第9話 玲ちゃんの家へ初訪問
ぴん・ぽ~ん
なんとなくとぼけた音色の呼び鈴が鳴ると、すぐにドアを開けてニマニマした顔の玲ちゃんが出迎えてくれた。
え~なんでその顔? それにドア開けるの早い気がするんだけど…あ!
「玲ちゃん見てたでしょ!」
「いらっしゃい優君!見てたよ~いろんな優君が見れて楽しかったです!」
そう言いながら僕を家の中に招いてくれた。
「もう、見てたんなら声かけてくれればいいのに…恥ずかしい…」
「だって優君が玄関の前で百面相し出すし、プルプル震えだしたかと思ったら深呼吸してるし邪魔しちゃ悪いと思って」
「最初からじゃん!」
「えへへ」
ん~可愛い!
「まぁ楽しんでくれたなら幸いです。え~っと、ご両親はいらっしゃるんだよね? ご挨拶させて貰っていいかな?」
「うん。お父さんもお母さんも楽しみにしてくれてたよ。リビングにいるから、行こ」
そう言って微笑みながら、ご両親の元へ案内してくれた。
外からの光が入ってくる広めのリビングに通された僕は、ソファに座って新聞を読んでる玲ちゃんのお父さん? と、その隣でお茶を淹れているお母さん? を見て既視感を覚えた。…初対面だったはず。…気になるけどまずは挨拶だ。
「は、初めまして、玲さんと同級生の千玖優と申します。今日はよろしくお願いします!」
「優君、面接に来たみたいだよ」
「言わないで、そこは流して」
玲ちゃんの突っ込みに対応してると、ご両親? が優しい眼差しで僕たち二人を見ていた。
たまに玲ちゃんが、僕のことを慈愛のこもった目で見つめる時があるけどそっくりだ。
玲ちゃん天使じゃなくて、女神だったか。
柔和な雰囲気が出てるけど、お母さんの方が少しだけ凛々しいように感じる。
おすまししている玲ちゃんは、お母さん似なのかもしれないい。
二人は立ち上がり
「初めまして…でいいのかな。玲の父の紺野
「初めまして。玲の母の
そう言って嬉しそうに自己紹介してくれた。
手土産を渡すと玲ちゃんのお母さんが、気を遣わせちゃったわねと言って受け取ってくれた。
ソファに促され改めて挨拶をし、玲ちゃんとのお付き合いを認めてもらおうとお願いしたら、思いのほかとんとん拍子で話が進んでいった。
玲ちゃんと節度を持って交際してくれれば、何も言うことはないと。
玲を好いてくれてありがとう。大切にしてくれてありがとう。
もし機会があれば、僕の両親にも会いたいとも言っていた。そして…
「玲を守り、そして指針となってくれてありがとう。本当に感謝しています。」
ご両親そろって、頭を下げられてしまった。
「ちょっと待ってください! 頭を上げて下さい! 玲ちゃんご両親にどんな話したの! おかしいでしょ!」
「ん~っと、いろいろ? 私が優君のことが、だ~い好きってこととか?」
「はしょりすぎー!」
頭を上げたご両親は、僕と玲ちゃんのやり取りを見て、本当に嬉しそうに笑っていた。
ご両親二人からの好感度が高い…高すぎる。何…何なの? 僕、何かやっちゃいました? ってこれ? ホントに何もした覚えが無いのに。
また玲ちゃんがある事ない事、誇張して言ったんだろうか。
嫌われてないし好かれてるんだから、贅沢を言ってんじゃないと怒られそうだけど。そこまで自分が人に好かれるオーラとかは、出てないと思うんだけどなぁ…。
その後も和やかな雰囲気の中で、なんだかんだと話しこんでいたら二時間近く経っていた。そろそろお
当然断れるわけもなく玲ちゃんも、お母さんと一緒に私も腕を振るうから食べて欲しいな、と言われれば僕の選択肢はひとつしかない。
夕食は和食中心でご飯に味噌汁、色とりどりの野菜小鉢に肉じゃがと種類が沢山あった。
食が細い僕のために、少量で楽しめるように気を使ってくれたんだと思う。玲ちゃんには頭が上がらないなぁ。
美味しいご飯に舌鼓を打ちつつ会話も弾んで、久しぶりに夕食が楽しかった気がする。母さんいつ帰って来るんだろう…ちょっとさみしい。
ごちそうさまでした! と夕食のお礼を言った後は、玲ちゃんから少しだけ私の部屋でお話しよ? っと言われご両親の顔を少し伺いつつ、じゃあ少しだけと玲ちゃんの部屋へお呼ばれした。
…何もしないけどね。
つづく
まさかの初カノの部屋へ…ご両親がいるにもかかわらず、年頃の男女二人、密室、何も起こらない………わけもないこともない……かもしれない
どっちやねん
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