近、優君は白がお気に入りだというので{(注)言ってません}、会える時は必ず白を着用するようにしている(何がとは…以下略)。


 見えないところに力を入れるのも乙女の嗜みなのである(諸説あります)。


 ユイちゃんには昨日のうちに、優君とのことを経過も含めて全て話しておいた。

二人のおかげで救われたと感謝を繰り返してしまった。

 ユイちゃんは良かったね良かったねと嬉し泣きしてくれて、私までもらい泣きしちゃった。

 

 今度イツキ君とユイちゃん、優君と私の四人で遊びに行こうって言ったら、うん、うん、って言ってまた泣いてくれて私はなんて幸せ者なんだろうと改めて思った。


 

 HRの後は特に問題が起こることもなく、しっかりと優君に私の特製お弁当を食べてもらい、午後もつつがなく終了。


 放課後は約束通り学校の近くにある、知る人ぞ知る穴場スポットの公園に来ることができた。優君と二人きりしかいなくて、都合がいいと言うかこれはチャンスと言うか…。イケナイ先走り過ぎてしまう。


 ベンチに座り、私が持ってきたアルバムを開いてもらってから、優君に目撃されたあの日の全てのことを話した。

 

 まだ早いんだけど、と私お手製のプレゼントが入った赤いリボンをつけた紙袋を手渡す。

 中身を取り出して、革のブックカバーを見つめて止まっていることに気づかない私は、あのねあのねと話を聞いて欲しい幼い頃に戻ったかのように、プレゼントの説明をしていた。

 

 昨日のことで、優君に対するタガが外れてしまっているけれど少しくらいならいいよねと、優君を見ると…涙を流して…。

 

 泣き顔ではなく、笑顔で嬉しそうに…ブックカバーに触れて…そして私を見つめてくれた。その顔は反則でレッドカードで、私以外には見せてはいけないもので…。


「愛してます。僕は、紺野 玲さんを愛してます」と優しく抱きしめてくれた


 その両腕の力は優しいのに、しっかりと安心感があり、おふろにはいってるみたいで、あったかくて、いつまでもゆうくんにひっついていたかった、あのときのあたたかさのようで。


 私は静かに抱きしめ返して、本当にこの世のものとは思えないくらいの幸せに満たされて、改める必要もないくらい優君が好きなのに、一方通行気味だと思っていた好きが大好きが、言葉にできないくらい大きすぎるこの気持ちが…


 愛しい、いとおしい。


「はい。私も、千玖 優君を愛してます。」


 この時に初めて、私は


 そして優君と心が繋がった瞬間は、と聞かれたら間違いなくこの時だったと言える。



 これが私たちに起きた…私が起こしてしまったかな? 事件の一部始終です。


 全て読んでくれた人ならわかるだろうけど、私が自分の欲望を抑えきれずに一方通行な気持ちを押し付けたせいで、危うく全てが木端微塵になるところだったことは反省どころじゃなく猛省しなきゃ。


 でも大好きな優君を泣かせたり友達に迷惑をかけたりと、どうしようもない私だけど、愛する(私の中で確定)がそばにいてくれれば、間違わずに生きていける。


 そんな


大好きな彼氏に疑われた私が、大好きな彼氏をもっと好きになるおはなし…ちょっと違うかな


大好きな彼氏に疑われた私が、愛するをもっとも~っと好きになるおはなし







おしまい




最終話までお付き合いいただき、本当にありがとうございました


初めて小説を書いてみましたが、難しくて難しくて文章も怪しいところばかりで


自分が好きなものを書きたいように書いたご都合主義満載の行き当たりばったり


でも、楽しかったです


好きに書いて自分を満足させるために書く…これが〇〇ニー…世界のSUZUKIだよカッコよ!


あとは優君と玲ちゃんの小話か、…ここまで来たら書いて良いのかな?迷惑にならないよね?

Yuki@召喚獣先生の小説


「何万回の夜を過ごしても忘れないような、愛してるを君に送るから」


の主人公達をモデルとした優君の友人、イツキ君とユイちゃんのお話を少しだけ番外編として書きたいなと。Yuki@召喚獣先生の小説と全く関係ないパラレル物語なので当然繋がりなんてありません。Yuki@召喚獣先生の2次創作とでも思っていただければ。でも後日談素晴らしすぎてなぁ…。プロはすごいですね。もし読まれてない方がいらっしゃったらぜひ読んでいただきたいです。



もう少し優君と玲ちゃんの物語やイツキ君とユイちゃんの番外編も見てみたいかなぁ

と思ってくださいましたら、


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