⓸ 裏社会からの手紙《返信》Macarena➠Juan
前置きはナシだ、って言っておきながら、随分と忠告までが長いこと。
でも分かってるじゃない。あたしがあんたの忠告なんていちいち聞かないこと。
そう、あたしはあたしがしたいことをするだけなの。止めたって無駄よ。
誰の言いなりにもならず、あたしがすることはあたしが決めるんだから。
でも、気丈に振る舞ってるようだけど、フアン、虚勢を張っても醜いだけよ。
この手紙だって、どーせ例のカルテルか何だかに捕まって、ちょちょぎれる涙をこらえながら書いたんでしょ? しちめんどくせーことに巻き込まれやがって、ってどの口が言うの?
ダサいったらありゃしない。娼館の女王と呼ばれたこのマカレーナの愛人にして、『旅団』の狂犬と呼ばれ恐れられた男が、聞いて呆れるわ。
まあいいわ。
フアンには、いろいろ世話を焼かれて、おかげさまでうちの子たちも助けられて元気にやってる。
あんたに死んでもらうと、こっちもいろいろ困るのよ。
フアンを助けるなんて、あたしの性分に合わないけど、あの子たちのことを思って、今度はあたしがあんたに世話を焼く番よ。
まったくいい迷惑だわ。まだガビの世話を焼くほうがよっぽどいいわ。ガビは素直だから。
手紙が送れるってことは、1人や2人、あんたの協力者がいるってことでしょ?
それなら、さっさとフアンは、あたしがせいぜい長生きできるように、黙ってあたしに協力してくれる援軍の手配をしてちょうだい。
あたしがちょいと、
もし、あんたを無事助けられたら、あたしや子どもたちを、カリブの綺麗な海の見える、できるだけ遠い、人の多くない、くだらない抗争や喧騒のないところに連れてってちょうだい。
それで、貸し借りなしにしてあげるんだから。
分かったら、さっさと何とか人を集めてちょうだい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます