第4章 アクア団のアジト

 5分歩くと、目の前に不審な建物が現れた。


 水莱はレーダーを取り出し、突然

「アンタ、何が“自動で運転する”やねん?“自動で操作する”って舵の近くにそう書いてあったやん」

 と怒鳴りつけた。


「ス……スイマセン。ボクガマチガエテイマシタ」

 レーダーは慌てて謝った。


「おい、杉浦、過去にあったことはどーでも良いやん。さっさと中に入ろーぜ」

 政は水莱の頭を軽く叩いた。


「そうやな。で、ここが爆発地点?」

「ココデハナイデスガ、バクハツサセタキカイハ、ココニアリマス。トニカク、ハヤクゲキハシマショウ」

 


 EARTH・REVOLUTIONはアジトの中に入った。


 入口には、アクア団を象徴する旗があった。


 四角形で、背景は夜を表す黒、真ん中に3つの星がある。左から、アクア団のチームカラーである青、真ん中は悪を示す紫、右端は革命の赤。という意味で、その旗が飾られている。


 少し奥に行くと、水族館のような感じで、川魚や海の魚が数匹飼われている。


 もっと先に行くと、マリンブルーやスカイブルーの作業着を着た人がカチャカチャと機械を管理する。


「ははあ、ここがアジトかあ。意外に小さいなあ」

 亜依はアジトの中をキョロキョロと見渡す。


 周りは、とりあえず機械だらけ。本当に爆発させた機械が、このアジトに存在するのだろうか?



「おい、そこで何をしている」

 マリンブルーカラーのTシャツとジャージのズボンを履いた男の人がEARTH・REVOLUTIONに近寄っていく。


「私たちは“EARTH・REVOLUTION”だ。お前らは何者や!」

 水莱は力強く言った。


「我々はアクア団。オレがボス、ケント・シャトル」

 ケントは自分の名を先に明かした。


「そうか。少し拝見したいのだが」

 コバルトが格好よく腕を組んだ。


「許してやろう」



 ボスから許可をもらったので、謎の機械たちを調べることにした。


 電気を発電するものや、食事を作る大きな機械がある。下っ端の人数が多いが、雰囲気的に退屈そうにしており、まともに仕事をしていないように見える。


「ふむふむ、なるほどね」

 ケイトはいろいろな機械をじっと見つめる。


「そうだけど、爆発させた機械はどこにあるん?」

 ブルーンの青い目はだんだん濃い色に変わっていく。


 すると、侑馬から電話がかかってきた。


「おーい、爆発させた機械が見つかった。今すぐオイラのいるところに来て」

「了解」

 ブルーンの目つきはさらに鋭くなった。



 場所はアクア団だけの秘密の部屋だ。豆電球が1個しかないので、秘密の部屋どころか暗室と言ってもいいだろう。


「いいか、みんな。コイツが爆発させた機械だ」

 侑馬はEARTH・REVOLUTIONが集まってから言った。


「どこのスイッチを押したんだろう?」

 紗理は丸い爆弾型の機械をいじり始める。


「あっ、もしかして、ここの赤くて大きなスイッチじゃ……」

 栞菜はその謎のスイッチの中央に“DANGER”と書かれたボタンに軽く触れた。


「多分それだよ」

 憧君は爆弾型の機械をトントン叩いた。



 しばらく喋っていると……


「何の騒ぎだね?」

 この機械を作った人らしき者が暗室に入ってきた。


「お前は誰だ!?」

 貴弘がその人に指を指す。


「俺はこの機械を作ったバラン・ソーラーだ。お前らは?」

 バラン・ソーラーと名乗った男性は聞き返す。


「EARTH・REVOLUTION。俺らはこの地球を救うために結成した。一体お前らは何者だ!」

 憧君が力強く言う。


「教えてやろう」

 突然ボスが侵入してきた。


「……」

 誰も即座に返事が出来なかった。


「我々アクア団は地球を自由自在に操って、オレらのものにするために結成された。その方法が、目の前にある“オレンジ・ファイアー”を使って人々を脅かせ、手も足も出ないような状態にさせたのだ!」

 ケントは傲慢な態度をとる。


「やっぱりお前らは悪者だ!地球はみんなのもの。何てことをしてくれるんだ!?」

 亜依はジェスチャーを使ってアピールをする。


「残念だったなあ。この地球は我々アクア団のものだ」

 バランは怪しそうな言い方をする。


「いいや、そうはさせへんで。私たちが頭を使えば地球は復活する」

 水莱は右手を腰に当てる。


「フン、無駄だ。話だけ聞いてやろう。どう頭を使えば良いのだ?」

 バランは馬鹿にしたように水莱を睨む。


「こういうことだ!」

 水莱はそう言ってから侑馬に顔で合図を送った。


 侑馬は栞菜が見つけた赤いスイッチを強く押した。


「やめろ!」

 バランはその機械を慌てていじった。


 ドッカーン!


 オレンジ・ファイアーの近くにいた人たちは耳を塞いで床に横たわった。

 とてつもなく大きな音で爆発し、それに伴って強烈な爆風がアジトを吹き飛ばす。


 爆風が止むと、ブルーンはそっと立ち上がり、辺りを見回した。さっきまで機械の管理をしていた下っ端らは、意識のない状態でうつ伏せになっていた。


 意識のあるブルーン以外のEARTH・REVOLUTIONとケント、バランはよろめきながら立ち上がった。


「はあ……これで、アジトを壊した。これで地球は回復する!」

 キャリンは喜びながら踊り始めた。


「やっぱりお前らは馬鹿だ」

 バランはニヤッと笑う。


「どこがやねん!貴様の方がよっぽど馬鹿じゃん!アジトは壊れてんで。何を考えているの!?」

 キャリンは開き直る。


「アクア団のアジトは全部で3つある。そのうち、壊れてしまったヤツは“初級アジト”だ。ここで発電された電気、出来上がったご飯などを、下っ端らが残った2つのアジトにトラックで送るのだ」

 バランは腕を組んだ。


「初級アジト?なんで馬鹿にしたような名前をつけるの?」

 紗理は首をかしげる。


「なーに、機械が電気を発電させたり、食事を作らせるなんて簡単だろ。それに我々下っ端らが全部やるから“初級”と言う名になっているんだよ」

 もう1人の下っ端がEARTH・REVOLUTIONに近寄った。


「ジョニー、いつの間に」

 バランは驚いた。


「えっ?じゃあボスがいるのは何なん?」

 コバルトはボスをチラ見する。


「さぼっている下っ端がいたら、我々が困るだろ。だから、たまにケント様が様子を見に来るんだよ」

 バランは目を細めた。


「さあさあ時間はない。この地球を救いたければ奥にある”中級アジト”まで来るんだな。あーばよ」

 ジョニーは後ろを向いて手を左右に軽く振った。


 ボスもバランも、意識不明の下っ端をほったらかし、ジョニーの後をついた。


「あーっ!悔しい!絶対見返してやるからな!覚えとけ!」

 水莱は泣きそうな顔をして、3人が歩いて行った方向に向かって叫んだ。

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