④ 裏社会からの手紙《往信》Juan➠Macarena

前置きはナシだ。

おめーを狙ってるやつがいる。

なんで分かったとか、どうして教えてくれるのかとか、くだんねーこと訊くのもナシだ。どうせおれが答えてやれることなんざ小指のさきっぽほどもねえ。

おれがだれか、なんてのも訊くなよ。

おめーはただおれの忠告を聞いておけばいい。


言っておくが、警察に駆け込んでもムダだぜ。

上層部にグルになってるやつがいるからすぐ握りつぶされるだろうし、ヘタすりゃ署内で殺られっちまうのがオチだ。

どうせおめーのことだからのほほんとしてやがるンだろうが、これはマジだ。今回だけはおれの言うことを信じろ。


この件に関しちゃ、おれはおおっぴらに動くわけにいかねえ。利害がごちゃごちゃに絡みまくっていやがるからな。


とにかくおれからの忠告はふたつだ。

件からは手を引け。

しばらく家ンなかにでもひき籠ってろ。


といってもどうせおめーは聞かねえンだろ。

なにか言いたいことがあるなら聞いてやる。助けがいるなら、言え。

おめーのことはどうでもいいが、おめーが死ぬと、泣くやつがたっぷりいやがンだよ。まったくめんどうかけやがって。


明日使いをやる。そいつに返事をわたせ。

しちめんどくせーことに巻き込まれやがって、ま、おめーらしいけどな。

せいぜい長生きしろよ。

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