第2章 小屋で過ごす夜

 あれから2時間かかって、ようやく地球に着いた。


「えっと、爆発地点は……なっ、何だと!ここから反対の場所だ!」

 憧君がビーズ・ネオンというレーダーで確認する。


「おい、侑馬、どないしてくれるねん?」

 貴弘が彼に肘打ちした。


「何文句言ってるの?はよ行こう。その場でいるの邪魔くさいよ」

 キャリンは先に行ってしまった。


「あぁー、待ってー」

 ケイトたちは小走りでキャリンの後をついた。



 ケイトたちは薄暗い林を歩いている。


「もー、アイツどこ行ったん?」

 ブルーンはヘトヘトだ。


「どんだけ体力無いねん?」

 元弓道部の水莱はブルーンの右腕を引っ張りながら薄暗い夕日の中を走っていった。



 夜の7時。


「ハァ、ハァ……しんどい……」

 憧君が砂で出来た道に横たわった。


「で……でも待って……あそこに……小屋がある……」

 紗理はよっぽど疲れているみたい。


「もうひと踏ん張りやな」

 コバルトは小屋に向かって歩いて行った。



「あーー、疲れた。……てか、えーーっ!?」

 水莱が小屋に入った瞬間、驚いた。


「もー、ビックリさせやんといて」

 亜依も小屋の中に入ったら、はっとした。


 侑馬たちも目が点になった。


 何があったのか?


 中には、先に行ってしまったキャリンがブラックコーヒーを飲み、ソファーを独り占めしてくつろいでいたのだ。


「あぁ、やっと来たのか」

 キャリンは飲み終えたコーヒーを流し台に置いた。


「お前、さっさと行くなよ」

 憧君が体を揺さぶりながら入室した。


「何揺さぶってんだよー。気持ち悪いよ」

 貴弘が憧君の背中を押した。



「なあ、夕飯どうする?」

 侑馬が冷蔵庫を開けて入っている物を確認する。


 しかし、冷蔵庫は何も入っていなかった。


「どこに行ったら食べ物とかあるん?」

 水莱はレーダーに話しかけた。


「ハヤシノナカニ、オイシイキノコガタクサンアリマス」

「毒キノコは無いって言うの?」

「ハデナヤツハ、ドクキノコデス」

「んー、まあいいや。取りあえず一緒に美味しいキノコをサーチして」

「カシコマリマシタ」

 水莱はレーダーの電源を切った。


「と言うことで、私と栞菜は美味しいキノコを採りに行く。政と憧君は、ビーズ・ネオンを使って湖から水を50リットル汲んできて」

 水莱は指示を出した。


「ウチも行くの?」

 栞菜が聞いた。


「うん。私だけじゃあ無理やで。12人もいるから」

「あ、そうか」

 栞菜は納得した。


「オイラも水汲み手伝おうか?」

 侑馬が言う。


「ああ、お願い」

 政が12人分の2リットル入りの水筒を抱きしめる。


 予備の26リットルは憧君が大きなタンクをかつぐ。


「でもさあ、26リットルを持つのは、どう考えても無理だから、私の魔法を使って何とかするわ」

 コバルトはステッキを軽く振り回した。


「じゃあ、お願いね。残った6人は食器の準備をしてくれない?」

 水莱はブルーンたちに尋ねると「了解!任せておいて」と亜依は親指をグッと突き出した。



 30分後。


「キノコ、いっぱい採れた」

 水莱は上機嫌で小屋に戻ってきた。


「水だって、ほら。魔法で小さくして持ち帰ったよ」

 コバルトは小さくなった水筒を机の上に置いて、魔法をかけて元の大きさに戻す。


「今日の晩ご飯は必然的にキノコ炒めになるね」

 ケイトがフライパンを持った。



「いただきまーす」

 12人は一斉にキノコ炒めを食べる。


「やっぱり自然の物は美味しいね」

 栞菜は興奮した。


「量は少ないけど、これだけで満足」

 貴弘は遠慮なくキノコを頬張る。


 気づけば、あっという間に皿の上は空になった。


「ごちそーさま。明日に備えて、もう寝ないとね」

 ブルーンは寝る支度を始めた。

 


 午後10時


「ベッドや寝袋が無いけど、どうしたら良いん?」

 キャリンが大きなあくびをした。


「心配しなくても大丈夫」

 コバルトは胸からステッキを取り出して、魔法をかけた。


 そうすると、12人分のベッドが現れた。


「やったー、バーリンありがとー」

 侑馬は早速眠ってしまった。


 彼女は軽く笑いながらベッドの上で寝た。

 最後に残った亜依は、照明を常夜灯にしてから眠りについた。



 翌日、青白い太陽が昇った。


「はぁー、コバルトのベッドが無かったら、きっと寝ていなかったで」

 紗理は出かける支度をする。


「羽毛布団やふかふかの敷布団が無いと、寒すぎて眠れなかったかもしれないね」

 ケイトがベッドの上で背伸びをした。


「はは、そんなことを言ってくれてありがと」

 コバルトは魔法で12人分のベッドの姿を消した。



 15分後、EARTH・REVOLUTIONは出かける準備が出来た。


「えっと、次は……ふ……船を使う!?」

 憧君がビーズ・ネオンを使って爆発地点までの道のりを調べる。


「ってことは、次は海を渡るのか」

 貴弘は憧君のレーダーを覗く。


「そうやなぁ。そこを渡るけど、丸一日かかるで」

 憧君はレーダーを胸ポケットの中に入れた。


「マジかよー」

 キャリンはがっかりした。

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