二十四章 プロ級アスリートが、萌落ちしてキモくなる。

 飲料メーカーを辞めて、色々アルバイトをやって過ごした。どこても俺の評価は高い。プロアスリートが肉体労働を本気でやる感じで大活躍だ。たまに閲覧注意な位の域に達する。前より凶悪化した。

 飲料メーカーバイト時代に補充に来ていたホテルの、皿洗いの募集に応募した。時給は最低賃金。そんなのどうでもいい。ここは飲料メーカーの忘年会でも来た。なので足が軽くなったのだ。 

 まあ案の定、作業は俺は何をやっても速いので支配下登録された。ムカつくのはたまにプロスポーツの球団が食いに来て俺に皿を洗わせる事だ。実力派なのだ俺は。

 そして、初めて大学生のアルバイト仲間がいたが大学生はさばけ方が違う。これにはびっくりした。頼もしいのだ。皆勉強はした方が良い。 

 勉強といえは、ここのベテランのアルバイトは伝説の馬鹿高校出身だ。 

 飲料メーカー時代の社員さんの地元にABCの次が、EFGで受かる高校の存在を教わっていた。その高校出身の奴が実在するのだというのか、ここに。

城前じょうぜんさん。高校受験ABCだったんですか?本当に。」

とその伝説の高校出身のベテランアルバイトに聞いた。

「そうだよー。」

「マジすか。」

なんて奴だ。

「城前さん、文字読めるんですか?」

「読めるよー。」

この域だと普通に答えるんかい。この先輩はアニメという共通の趣味があった。

「もうプラモの説明書が、ぎり読める知能しか無いんですか?」

「そう。ははは。」

「ですよね。それで十分ですもん。」

「そうそう。」

だそうだ。

 この城前さんは主要メンバーだ。ここはそして人が少な過ぎるので、俺は夜間の塾講師を辞めた。こっちは俺が辞めても回りそうだから、塾長に相談してそうした。

 もう、バイトの待機中はこの城前さんとアニメやプラモの話ばかりしている。 

 俺より十歳位上の吉夫よしおさんというバイトの先輩は昼はタクシー会社に勤務している。この人もまたクレイジーである。

 よく職場でアニメの話をしているが俺はジャンヌと、曜ちゃんが好きである。

 とにかく手付かずの中華弁当を俺は吉夫さんの為にキープする日常だ。

「廃校寸前の、学校をアイドル活動で人気を得て救うんですよ。」

吉夫さんに説明している。皿を洗いながら。

「へぇ。で救うと。」

「そうです。無事に人気校になります。なんとギャラを受け取ってないんですよ。」

「ノーギャラで廃校を阻止すると?」

「そうです。そこが凄い所です。」

「ギャラ一銭も受け取ってない。」

と話している。

 ずっとこの調子だ。後はバーコード頭の先輩の頭の文句を言いながら皿を洗う事も多い。

 年末になり大学生が就職で引退して、その妹が入って来た。高校三年だそうだ。名前は菜妃なひといふ。初日俺と二人で皿を流して受け付ってコンビでやった。流す方がトレーに並べてコンベアで流れながら洗われて受け手は皿を重ねて、台車に乗せる。俺は流し、菜妃が受け手だ。何メートルか離れて背を向け、作業するが、

「パリーン。」

うん?俺にプレッシャーをかける奴がいる!そんな割り方を俺はした。菜妃だ。おおー。この無双のバイターと俺にプレッシャーかい?

 俺はビビッた。こいつは何をやらせても凄い。すぐ評判になった。吉夫さんも

「菜妃が流した小皿がマシーン通しても落ちてないとた。」

と言う。びっくりした。俺は、

「あいつマジで聖女なんじゃ?」

と言った。こんな奴初めてだった。ただ勉強は嫌いだと。

 この聖女はホールのヤツからも人気があるようだ。皆逆に何考えれるかわからないやつは好きじゃないからな。そして城前さんとかにも優しい。

「菜妃が『俗物が!』っ台詞を言ったら萌える。」

城前さんは自分が好きで模型のために部屋を借りたいほどのコンテンツの台詞を引き合いに出し、マジでよくわからない発想をしている。懸念を示す。

 普通俺たちの事をキモがると思う。女子高生はこの菜妃はアニメを自分も好きなのに加え確かに優しいヤツなのだ。

 今日も職場に来る途中橋の上で菜妃に出くわした。

「どうしたん。」

「自動車学校の入学式に行ってまだ早すぎたので戻って来ました。」

「であるか。」

俺はママチャリで今通勤している。菜妃は俺と同じ自動車学校に行っている。

「昨日ゆめマート付近をさらいてなかった?制服で。」

「いえ、昨日は制服着てません。もう仮卒業だし。」

「今日は?」

「今日は自動車学校の入学式なので着てます。キテます。ハンドパワーです。」

ふうん。こいつマジで只者じゃねえ。

「ほいじゃあの。」

と言い俺は菜妃と別れた。

 暫くしてコロナウイルスが来て、菜妃はシフトに入らなくなった。急にがらんとした。

 バーコード頭の先輩は俺に辞めるなと言うが、

「俺皿を、洗うには頭が良すぎるんですよ。」

と俺は言う。

「いやいや、おらなん。」

「であるか、と、是非も無ししか返事を知ら無い。」

「あはは。」

聞いていた城前さんもウケている。俺は、

「あ、大丈夫です。俺は、龐統に、民に対する仁の顔だけは崩すなよ、と言われているので。」

と言った。

「は?」

「まぁでもこれヤバすぎて、何かバイオハザード思い出しました。このガランとしたバックヤードを見て。」

もしかしてもう俺は用済みかもな。

「そうね。それ次第でもう辞めてよか、かも。どうなることやら。」

「俺土曜日にこの少なさで嬉しくて鳥肌が立った。」

と俺は言った。何か先輩はそれを聞いて驚いたやうだった。

 暫くして、別のバイトを探した。野菜の集荷ならコロナ関係無いんじゃと思ったので、そこに電話を掛けた。

 もう電話のイントネーションからして採用って感じ。案の定採用だ。

 トマトとメロン、ナスの集荷をしている会富の施設だ。採用され、施設を案内されたが、

「多分、集荷をお願いする。」

だそうだ。

 


 

 



 

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