⓷ 強すぎる妻からの手紙《返信》我妻 強➠我妻 優 最終報

 優へ


 津曲に女性を紹介するプロジェクトに伴う調査日から、返信が1日遅くなったことをまず詫びます。

 しかしながら、LINEを打つ手も震えるほど、未だ動揺しています。耀なんか、その報告を聞いて顎関節が脱臼し、文字通り開いた口が塞がらない状態です。(おかげさまで救急外来で、顎を治してもらった模様です)


 奇跡が起こる可能性はピッチャーが満塁ホームランを打つ確率に近いと思っていましたが、何と津曲はそれを成し遂げたのです。奴は、大◯翔平になったのです!


 まず、お相手の元・アイドル様が、津曲とは180°正反対の美麗なビジュアルを持っていたことに驚きです。僭越ながら、あまりにも津曲とは、不釣り合いかと危惧しておりました。ルックスの格差カップルという言葉があれば、まさにこれを指すのではなかろうかと。


 個人的にはどういう会話をしているのか、とても気になりましたが、不肖この私は、盗み聴きするほど近づく気概は持ち合わせておりませんでした。


 でも、一部漏れ聞こえてきた話から察するに、優と私のめや夫婦生活の話で盛り上がっていたようです。確かに、このときは津曲が結果的にキューピッド役みたいになったのは間違いないですが、それを話のネタにされるのはちょっと微妙です。特に、私が日頃から優に虐げられているなんて、何て失礼な奴だこと! 無敵な妻に仕える悦びは筆舌に尽くしがたいものがあるのです!


 さらに腹が立つことに、「基本的に、女性に対しては、『はい』、『すみません』、『ありがたき幸せ』の3択で返事しろ」とアドバイスを、まったく守っている様子がなく、むしろ、お相手様の発言に対して、ときに批判的な態度さえ取りやがっていました。我々の夫婦関係における応酬と真逆なことをして、紹介者の優の顔に泥を塗るのではないかとヒヤヒヤしていましたが、お相手様はとても性格が良かったのでしょう。津曲の話に耳を傾け、興味を持って相槌を打っておられました!


 結果オーライですが、何だかムカつく顛末ですね……。あ、補足しますとこのムカつくという感情は、決して、元・アイドルを射止めた津曲を羨ましく思っているのではなく、上司である私の助言を全く守らなかったことによる負の感情でございます。(優に適う女性は、地球上、太陽系、いや全宇宙に存在いたしません!)やっぱり、津曲には、コンプライアンスとは何なのかを学び直してもらいましょう!


 食事を終えて、津曲は愛用のバイクに彼女を乗せて(つくづく思いますが、津曲がライダーなのは違和感ありまくりです)、夜の極彩色のネオン街に驀進ばくしんしていきました。探偵の本能で尾行しようと思いましたが、法定速度ガン無視で遁走とんそうしたため、追いかけることも不可能でした……。


 おそらく、今度、本人の口から、デートの結末が語られることでしょう。語られなければ、優から尋問してやってください! そして、元・アイドルのパートナーたる者は、どうあるべきかを、我々夫婦を模範として叩き込んでやる必要があるかもしれません!


 ちょっと余談も交じりましたが、以上が調査報告の概要です。


 さて、最初の依頼LINEにありました、『ご褒美の¢£%#&□△◆■』がとても気になっております……☆

 久しぶりにを期待してよろしゅうございましょうか? 私はソレが楽しみで、夜も眠れません……☆(とはナニかって? これ以上は、娘たちに見られるとマズいので、お察しくださいませ♡)


 あらためて、宇宙一無敵の優の夫になれたことを、心から幸せに思っています♪


                             強より

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