第3章 魔法対決

「さて、次は幹部のスマージェットとバトルだな」

 コバルトは幹部と戦う準備をしながら先を歩く。


「ここまで来たら楽勝じゃない?」

 亜依はジョニーに勝ったので余裕をかましている。


「いやいや、ジャラは下っ端だけど、スマージェットは幹部だよ。意外に力を秘めているかもしれないで」

 水莱は腕を組んで天井を見る。


「油断禁物ってことか」

 コバルトはため息をついた。



 15時50分、次の決闘場に着いた。周りは青紫色の宇宙空間のような部屋だ。


 向こう側からガチャっと扉が開く。その音にコバルトたちは警戒する。


「よくぞここまで来たな。EARTH・REVOLUTION。3戦目はあたしと“魔法対決”よ。時間は無制限。先にGIVE UPした人が負け。OK?」

 扉から現れたルンは水莱たちに青色の杖を指す。


 やっぱり武器の色はアクア団カラーなのか、と思ったコバルトは

「ああ」

 と緑の杖を強く握りしめた。



 第3戦目、コバルト・バーリンVSルン・スマージェット。


 時間は無制限なので、体力戦になりそうな気配が部屋中に漂う。


「1戦目と2戦目は一発勝負だったけど、3戦目はそうではないっぽいよね」

 亜依は水莱に話しかける。


「そうみたいだな。多分ソーラーとジャラは勝てる自信があって、そんなことを言ったに違いない」

 水莱は魔法勝負を真剣に見る。


 一方、コバルトは緑のレーザー光線で攻撃する。レーザーは明らかに目に悪い。


 ルンは軽々かわして、水の魔法を出す。

 試合会場は一瞬にして浅瀬の海に変わった。天井にある蛍光灯のおかげで透き通った、鮮やかなエメラルドグリーンに見える。日本で言う天候に恵まれた時に見られる沖縄の海と言う感じだ。


 コバルトはエメラルドグリーンの海水に負けず、杖を天井に向けて高く揚げ、木の葉が杖の真上に大量に集合して、巨大な手裏剣となった。


 手裏剣をルンに向けて攻撃!

 猛スピードで向かってくる手裏剣を、ルンは炭酸ソーダの反撃魔法で苦しみながらも撥ね返した。


 手裏剣のスピードはさらに増してコバルトに襲いかかる。

 コバルトは森林の壁を放って自分の身を守る……がしかし、森林の壁は力とスピードに守り切れず、手裏剣はコバルトの頬に当たり、深い傷を負った。


 彼女は――仰向けに倒れてしまった。


「ちょっとコバルト、大丈夫?」

 心配した亜依はコバルトのところに駆けつけようとするが、水莱は亜依の袖を引っ張って

「そうしたくなる気持ちは私もわかる。でも、試合は完全に終わっていない。誰もGIVE UPするとは言っていない」

 と冷静な声で引き止める。


 亜依は残念そうに頷いて元の場所に戻る。


「ま、コバルトだから何とかするよね……」

 亜依はその場で座って床を見る。



「さあ、降参か?君は怪我を負っている」

 ルンはコバルトを上から見下すように視線を落とす。


「誰も“降参する”なんて言っていない!」

 コバルトはよろめきながら立ち上がり、杖を自分の方に向けて、治癒の魔法を口パクで唱える。


 彼女の傷は次第に治ってゆき、最終的には何事も無かったかのようになった。


「狡いと思っても、試合のルールには“治癒の魔法厳禁”とは言っていなかったよね」

 コバルトはニヤッとする。


「そんな……」

 ルンはそこまで考えていなかったようだ。


 コバルトは魔法で大きな竜巻を造る。その上、会場は海の中になっているから海水を巻き込んで“渦潮”となった。

 大規模な渦潮はルンが弾き返した手裏剣よりも速いスピードで彼女を襲う。


 ルンは稲妻の魔法を必死で出すが、渦潮に飲み込まれていくだけで何の効果も無い。

 渦潮はルンを巻き込み、激しいスピードでルンを気絶させた。


 

 しばらくして、向こうは降参したからなのか、浅瀬の海は引いて元の第3決闘場に戻った。


「おい、私の勝ちで良いよね?」

 コバルトはルンに近寄ってあのときのように見下す。


 ルンは何も反応しない。


 水莱はルンの脈拍を計ろうとしたが、それ以前に呼吸をしているかどうかが怪しい。


「こんな状態ではスマージェットは治癒魔法を唱えることも出来ないね」

 水莱は気絶しているルンからそばを離れて、最後の決闘場に向かう。


 コバルトも亜依、SKYも彼女のあとを追う。

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