第1部 アクア団は一体何者?

第1章 EARTH・REVOLUTION結成

 高校3年生の8月1日の午前8時、コバルト、ブルーン、ケイト、キャリンは久々の再会で公園のベンチで喋っている。


 少し時間が経ってから、見知らぬ高校生がコバルトたちの目の前に立った。


「そう言えば、1年の時、劇の大会で優勝したんだったよね?」

 と誰かから急に聞かれた。


「ああ、そうだけど、何で知ってるん?」

 コバルトは尋ねた。


「1年のクリスマスに劇の大会をテレビで見たからよ。後になってしまったけど、私の名前は杉浦 水莱。ヨロシク」

「私はコバルト・バーリン。よろしくね。私たちの劇を見てくれたんだ」

 コバルトは興奮し始めた。


「こっちは長石 栞菜。あの劇で魔法を使ったんだってねえ。それで、ウチらは感心して、顔を覚えておこう、と思って」

 栞菜がその時の写真を見せた。


「いつの間に写真を撮っていたのか」

 水莱は写真に顔をグッと近づけた。

 


 そんな話をしてから10分後、空からスペースシャトルが下りてきた。


「やあ、君たち。水莱たちはこの3次元の世界を救ってくれたんだよね?」

 扉から女の子が降りてきた。


「知ってたの?」

 栞菜が首をかしげた。


「新聞で見たの。昼には虹、夜は銀河が毎日見えてたから、おかしいなと思ったら、平賀ひらが しょうたちの仕業だ、とわかったなんて凄いよ。ちなみに私は福田 亜依。ヨロシク」


「おーい、話は後にしないかー」

 スペースシャトルを運転している男の子が言った。


「うん。だけど、先に自己紹介をしてからにしない?」

 亜依が後ろを向いて言った。


 自己紹介を終えたあと、コバルトたちは夢のスペースシャトルに乗った。



 地球上を離陸してから3時間後。


「はあ、ここが宇宙か。体まで浮いているから面白いね」

 水莱がスペースシャトル内でバク転をして遊んでいる。


「私たちはこの無重力の世界で暮らしているのさ」

 亜依がシャボン玉を膨らませた。


 シャボン玉は形を変えながら浮いたり沈んだりしている。


「え?なんで?」

 まさこと峰川 政斗が亜依にきいた。


「そうねえ。3年の始業式が始まった時の帰りに、4階建てのデパートに寄ったの。偶然4階の階段の近くに、宇宙空間みたいなものがあって、そこに入ると、秘密の学生寮があったことから、私、紗理、侑馬、貴弘の4人で同居したのがきっかけ」


「いいなあ。俺、こんな不思議な奴、見たことないで」

 榎原 憧祐、あだ名がしょう君という少年が呆れた顔をした。


「あるやろ。階段の近くに、濃い青紫色の空間に強い風で吸い込まれたら、研究室だった、なんてことあったやん」

 栞菜が憧君の背中を叩いた。


「そうやったっけ?去年のことはちっとも覚えてないで」

 憧君はケロッとした顔で首を動かせた。


「何で忘れるねん?僕だって、ちゃんと覚えてるし!」

 政は両手を強く握った。


「コバルトたちは今までに不思議なことあった?」

 水莱は問いかけた。


「現実界と理想の世界があったことやな」

 コバルトは腕を組んだ。


「理想の世界?どういうこと?」

 侑馬が聞く。


「ま、現実の自分と理想の自分が存在するんだよ。いい例がこのあたし。コバルトからすると、あたしが彼女の理想の人間、ということになるの」

 ブルーンが答えた。


「何か似てるなー、と思ったら」

 貴弘が口をすぼめた。



 一方、地球上では……


「おい、ソーラー、調子はどうだ?」

 アクア団のボス、ケントがバランに近寄った。


「はい、出来ました」

 バランは最後のネジを固く締めた。


「よし。やれ!」

 ケントは指示を出した。


 バランはとある機械のスイッチを強く押した。



 ドカーーン!


 強烈な爆発音がスペースシャトルの中まで聞こえた。


「何の音だ!?」

 亜依は窓から様子を見た。


 残った11人も気になって、窓から様子を見る。

 地球のある場所から、橙色の大きな炎が地球全体に広まった。


 しばらくして炎の火が消えると、爆発地点から紫色の煙が広がった。


「これは大変だ!今から地球に向かおう!」

 侑馬はスペースシャトルを操作した。


 その間、水莱は

「そうだ、チーム名は“EARTH・REVOLUTION”にしよう。あの爆発事件の仕業人だって、絶対チーム名があるはずだよ」

 と言った。


「そうやな」

 コバルトも賛成した。


 EARTH・REVOLUTIONとは、おかしくなった地球を元に戻すための革命を起こす、という意味がある。

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