第7話 友達とのお喋りって大体逸れていくよね~
「それでは、イツキ君、ユイ君…報告して貰おう…」
テーブルに両肘を立てて寄りかかり、両手を口元に持っていき向かいに座る二人に対して僕は口を開いた…。
モックの2Fのテーブル席だけどね。
「何に影響されてんだ優はw」「千玖君は、相変わらずだねぇw」
二人同時に突っ込まれ、少し恥ずかしくなったので直ぐやめた。
今日はイツキと音蔵さんに依頼した調査結果を聞くため、駅前にあるモックバーガー店に来ている。
報酬代わりと言っては何だが、二人にモックセットを驕り僕はモックシェイクを頼んだ。
玲ちゃんは部活なので、この前のようにバレそうになる心配はない。
「ん~そんなに報告出来るようなことって、特に無かったんだけどねぇ」
「まぁそうだな。ユイに任せっきりだった俺が言うのもなんだが、これって言うのはなぁ。…しいて言うなら紺野さんと一緒にやってる、男子のクラス委員長くらいか」
「そうだねぇ。玲ちゃんは男女関係無しにフレンドリーに話すからみんな怪しいと言えば怪しいけど、一番近いのはクラス委員の
春夕莉ちゃん、と言う学校一の美少女の名前は有名だ。入学時から告白されまくっていたが全て断り、その断り文句が
「ごめんなさい。あなたは魅力的な人だと思う。でもわたし、浜海未《はまうみ》ちゃん以外の男の人と付き合う気は全くないの」
と撃墜数は、3桁いったとかいってないとか…。
「捺居君と春夕莉ちゃん、お昼いつも一緒だしラブラブだよ。…ないと考えて、いいと思うなぁ」
「俺もそう思うな。なんとなく、捺居には親近感沸くし。除外していいだろ」
なるほど。二人がそこまで言うのだから、クラスで怪しい人物はいないと考えていいかもしれない…。その他に気になった人物はいたりするかを聞いて見た。
「たしか運動部系の部活動つながりで、合気道部の洋太が会合で絡むって言ってたな」
「瀬那ちゃんの凄く大人っぽい彼氏さんでしょ?(ヾノ・∀・`)ナイナイ」
「マジか? 瀬那ちゃんって陸上部のホープのポニテの子だろ? なんか表彰されてた? 洋太そういう事を言わないしなぁ。じゃあないかぁ…あ、弓道部の海堂先輩もって…あの人、去年の文化祭で突然飛び入りで演劇部の主役はってヒロインにガチ告白したんだっけ」
「イツキと二人で一般公開の日に見に行ったよね~。シナリオが悲恋物語な筈なのに、ハッピーエンドになっちゃって大騒ぎだったけど素敵だったなぁ…」
うちの演劇部は本気で俳優を目指す人も多く、文化祭の演劇は学校外からも注目されるほどレベルが高いらしい。僕は見る事は出来なかったが、評判は良かったと聞いた覚えがある。
それにしても、目星をつけた怪しそうな男性のカップル率が高い。彼女がいる僕が言うのもなんだけど…目の前の二人もそうだった。
うちの学校、交際しやすい環境なんだろうか…。
前世にNTRで後悔したからこそ、現世では行動して実を結んだ? とか…毒されてるな僕も(ヾノ・∀・`)ナイナイ。
現実とお話を、ごっちゃにしてはいけません。
他にも海外のコンクールで入賞したこともある有名なピアニストなのに、本業はリンゴ農家だからと津軽の地元の公民館で気軽に演奏してたりする卒業生とか。
最近邦楽内で史上最速100万回再生を達成した 『どうして君は僕を棄てたの』のミュージシャンもうちの卒業生だと言うのを最近知って驚いたばかりだとか。
学校外の町の噂で、マンションの近くの竹林をマラソン用のスニーカーで爆走してる裸のお姉さんの話や人気VouNubeの笹山将市(30才)が、複数の容疑で逮捕されて恐いなぁとか、毎日玄関の傍で悲しそうに座り込んでる女性がいる一軒家があるとか、話は逸れていった…。
調査内容よりも、学校の有名人の話題や町の噂話ばかりしてたような気がするけど、楽しかったのでよしとしよう。
二人は学校に忘れものをしたので、もう一度行ってくると言ってモックで分かれた。
イツキと音蔵さんに改めて感謝しつつ自宅に戻り、今日の報告を含めて考え直してみた。
玲ちゃんの周りに怪しい男の影は、おおよそいないと判断していいだろう。
ただ、怪しい人物が女性の可能性も考えられるが、そこまで広げると…百合は好きですけど。
いやいや、僕の出来る範囲だとこれが精一杯だし区切りは必要だ。
後は僕自身が、本命である玲ちゃんと歩いていたあのイケメン男性の詳細を調べるだけ…なんだけどなぁ…。
まだ早いと遠回しにしていた、玲ちゃんのご家族に会う時が来たのかもしれない。動機が失礼すぎて人としてどうなの?と頭を抱えてしまう。でも…、
やるしかない。
初彼女のお宅に初訪問して、そのご両親に挨拶って凄まじくハードル高いけどさ…。菓子折り持って行けばいいのかな…。
お嬢さんを僕にください。早すぎるしなんか違う。
いや違わなくはないけど…。同級生の千玖優と言います、よろしくお願いします。無難だけど、まずはここからか。
これは最大の難関が、訪れてしまったのかもしれない…。
つづく
結婚の挨拶かな?迷走してきましたね…最初からだった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます