第6話 テスト開始
翌日。
10時前にカウンターに来たがシルキーが来ていない。
待っていると5分後にやっとシルキーはやってきた。
「寝坊したぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」
(あれだけ念を押されてこれなのか……)
心の中で俺はひとりで困惑してた。
どうやら暗殺者の朝は遅いらしい。
まぁ、どこの世界に朝が早い暗殺者がいるんだって話だけど。
「ま、いいでしょう」
意外にもオッカマはそう言った。
「じゃ、ふたりとも試験会場に行くわよん」
そんなわけで俺は試験会場になっている森までやってきた。
「制限時間は一応18時までにしておくわね。この森の中に5匹だけゴブリンを離したから全部倒してきてちょーだい」
それからオッカマは近くにあるいわゆるサプライボックスに目をやった。
「今回この作戦で使う武器やアイテムなんかは支給させてもらうわ。自由に使ってちょうだい」
「ありがとうございます」
「お礼には及ばないわよ。ふふふ、これが仕事だもの」
サプライボックスを開けた。
【アイテムリスト】
・ポーション×30
・短刀×4
・鉄の剣×2
・毒消し×10
っていうふうに色々と並んでいた。
とりあえず全部回収してシルキーと半分半分くらいで分けることにする。
「ところで万が一俺たちが危険な目にあったりした場合はどうすれば?」
「念の為あちこちに監視の職員を置いてるから助けてもらえるわよ」
オッカマはふふふっと笑った。
「そもそも、ゴブリンを倒せるくらいには成長したって分かってるからテストを受けさせてるのよ、そこは安心してちょーだい」
(なるほど。一応信頼はされてるってわけか)
俺は頷いて森の中に入っていくことにした。
森の中を歩いていくが、けっこう大きめの森である。
宛もなく歩いても意味が無さそうだ。
となると、痕跡を見つけるのが一番だろうが。
ガッガッ。
俺は地面を靴で少し削るように擦ってみた。
「なにしてんのさ?」
「この地面は足跡がつくのかなって思って」
「ついてるみたいだね」
「なら話は早い。ゴブリンの足跡を見つけよう」
しばらく歩くとうっすらと足跡が見えた。
しゃがんで足跡を確認する。
獣でもない俺の知っている動物のものでもない。
そして、ほぼ確実に四足の生物のものではなさそうだ。
「この足跡の付き方二本足の生き物だな。4足ならもっと足跡の数は多いだろう」
「すっごーいイッツーン。まるで名探偵だね」
あと分かることがあるとすれば
「この足跡の主は今単独行動してるな。複数で行動しているのならもっと足跡が多いはずだ」
「足跡でそんなことまで分かるなんて、すごーい」
目をキラッキラさせてた。
俺はそのまま足跡を辿っていくことにした。
茂みの中に続いているようだった。
「ギィィィィィィ……」
茂みの中にゴブリンがいるのが見えた。
うんこ座りしてた。
「なにしてんのかな?休憩?」
「いや、言うまでもないと思う。十中八九見たまんまだと思う」
「え?休憩じゃないの?」
俺はシルキーが穢れを知る前に後ろからゴブリンを強襲した。
ブン!
「ギゲッ?!!!」
ザン!
後ろから強襲+向こうは取り込み中だったので簡単に倒すことが出来た。
「うわーざんこく〜」
ゴブリンの死体は光となって消えていく。
やがて、その場に残ったのは【討伐証明】と呼ばれるアイテムだった。
これを5枚集めて持ち帰るのが今回の依頼の達成条件。
あと4枚。
「さっさと残りも見つけてしまおう」
その後も草木をかき分けて俺たちはゴブリンを探しに行った。
痕跡がチラホラ残っていて見つけるのは意外と簡単だった。
「あそこ、1匹いるね」
シルキーの言葉に頷いた。
「俺が行くよ」
コソコソと背後から近づいて行った。
俺は背後からゴブリンを襲ったのだが……。
攻撃を当ててもゴブリンは倒れなかった。
「ギィッ!」
(一撃でやりきれなかったか)
ゴブリンの反撃。
「ギィィィィ!!!」
右拳でのぶん殴り。
(ということは、向かって右に避ければいいな)
俺は体を右にスライドするように動かして【サイドステップ】をした。
1度で移動できる距離は60センチ程だった。
しかし、体に謎の違和感があった。
(あれ?これ……)
なんとなくだけど、"もう一回サイドステップできそう"だった。
正直言うと1回のサイドステップで十分だったんだけど、
(念の為もう1回回避をしておこう)
俺はもう一度【サイドステップ】を行った。
「ギィィィィィィィィ!!!!」
ボフッ!
既に俺がいない場所を殴りつけたゴブリン。
俺とゴブリンの間は50センチくらい開いていた。
(これが、体術Eの効果か?連続でサイドステップできるって……すごいな)
俺はそれから隙を晒したゴブリンに殴りかかった。
「ギィィィィ!!!」
光となって消えていくゴブリン。
「すごいじゃんイッツン!2回も連続でサイドステップできるなんて!」
「そう?」
「すごいよ!私はあんな動きできないよ!」
「てっきりできるものかと思ってたけど」
「ぜんぜん、私はまだまだだよ。だからすごいよイッツン!」
シルキーの目はキラキラしていた。
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