第4話 お気づきになられましたか…

 ふ~、あんずさんの今回の新刊も…素晴らしかった。


 夫に対する妻の不貞行為はないけれど、夫と出会う前に既婚者である別の相手と浮気の関係になっていた。なんてうまいところを、ついてくるんだろう。 


 Yukiの小艦ちゅうさんの中巻も、心を抉って来る読者殺しの展開がもう…。


 ヒロインをこれでもかと絶望へと貶めるその所業、作家さんに対してまで殺意を沸かせるとは…。完全に手のひらで弄ばれている、自分が見える。


 週末の金曜日の夜。

土曜日に玲ちゃんとデートだったり用事が無ければ、思う存分読書しまくれる僕にとっての、大切なプライベートな時間だったりする。


 僕のバイブルたちの力を借りることもなく穏やかな日常に戻ってこれたけど、好きなものは好きなので買ったばかりの新刊二冊を即読み終えてしまった。


 もう少しだけ、と本棚から一冊手に取って読み始めることに…。



 ある初めて同士の高校生カップルが、出会い別れ、そしてまた出会い結ばれる。

…でも妻となった女性は一度別れた時に別の男と付き合うが、初めての彼氏である夫が忘れられず二人目の彼氏を振った過去があった…そして…となるのだが。


 初めて読んだときは?となり、現実だとんだから信頼なんてどうやってするんだと、重箱の隅をつつくような読み方をしていた。


 けれど一種のファンタジー作品として読むと、とても丁寧に心情が書かれていて…二人の関係性は完全に崩壊し元に戻すことは不可能ではと…。


 でも、それでも、互いに離れがたく別れがたく傷つきながら、許すというテーマ性は、永遠の命題なんだと思わせる作品だと思う。

 

 再構築からのかもしれないけれど、二人は互いに寄り添って、また信頼を積み上げて行くんだろうなと…。





 本当に素敵な………ん? ……ん? 待って…今、何て? …


根拠とか情報の精査だとか、読者視点じゃないと相手の全てが分からないんだから、信頼なんてどうやってするんだ…


彼女の言葉を鵜吞みにして、全てを信じることは…



 特大のブーメランじゃん!!!!! 僕に刺さってるじゃん!!!!!


 何様ですかお前は? レベルですよ!


 玲ちゃんの話を聞いて、すべて信じちゃってたよ! 玲ちゃんが嘘なんてつくわけないって! これもう自己催眠状態だよ! 恋は盲目過ぎだよ!!!!! 真偽の沙汰はさておきって、一番おいちゃダメなやつおいちゃってたよ!

 

 ベットの上でまさに_| ̄|○ ガクッ! となり、息も絶え絶え自分のあほさ加減に眩暈を感じてしまう。

 

 でもさすが僕のバイブルたち、頼りになり過ぎる。


 …ぽぴっぷさんの「妻の浮気を知っている」…ありがとう。


 よし! 反省はここまでだ。どんな時でも立ち上がり、前を向くことを早めることが物事の解決や達成を近道にする。


 落ち着いて考えてみよう。


 まずは玲ちゃんが浮気してないと信じよう。そしてその疑いの可能性を潰すために、玲ちゃんが二人で男と歩いていたあの日の正確な情報が知りたい。

 と同時に玲ちゃんの周りに、怪しい男の影があるかの調査も行いたい。


 …前者が既に頓挫してるんですけど。

情報源の拠り所が、全くないのが致命的すぎる。


 僕と玲ちゃんは、付き合い始めてまだ数か月。互いの家に行ったことも無く、互いの両親や家族に会ったことも無いから、聞き込める人がいないんです。


 後者に関しては浮気調査依頼なんて出来ないし、学生がそこまでやるって逆に重すぎて恐い。

 それでも自分の足で聞き込みくらいは出来るので、怪しまれない範囲で頑張ってみよう。



つづく



「信じる」と「疑う」は反対の意味ではない。信じたいから疑う。名言ですね


でも優君、どこに向かってるんですか?…大丈夫?お薬いる?



 優君の頑張りを見てもいいかな?と思ってくださいましたら、


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