二十八章 CMに登場するアスリートっぽいイントネーションで「私はGSX250Rを選びました。」ヨネザワのメガネです。

「私はGSX250Rを選びました。」

CMとかでタレントがよく言うやうな台詞。まあそれはいい。

「なぜ今GSX250Rなのか。」

これはちょっとすかしたやうなジャーナリストの書き出しのやうなニュアンスで頼む。

そもそもGSX250Rとはバイクである。朕のバイクだ。面倒くさいから朕のバイクは今後、夜照玉やしょうぎょくと呼ぶ。なんでだろう。なんでだろう。なんで朕は夜照玉を購入したのか。

 それはこのバイクじゃないと、ヒャクパー事故死する自信が有るからだ。ヒャクパー。

 お前等聞けぇ、静聴せい。男一匹が命を懸けて、諸君に訴えかけてるんだぞ。静かにせぃ!

「それじゃあ、聞いてくれ。」

 むかしむかし、あるところに、ある有名なバイク漫画がありました。そこには主人公のライバルがナナハンカタナに乗っていました。

 お婆さんが川で洗濯とかしている時に、こいつ等は、あろうことか、山へ攻めに行きました。なんだかんだあってカタナの奴は事故死するが、そのシーンを見て、俺は、なんでコイツが死んだか分かった。俺はカタナが吹っ飛ぶ様から何か感じた。つまり俺なら大丈夫。

 そして動画でカタナが転倒するシーンも、こいつがなんで転倒したのかが解った。つまり、俺なら大丈夫。カタナだけが解る。

 俺はカタナしか乗れないらしい。只、燃費が悪いし値上がりしてる。どうしようかな、と模索していると解っちゃったんですけど。そして、GSX250Rは素晴らしい。以上になります。

 ではなく、このGSX250Rはカタナとパーツの位置関係のバランスが全く同じなのだ。フロントのウィンカーの位置まで。名前こそ違えどカタナじゃね?

 あとスイングアームはアルミに変えるとして、これで手を打とうじゃあーないかーー。

 俺はレッドバロンに走り、三十万で夜照玉を合法的に奪取した。この購入の時点でカスタムの計画は固まっていた。なのでボロくていいのだ。多くのパーツが交換されるから。

 そして朕は、ABSを好まぬ。どんなときも、ロック寸前位別にゴムホースでも解るし、朕。メッシュホースやラジアルマウントブレーキキャリパーでなくても、解るわい!

 だだ、こやつ重い。重いのが高い所にある。重心が低くないという意味だ。タンクが鉄だし。なので曲がるとに、内側の足を出してバランスをとる。だらーんと出す。

 よもやよもや。まさか最近流行りのこの足出しを朕がすることになるとは。このムーブはバイクによりけり、なのだということが解った。もう少し上が軽かったら出さずに済むがね。

 教習所で乗ったNCナナハンはもっと振り回し易かった。まあ値段が高いバイクは重心が低く、安定して最高?

 夜照玉は、重さは大型バイク並みで、更に重心が高いので、路面の凹凸で吹っ飛びそうだった。

 これはオーバーのスイングアームを入れて感じなくなった。

 教習所で思い出したが、自販機補充のバイトをしていた頃、久々ひバイクに乗りたくなって大型バイクの免許を取りに行った。もう少し八年前か。自動車学校に知り合いがいたので壱万円安くなった。九万で済んだ。 

 知り合いは、その時送迎の運転手をしていて、送られてるときに、

「俺、プロバスケのトライアウトに今年の七月に行ったんですよ。」

て言ったら、何て言ったと思う?

「孔明さん、バスケもできるんですか。」

バスケ「も」ってなんや。何とかな?と思ったが聞けずじまいだった。

 そして、その後塾で講師のアルバイトしていたら、大学を卒業してバイトを辞める送別会で、

「俺、プロバスケのトライアウトに何年か前迄行ってた。」

と俺が言うと、

「バスケもできるんですか。」

と辞めて行く同僚に言われた。地元の、国立大学の女子でしたよ。その時は「も」が二回目だったので、

「バスケもって、何とですか?」

と聞いてみたら、バイクでしたよ。

「嗚呼そうですか、バイク。え、バイク?なんで?なんでなんで。」

ちょっと、ちょっとちょっと。白バイだったらサイレン付けて止めてるとこだったわ。このをんな。

「だって、プロフィールに趣味がバイクのサーキット走行っち書いてある。」

「嗚呼。」

って、バスケ言うなれば、朕のライテクはプロのトライアウト行くレベルです、とは書いてなかばってん荒川。そこには書いてないけん。

 確かに教習所では教官のやうに振り回していた、初めて乗る大型バイクを。

 初めての大型で全ての工程を初トライで、一発クリアだったし。そして、ブレーキングが上手いので、止まれない前提の工程を俺が止まれるもんだから、ブレーキの合図が停止ラインを越えて出されたりしたけどね。

 あとは、卒検で加速しないといけないストレートで、その手前のコーナーから、アングルを付けてスロットルを開けたりしましたー。

 あと、教わった事と言えば、余り足を付くとカッコ悪い。まぁ、これは最も大事な事だが、それだけだった。他、何のアドバイスも無し。

「隠してもわかるんだからね、全部言うよ、自分の口で言うよー。(麻取風に)」

「これが全部です。(ゲロった)」

あ、あとハンドルに色々付いていたので重くて肩が痛かったです。

「ステムがおかくしね?」

と職員に言ったが、教習車特有の装備の重さだった事に後で気付いた。

 クラッチも固いのでこっそり調整したが、あんまりやるとクラッチか滑る。強化クラッチらしいな。

 が、しかし、この女子大生たいね、俺がなんかバンクさせたりしたとこ、見たことがあったっけ。え?

 また、新たな謎がここに生まれた、とでも言うのか、あまり俺に、謎を残すな。

 

 


 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺の名前は孔明 木村 翔 @Kimurasho

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ