第4章 再会を願って
待つこと20分、3時半になったので、端に待機している12人は目を覚ました。
「……ケントは全く起き上がらないし、だいぶ待ったから私たちの勝ちで良いよね」
亜依は剣を鞘の中に片付ける。
「……いや……終わっては……いない」
ケントは目を開けて立ち上がろうとするが、再び倒れる。
「こんな状態で勝負するにも無理がある。むしろ、貴様の体がボロボロになる一方だよ」
コバルトの目の色は赤色に変わる。
「幹部や下っ端を裏切ったから、お前の指示を聞いてくれる人は誰もいないぞ。さあ、どうする」
水莱はケントのTシャツを右手で掴んで乱暴に体を起こさせる。
「ああ……オレが過ちを犯したからな……」
「じゃあ、さっさと明神の宮殿の王様を釈放することと、地球を元に戻すんだな。貴様が罪を犯したと言うのならば」
水莱はさらに怒りを込め、右手一つでケントの上半身を揺さぶる。
「………………」
彼は何も返答しない。
コバルトは黙って瞬間移動の魔法をかけ、第3決闘場にいる者は全員王宮殿の牢屋の通路に移動した。
3時45分、少し歩いて本物の王、ホルン・ナイトが入れられている牢屋の前に着く。
見張っている者は警戒する。
「早く王様を釈放せよ」
亜依は命じるが、向こうは何も動かない。
「そなたたちは私を助けに来てくれたのか?」
ナイト王は話しかける。後ろに手を組まされて、縄で締めくくられている。
「はい。王様は何も悪いことはしておりません」
控えにいた紗理は牢屋の鍵を開けようとする。
憧君は見張りの者に
「王様を閉じ込めるとは一体何事だ!?」
と衣装を引っ張る。
「おい、良いからその王様を釈放せよ」
突如ケントは憧君の横から命令した。
見張りの者は戸惑いながら頷いて王様を釈放する。
「と言うことは、貴様もアクア団の一員だな!?」
政はその人を指す。
「……俺は……ケント様の命令通りに従っただけです!」
彼は泣きながら言う。
「アイツはアクア団の掟を破った。それなのによく命令に従ったものだなあ」
ルンは彼に近づく。
「それは……ケント様の“秘書”なので……」
“秘書”……何だって?そんな役職聞いたことないぞと思ったルンは
「秘書がいることを良いことにしやがって……」
と言ってケントを右手でぶん殴った。
ケントの頬に直撃したが「まあ、何て最低な奴なのかしら」とルンの怒りはまだおさまらずにいる。
牢屋から王様が出てきたあと
「そなたたち、本当に助かった。また後に王妃の兄上の処罰を与えるから、少し待っていてくれないか?」
と言う。
「あ……はい」
ケントを除く者は全員そう言った。
よって、ケントとの決闘は勝利した!
明け方の4時半、東の空は明るくなり始めている。
この日、王様はケントに毒を与えると発表した。秘書のベン・ゼロークは流刑となった。
即座に処罰を実行したあと、ケントがこの世を去ったからなのか、上級アジトから青い波紋のようなものが空全体……地球全体に行き渡った。
宮殿は青紫色から純金色になった。
「本来の宮殿はこんな色だったんだね」
栞菜は宮殿を見渡す。
「本当に綺麗だけど、邪魔になるから外に出よう」
侑馬は正門に向かった。
「みんな、今まで迷惑をかけて申し訳ない。あたしたちは今日から水族館の店員になるよ」
ルンは元上級アジトを指す。波紋の力で水族館に変身したのだ。
「ああ、そっか。頑張ってな」
水莱は微笑んで、ルン、ジョニー、バランと別れを告げた。
「おう」
バランは返事して水族館へと向かった。
コバルトは、8月1日に会った公園のベンチに行く瞬間魔法を使ってEARTH・REVOLUTIONはワープした。
その後、5時20分。日の出の時間になった。
「あー、こんなに清々しい太陽を見たのは久々だなあ」
憧君は太陽の方を向く。
「うん、そうだな。達成感が感じるよな」
侑馬も同感する。
「それじゃあ、地球も元に戻ったし、宿題は残っているから、ここで別れることになるけど、8日間、本当にありがとう!」
水莱は涙を流しそうになる。
「うん、本当にありがとう!」
残りのメンバーも感謝の気持ちを込めて言った。
決闘で造ったSKYは水莱についていくことになった。
「遠くに離れても“EARTH・REVOLUTION”はずっと一緒だよ!」
コバルトはにっこりする。
「それじゃあ、また12人でどこかで会おうな!」
亜依は敬礼する。
「うん!」
11人も一斉に敬礼した。
8月8日までの約8日間に渡る旅は苦しい時もあれば楽しい時もあったが、いつの日か、EARTH・REVOLUTION全員が集まる時があれば良いよな!
――THE END――
EARTH・REVOLUTION VS アクア団 河松星香 @Seika-Kawamatsu
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