第3章 最終決戦
深夜2時半、ケントは着替え終わって位置に着く。
コバルト、水莱、亜依は背中に背負っている武器を持って構える。
「どこで武器を手に入れたの?」
ブルーンはコバルトに聞く。
「上級アジトに向かう道中で勇者にあった時にもらった」
コバルトの目線は着替え終わったケントを向いている。
なるほどと思ったブルーンは王室の端で待機する。
人類にかかった決闘が始まった。
ケントの周りはコバルトたちの3人に囲まれている。
その前にコバルトは魔法をかけて決闘場を上級アジトの第3決闘場に移動させた。端で待機している12人と小型ロボ2体もそこにいる。
最初にケントは、あの時に癇に障る言い方をした水莱を手に持っているハンマーで叩き潰すために振り上げる。
コバルトはそうはさせまいとハンマーの重量を10倍にする魔法をかける。
ケントはあまりの重たさに手からハンマーを落として、今度は亜依に素手でみぞおちを狙う。
亜依は剣の表面にドロドロに溶けたマグマと溶岩をまとって、今だ!とタイミングを計って腰を落としてから薙ぐ。
ケントのお腹に剣が直撃して苦しんでいる間に水莱は矢をつがえてひょうと放つ。
矢先はざらざらしたドライアイスで、ケントの患部を狙う。
向かってくる矢を左手で受け止めたが、低温やけどで再び苦しむ。
コバルトはケントに睡眠の魔法を唱えると、もちろん彼はうつ伏せになって眠った。
チャンスと思った亜依は剣でケントの脊椎を刺す。
勝った!と思ったが、彼は気持ちよさそうに呼吸をしている。
「コイツ、どうなっているの?」
亜依は剣を刺した部分を前後に動かして背骨を2つに分断しようとした。
「また“プログラミング・ケント”になったのかなあ?」
水莱は作戦だと感じた。
「えっ、また?」
コバルトははっとする。
控えで座っているSKYは
「プログラミング・ケントニナッテイルヨ」
と言う。
「やっぱり」
水莱はため息をつく。
「なら、プログラミング・ケントを操っている機械を壊しに行こう」
亜依は剣を抜いて鞘の中に入れた。
コバルトは待機している12人と小型ロボに1時間眠る催眠魔法をかけて眠らせた。
「何で仲間と奴らを眠らせたの?」
水莱はレーダーを使ってその機械を探す。
「12人は私たちのようにきちんとした睡眠を取っていないからだよ」
コバルトは1段とばしで階段を登る。
「少しでも睡眠をとった方がマシだよね」
亜依はそう言うと、コバルトは頷いた。
レーダーを頼りにした結果、再びボスの部屋に来た。
その時はざっくりと部屋を見学したが、今度は隅々まで見渡す。
壁はアクア団の旗の模様が数多く描かれており、床一面はアクリルで、その中には小魚がたくさん泳いでいる。どうやら、地下にある水族館と4階の床の下にある頑丈な水槽とつながっているようだ。
机の向こう側には、暗黒欲望の宮殿に行くための空間がある。
反対側にはベッドがある。その隣に怪しい機械がある。
「絶対これだよ」
水莱はその機械に近寄る。
機械はプログラミング・ケントの心拍数や、いつ、どの時にプログラムに変えるかが設定できるようになっている。
亜依はプログラムされる時間帯を無効にさせて、プログラミング・ケントの心拍数をゼロにした。
水莱はレーダーでケントの様子を見ると、本物のケントに戻っていることがわかった。プログラムの画像が乱れる瞬間をレーダーで見たのだ。
「あとは、機械を故障させるだけだね」
コバルトは杖を機械に向けで呪文を唱えると、機械はグシャっとボコボコになって作動しなくなった。
「よし、これでOK!」
コバルトは第3決闘場に戻りに行った。
深夜3時、3人は元の決闘場に戻ると、真っ先に水莱は矢先から粉雪を噴射して狙いを定め、矢を放つ。
ケントは腰にグサッと刺さったのを感じて目を覚ました。そして腰に刺さった矢を無理やり抜くが、傷口は粉雪の影響で冷えて固まっている。
「やっと目を覚ましたようだな」
コバルトは杖を突きながらケントに近づく。
「オレが寝ている間は……プログラムされているはずなのに……」
ケントは患部を左手で押さえる。
「貴様が気持ちよく寝ている間に壊したんだよ、プログラミング・ケントを操っている“機械”を」
水莱は腕を組む。
「てか、プログラミング・ケントって何のために存在するん?」
亜依は目を細める。
「オレが寝ている間に殺されたら困るだろ。だから、オレの身体とプログラムをシンクロさせるんだよ」
「ホンマに狡い」
何も考えず、水莱は冷静な声で言う。
ケントは立ち上がって決闘は再開された。
コバルトはそよ風の魔法をかける。
続いて水莱は矢先から多くの水素を出した矢を放つ。
最後に、亜依の剣に火が点いている大型マッチを水素が流れてきたときに剣を振ってマッチを離す。
慌てたケントは逃げようとしたところ、亜依たちは彼の背後に並んで妨害する。
水莱はケントの肘打ちに当たって仰向けにぶっ倒れてしまった。残りの2人も同様にやられて倒れた。
しかし、肘打ちするためだけに時間を取られた結果、ケントの顔面で水素爆発が起こった。
ケントは爆音と爆風、爆発の3つ同時にやられて仰向けに倒れ、後頭部を強く打って血を流した。
肘打ちにやられた3人は何とか立ち上がって最後の一発を打つ。
コバルトは多くの木葉を宙に舞う魔法をかける。
水莱は矢先から矢はずまでが絶対零度で凍らせた矢を放つ。
コバルトは杖を矢に向かって振り、宙に舞っている木の葉は一斉に絶対零度の矢の周りを猛スピードで時計回りに舞う。
亜依はその矢に剣先から発射した10万ボルトの雷を追加した。
頭部の痛みが感じるなか、ケントは立ち上がった、が、目の前には3人の合体技が飛んできて……
グスッ……と鈍い音を立てて彼の額の骨に突き刺さって、またもやノックアウト。
ケントはうつ伏せに倒れて何も反応しない。
合体技を出した3人はケントが何か動くまでじっと待つことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます