二十六章 オペレーションブロケード
俺は皿洗いをしていた頃に、せっかくバスケが上手くなったので、コーチかなんかして能力を還元しようと思った。
そう思い、市役所に連絡を入れた。そしたらスポーツリーダーという制度に登録する事になった。只、中々オファーが無かった。
それが最近連絡が来た。なんか最果てから。ニッチンや坂町君の地元から。俺はもう、そのコーチの登録を解除する寸前だったのにな。
派遣で、甲佐の物流倉庫で、スイーツを送りまくっている時に連絡があった。
「コーチとしてお前、三月から来ちゃえよ。」
とのこと。
「であるか。是非に及ばず。」
引き受けて、現場に行った。小学生の諸君はなんかにぎやかだ。
請われるままノーギャラで続けた。空気を読んでノーギャラにした。これは大事な事だ。野暮は最低。俺は江戸っ子だから粋な行動を常に心掛けている。
そもそも、コーチなんてそんなものだと勝手に思っていたし。そもそもそのつもりだった。
更に、俺はプロアスリートレベルなので、コーチでお金を受け取りたくない。わかんないですか?俺の気持ちが。
物流でも俺は相変わらず活躍していた。どんだけスポーツをサボっていても
やはり力仕事では俺は大将軍レベルだ。そりゃそうだろ。プロアスリートの入団テスト受けるやうなフィジカラーが本気を出したらそうなるよね。
おまけに東京六大学出身で頭も悪くないのだ。さばけるのだよ。六大学なんかゴールド聖闘士みたいなもんだ。
職場の奴等はかっぺ揃いでサボりまくり。かっぺ丸出しの恥知らず共が!まぁ、それでも仲が悪いわけでは無い。俺はマジで罵りながら仕事している。
「おい、こら。」
とか言いながら。
半年位このバイトが経過した頃、ここの倉庫が派遣の高い給料を払えなくなるそうだから、俺はそろそろチャオだ。
因みに、ここは終業時に破損分の予備を持って帰れる。俺はこれを食いまくった。
小学生の母親である同僚とかには、裏で俺の取った分を欲しいだけあげていた。流石に子どもと競って取り合いしているようなものなので、譲るでしょ。間接的には小学生と取り合いしとんねん。ね。
俺は人の思っている事を察することが得意なのでね。そうしたのさ。
また、ここは野菜の集荷時代に隣でナスの集荷をしていた兄弟とも隣同士になった。こいつ等は母親と一緒に来ている。家が俺と近所だった。こいつ等は派遣から直接雇用に切り替えて勤務継続する。
あとは、俺は直接雇用に切り替えるのに前向きだったが、派遣会社の方が紹介料をせびって実現しなかった。
同じ派遣から来てた仲間は、こっそり派遣を辞めて直接雇用になった。俺は最古参の派遣のメンバーだったので流石に裏切らず、ひとりぼっちだ。まるで関ケ原の石田三成の気分がした。孤立。
ここを後にして、次の派遣先は酪農の牛乳の積荷だ。またまた大得意な業務かい!只、体力があっても業務自体に面白みを感じている訳ではないのだ、朕は。
だから、いつか朕は他の奴らに抜かれる。それを長い間、感じながらバイトをしてきていたのだが。いよいよ、終わりかもな。
「将星堕つ。」
って奴だ。俺の、俺によるプロアスリートの体力で、請われるままに無双してきた肉体労働生活も終わりは近くなって来る。早く辞めてぇよ。そら、同じ給料でもバスケやっとった方が良いわい。
ふと、思う事がある。こうやってバイトをすると、何か問題起こした奴とか二度と復帰出来んのが普通だ。特に大企業のアルバイトは。クリーンである。結構な事だ。
しかし、逆に、プロスポーツとかは割と大らかである。 やらかして、アルバイトだと二度と復帰出来ないやうな事をやらかしても、帰って来る。芸能もだ。
これは金に目がくらんだ奴等が運営しているから、そういう現象が起こる。
俺はやらかしに対しての見解はアルバイトとか方のノリでいるのだ。だからプロアスリートだのが定期的にやらかす不祥事などの汚れを許容しない。
例えば、球団GMが不正をしたやうな球団にいたくない。綺麗好きやねん。プロにしてくれると言われてもこっちから願い下げだ。キモっ。
これをアルバイトに置き換えると結構キモい。直属のよくコミュニケーションを取っていた上司がやらかしたら、ショックだろう。中々無い事だ。
それは、プロスポーツは中々無い訳ではないのだ。俺が七、八年前に、トライアウトを受けた球団のGMが実際やらかして、ニュースになった。俺が通報した球団だ。今回も選手がリーグに通報し発覚したそうだ。俺はリーグの電話を知らなかったから上の機関に通報したけどね。
だろうな、と俺は思った。ちょっと普通じゃなかっから。
ここの牛乳の積み上げなバイトは、コーチのボランティアの校区の隣の校区にあったが、朝五時業務開始で早すぎ。
短期で辞める前提の契約で始めた。案の定大活躍した、派遣仲間に、
「こんなバカ真面目にシコシコ働いてんじゃねぇよ。頭使って悪いこと考えて金もうけろや。」
と実直そうな植木から来てるの青年を啓蒙してやった。
ここも無事辞める。去り際、所長に、
「また来なんけんね。」
と言われ、
「わかりました。」
とは答え、バイクで去った。
所長にそう嘆願されたが、俺は嘘はつかないので、ここのバイトに来なくて済む状況を模索し、競技復帰しか無いな、と思った。
プロ級に戻るためには朝五時始業は無理なので。あ、俺、競技復帰しよう。もうトライアウトに行ってから七、八年経ってる。その間全くと言っていい程スポーツをしていない。
まあコーチもしてるし、丁度いいかな。復帰したら見本を見せられるな。
丁度、失業保険の受取権を獲得出来る条件の期間働いた。なので受け取りの手続きをしに言った。
したら、なんと、受け取り説明会で、皿洗いの時の吉夫さんと鉢合わせた。ブラックなタクシー会社を辞めたのだと。とうとう。であるか。
この直ぐ側の大学には、菜妃が通っていて世間は狭い。そして、もう一人のバイトが通う高校もハローワークの隣だ。仕事の説明は聞かないで、ドリフトのやり方を熱心に聞いた奴。
もうマジで一般職はウンザリやねん。吉夫さんは家族皆で、トライアルでバイトしているそうだ。度し難いのぅ。
俺はトライアルに行ったことが無い。トライアウトには行ったことあるけど。
コーチを続け、俺は自らをもっと魔改造するために、声優のファンクラブに入り、千葉のマザー牧場のイベントに行くのだ。この秋に。
その女性声優は、ライブ配信で俺のコメントを拾った過去がある。いつだっけな、確かアスカモデルのテレキャスが出たときだった。アスカ推しの声優なので、そのことをチャットしたら拾われた。その時、何の感動も無かったのでその事を逆に覚えている。
ただ、コメントを私は読んだのだお前はファンクラブに入れ。というステルスのメッセージがそこに隠されていた、というか察した。忖度だ。そう言う無言のメッセージを無視できん。野暮は江戸っ子の恥なのだ。
イベントがあるタイミングでファンクラブに入ろうとは思っていた、嗚呼そしたらマザー牧場がぁ。
楽しみだ。
俺は多趣味な分余り金が無いので大食いチャレンジを成功させて上洛の旅費を浮かす気でいる。
地元の大食いチャレンジは一軒だけ残して全制覇している。あと少しでここは平定出来る。その一軒は有名大食いタレントしかクリアしてない。俺が一番成功に近いらしい。まあそんなものだろう。
失業保険受給期間を満了するまで働かない気でいる、ダルいから。もうそして俺は伝説のアルバイターとしての去り際を感じている。もう、負けそうだ。他の奴らに敵わなくなってきたようだ。
気持ちが無いのだ。業務に対する熱意がゼロだから負ける。俺にあるのは、人手に困っている職場に請われるから、働くだけである。
面白い仕事と思ってやっていない。ただ、スポーツマンなので、引き受けるだけ。で一生懸命やる。ただそこに能動性は無い。
能動的にやりたいわけでは無いから。これは明確に俺と他の奴らとの差として存在する。なのでもう俺は終わりだ。
そろそろ体も元に戻そうか。そして、くされプロバスケ業界にプレッシャーをかけてやろう。俺の方が上手いのに俺は汚い業界を嫌ってプロを目指すのを辞めた。その復讐だ。正々堂々俺の主張が正しいのか白黒つけようや。
秋が来て声優のイベントに参加した。これは俺は今まで四十年生きてきて初めて楽しいと思った。
芋堀りイベントだがマザー牧場の人に、
「ほとんどプロじゃん。」
と芋堀りスキルを評価された。俺は、
「肉体力経験が豊富なのでですかね。」
と言った。
マザー牧場でアンケートをやっていたので依頼に答えた。
「二十代でしょ?」
「いや、四十です。」
「見た目年齢なんで。」
と、誰が見ても二十代じゃお前、なんで私は悪くない的な響きで返された。
「声優のイベントで九州から、喜んだでしょ声優さんは?」
俺はピンと来なかった。
「俺は東京の大学出てる。」
「へぇ。じゃ首都圏慣れてるんですね。」
アンケートが終わりお礼の品の、かわいい消しゴムを貰った。嗚呼楽しかった。
戻ってから、筋トレとコーチばかりしている。中々ブランクが長いせいか、フィジカルの回復が緩やかに感じられるのだ。こんな感覚は初めてだ。
時が流れ、コーチを初めて一年と少し経ち、俺はバイクを買った初年度のGSX250Rだ、俺はABSが好きくない。と言うかフロントブレーキは雄弁なので、俺はABSなぞいらん。初年度のこれにはABSが付いていない。そしてカスタム前提である。
アルバイトを始めた。清掃会社だ。以前の所ではない、ここは誰もタトゥー入っていないし、偉い人もちゃんと体を動かし作業する!なんてこった。
ただトレーニングとバスケコーチがあるので夜勤は免除だ。
それでも朝五時だったり八時だったりが入り乱れ、トレーニングに支障を感じ始めた。逆に、そう感じられる程には漸く体が戻ってきたのか。
そしてコーチを辞めることにした。同じ理由だ。競技復帰を妨げるのだ、コーチ業は。
これは辞めるしかないかもなぁ、バイトを、清掃は生活リズムを崩すからねぇ。せんなきことや。
コーチを辞めてから別人のようにバスケをしている、メンタルが変わった。案の定だな。
やぁ現役のメンタルはコーチとは相容れないのだな。
気付くとコーチは丸二年務めていた。同じ団体に一般の参加者として今は参加している。後継者がいるのだ。そしてミニバスから大人の高さの中学の体育館で今は活動している。ここで小学生低学年の子がバスケをしている。
話は変わるが、俺が昔トライアウトを受けた時に色々あり、通報したのを覚えているか。その時、実はテレビ局が来てた。全国ネットの番組収録の為に。
その番組のパーソナリティがスキャンダルで大変になっている。俺は勿論、トライアウトでろくな目に遭っていないので、そいつの人となりは、当時から疑っていた。トライアウトの現場がヤバ過ぎたからねぇ。よく撮ったねあんなキモいの。それを綺麗事にして番組と化した茶番。すげぇよ。当然、その時の事は人に話しまくっていた。
つまり、この件は俺に良い風向きになってきている予兆なのではないかな。やっぱ悪い事は出来ないとはよく言ったものだ。
それはそれとして、俺はコーチ時代の施錠の報酬を無理矢理受け取らされたので、それを還元する為にTシャツを作った。希望者に配る。
龍が玉を持った絵がよくあるだろう。あの玉をバスケットボールに変えてデザインした。
俺はデザインとかも、かじっている。漫画の画材が一式揃っている。
このロゴで結構な枚数のTシャツ(がハケた。そのままチームを作ってそのロゴしようか?
じゃあ、チーム名は?色々考えたが、ブロケードにしようかな。錦馬超の錦から取って。錦は、英語でブロケードと言う。
当然、たった今思い付いた、机上の空論であるが。色々アイディアが浮かんでくる。
つまり蜀漢の遺志を継ぎたい。具体的には、まず、私財を蓄えない。慎ましい暮らしの中で、困っている人は助ける、以上。当たり前だ。これが人類史で初めて現れたのが三国志の蜀漢なのではないか。
俺はエンタメとしてのスポーツの為に、情報操作や価値観を植え付けて、民をたぶらかし汚い金で甲斐甲斐しく善人面でよろしくやっている既存のプロアスリートとかを、フェアプレイで倒してやる。だから錦馬超の錦を纏う。CMなんか出やがって。
このまだ形になっていないチームのユニフォームはバスケ特有の光沢のある素材にしよう。テッカテカのよく見るやつ。それは絹の錦っぽくて、チーム名にピッタリだ。そしてチャイドレスとかも光沢も似たような光沢だしな。デザインもチャイナ服モチーフかなんかにしようか。錦っぽい織物モチーフのチーム名ロゴとかな。
まあこれは、たった今受かんた構想だ。どうなることやら。名付けてオペレーションブロケード。
憎きプロバスケの豚は真逆の資本主義論理で高い報酬を得ている。これは北伐案件である。
俺がスーハスターを負かしたときに、高い報酬を受け取らずにいたら人の目も覚めることだろうよ。
かかってこいよ。逃げんなよ。こっちは毎年トライアウトの時期が来ると殺気立っていたぞ。さあ、ゲームワンはいつだ?
でもまあ。どんな形になるかは分からないね。でも。そんな先のことは分からない。どうなることやら。
所でゲバラも似たようなヒーロー性を感じられる。
赤い彗星みたいに味方のふりして、そのうちプロチームに俺は入るかもな(笑)。さあどうなることやら。
私、孔明が、粛清しようというのだ!我欲にまみれた豚に天誅を。
そう言えば、十年前に地元のプロチームの教室に参加したときシュートフォームを教わったが、すご過ぎて、暗殺拳を伝授された気分がした。
最近やっとそのフィーリングが戻ってきた。いつパーフェクトコンディションに、なるかはそれでも分からんけど。俺が一番知りたい。
まあ、最近の若い奴らにはイケメンが多いし、世の中はそっちの方向に向くのだ。綺麗事しか公には口に出来ないしな。オペレーションブロケードもオブラートに包んでな。俺は実害を受けている。ラフプレーをするやうな汚れた奴をコートに立たせたりするプロリーグを、粛清しようというのだ。誇りもない豚が我が前に立つのか。汚れプロめが。それで俺より高い給料取りやがって。
まぁ圧倒的に俺の方が上手いなら、こんな発言もそれっぽく聞こえてくるかい?
それはこれからのお楽しみさ。そんな事はあり得るのかな。
イケメンと言うのはメンタル面に言及している。
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