第5話 加速する空回り
僕は自他ともに認める、少しだけ陰キャよりのインドア派だと思う。
それに反してコミュ能力だけは無駄に高い、と言うか高くさせられた。
これは両親の教育方針で幼少時からキャンプに連れていかれたり、親の田舎に帰ってそこで子供たちのグループに強制的に放り込まれたりしたことで、人と人との関わり方を学ばされたからである…泣きながらだけど。
自分なりの処世術の土台と、自分から話しかけるようになれたのは本当に大きいし、今となっては両親に感謝もしてる。
すごく怖い思いもしたけれど、誰かの役に立てたこともあったらしいしね。
まぁ熱せん妄になったりして、記憶が曖昧で忘れちゃってることも多々あるけど。当時は本当に泣きながら、両親を恨んでいたような気も…。
まぁそんなこんなで玲ちゃんのクラスにも、僕が軽口を叩ける知人や友人はいる。
他にも図書室で本の整理を手伝ったり、購買で荷物の搬入を手伝ったり、よく保健室のお世話になったりと不思議と色々な縁だけはあったりするので、玲ちゃん周りの噂や動向を調べる難易度は、そこまで高くなかったりする。
…これストーk…いやいやいやいや。
自分のあほさに気づいた金曜日から翌週の月曜日。手始めに、イツキに助力を頼むことにした。友人からの情報提供は鉄板だからね。
「と言うわけでイツキ様、ご協力お願いします」
朝のHR前、自分の席で開口一番にあらましを伝えた。
「いやまぁ良いけど、何でそんな面白いことになってんだか…。どう考えても優の考えすぎだし、あの紺野さんが浮気? 賭けにもならないわw」
「信じてはいるんだけど、疑念は潰してこうかなと…」
「でも彼女には知られたくない?」
「その通り」
「素直すぎんだろw了解了解、じゃあユイにも頼んで見るか…。ちなみに白に賭けるからジュース二本なw」
「お願いします。
音蔵さんはイツキの彼女さん。
イツキに対しては大好きオーラ全開で、学生結婚待ったなしじゃないの? と誰もが思うほどだが、逆にイツキの方はそこまで音蔵さんに、露骨に好意的な態度は見せない。
でもよく観察してみると、包み込むように優しくおおらかで、宝物のようにとても大切にしているのが分かる。君何週目?と問いたくなるほどだ。
この二人に関しては、ちょっとしたエピソードがあるが、それはまた別の機会に…。
「それに僕だって、玲ちゃんは白だって思って…」
「何が白なのかな~? 優君もお年頃かな? もう、気になるなら優君にだけ特別に…」
「違っ! 玲ちゃんの下着の色じゃなくて!」
不意打ち気味に言われたことに反応して見ると…素敵な笑顔の玲ちゃんだった…。
「oh...」
「優…アホだお前はw」
…返す言葉もありません。
「優君はそんなに私の下着に興味があったの? Hなのはいけないと思います。…でも少しくらいなら…」
そう言って、ほほを染める玲ちゃんは…やっぱり可愛いかった。
イツキへの秘密の協力要請は、ギリギリのところでバレることはなかった。
ムッツリ助兵衛やムッツリーニと言う不名誉な渾名が、玲ちゃんから付けられそうになったけれど、釈明のかいあって免れることが出来た…と思う。
つづく
優君ポンコツすぎます…。慌てるとダブルチェックして指差し確認ヨシ!してるのに解答欄間違えてるタイプですね
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