十六章 大学生活突入モードに変形させる

 とりあえず、下町。住むなら下町。春はあけぼの。色々あって二十一歳の春に上洛を果たすことにあいなりにき。うーん、大学で東京に上洛する事になったなぁ。南の島から上洛して来た。下町は家賃安い。例えるならば、えぇ同じメロンでも山の手のメロンとは色々と違うメロンがスーパーに並ぶ町を潜伏先に選んだ。スカした奴は好きくないのだ。

 この町では皆横一線の生活レベルである。決して突出する事は叶わぬ。そんな気がする。呪かな。これ。足立と葛飾の狭間辺りはそうやねん。横一線。下町のサッカーのオフサイドトラップやー。

 この土地に立った瞬間、この呪いにかかったわーわい。多分永遠に解けない呪い。であるか。ま、是非も無し。

 あ、イトーヨーカドーが駅の横にある。評価に値する。ここで洗濯機とか冷蔵庫は買えばいいのか。へぇ。そーゆー事でしょうが!

 早速注文した。で、包丁も何でも揃う。嗚呼素晴らしい。なんでんかんでん、ここで購入した。あ、地下は食料とかね。あっそう、ふぅーん。適当にイトーヨーカドーを出て帰る。 

 入学式の日の前日に東京にいよいよ上洛がを果たしたが、武道館なんだな入学式は。武道館から歩いて大学まで行ける。大学の真裏は靖国神社なのか、へぇー。

 富士そばがその靖国神社辺りにあったので入学式の後ここでランチを済ませた。カツ丼と盛りそばの胡麻ダレ、シルブブレ。

 馳走であった。あと先輩の富畑君にウラシラという本を購入するようにアドバイスをいただき、速攻で購入してやった。

 富畑君曰く、ウラシラは履修するのに楽な授業をまとめた聖書だ、ということだ。駄目な生徒のバイブル入学早々シルブブレ。

 所定の教室で買いに行ったら、先輩が、

「え、なんでこの本知ってるんですか?すげぇ。」

と驚かれた。入学して速攻でウラシラを買う奴は初めてらしい。俺は富畑先輩の件を説明し納得してもらった。因みに富畑君は今度で3年生だ。アジトは三軒茶屋だ。山の手か!

 ウラシラを入手後、表でサークルを物色だ。あと音楽サークルがめちゃめちゃ多かったが、自分の演奏の好みは二部モダンジャズ研究会だったのでここに入った。何か毎週土曜の夜にセッションするらしい。ふぅん。

 勧誘で外で、弾いていた先輩は二部の生徒で留年しまくって幾つか年上だった。仲間から博士と呼ばれていた。博士先輩が、セッションのコツとコードをまとめたメモをもらったが、これが、なんさま優れモノだ。

 ピアノの先生を紹介してもらって東武東上線に乗り毎週通う事にした。隔週になるかも知れない。理論も教えてもらう。もうピアノは歴は長くなるな。ベテランの域だ。こっちは学業の百倍以上真剣である。比べ物にならない。

 後は、御茶ノ水もよく行く。ミュージシャンなので。定期で行けるし。

 入学関連の行事が終わり、授業が始まった。クラス単位で受ける語学の授業で知ったが、ほぼほぼ推薦入試で入った人だらけだ。席の前も後ろも横も。沖縄から東北から色々なところから来ている。

 語学の授業は半強制的に席が近いやつと友達になっていくなぁ。

 俺の前の席の女子が、俺のギターのハードケースを見て、

「お琴ですか。」

だと言った、俺は、

「エレキギターです。」

と答えた。フェンダーのハードケースは長方形だったりする。

 次の語学の日、その女子は、

「授業が終わったら飯に行きましょう。」

と言った。俺は、であるか、と、是非も無し、の二つしか返事を知らないので、

「で、あるか。」

と快諾して、授業の神楽坂のモスバーガーに行った。なんか、行き道に大食いチャレンジのメニューのサンプルが店先にディスプレイされた店があった。ジャンボ餃子。こんなん誰が食うんかい。

 この女子は名前な柏丸かしまるさんと言う。何か高校時代弓道をやっていたそうな。俺は柏丸さんとの出会いをきっかけに女子と二人で行動する事に構えないように修正された。これまで女子と二人で遊んだ経験は無かったのです。

 友達は男子も増えたが、語学の席が近い奴等だ。付属高校の奴。それにしても、この大学に入って思うのは、全員頭が良い人だけで形成された空間は天国だ、という事だ。まず会話がスムーズだ。頭が良い人は一回の説明で済むが、そうでない人に何かを説明しなくてはならない場合訊き返されてきた人生だった。もうここから出たくねぇよ、バァーカ!

 嗚呼、朕は、職業軍師なので、このやうな口撃はノーギャラでは、ノーギャラでは(二回言います)行いません。 あとは、それ故に裏口とかのやつは秒でバレるから実質無理だ。裏口入学は。

「嗚呼馬鹿って迷惑なんだぁ。知らなかったぁ。」

これらイケない発言の意図は何だ?諸君! 

 つまり敢えて火を用いてこの発言に物議を呼び起こし、純粋な事実のみが広がる事で俺がより今までより住みやすいカンファタブルな社会に変えるための火計であるのだ。

 マジで勉強はしといたほうがいいぞ、ヤバいから。これは同級生皆そう言って今まで勉強して来た。北千住という事だ。実際、皆、

「勉強したよ。なぜならヤバいからね。」

と俺に言っていた、一人残らず。俺は今気が付いた。

 また火計を成功させる、今から。

「あ、そうか、それで俺変な大学じゃないんだぁ。ふぅん。」

 今いつものやうに千代田線で帰ってるがねぇ、片手でつり革に掴まり、もう片手に大学の図書館で借りた小説を読んでるんだけどさー。正面に座ってる人が本の裏の大学名を見てビビってる表情をされております。見た状態と表情をキープしてもう一分経過ぁー。

 俺が馬鹿に見えるから大学名に違和感があるのか?え?驚くんじゃあねえ。え、何が?分からん、分からん。何がですか?

 時が流れ後期に入ると体育の授業を受けるために都心から多摩に行く事になった。ここでまた友人が出来たが、付属の奴ばかり俺の友達になる。不真面目な所で共通点があるからだろうな。見事に最低な学生だ。しかし、試験は俺は余裕が皆よりあるみたいだ。やはり一般入試の奴はマージンがあるらしい。付属の民はヒィヒィ言って試験をパスしている。

 俺は子供の頃から人並みにしか勉強してないが、こいつ等、皆バリバリ勉強して来ていたそうだ。なので首都圏出身でも、あまり地元の知識が無く俺と変わらない。それ位勉強だけをして来たということだ。

 先日マイキーの大学に行き、マイキーから自転車を貰った。彼はもう卒業して地元に帰るから。

 マイキーの大学の奴らとウチの生徒は面構えが鬼ほど違って面白かった。これは直後にマイキーの、大学から自分の大学に戻った結果である。

 嗚呼これに気付けないのかいあんた達はっ!とマイキーを含めマイキーの大学の生徒に言いたい。ウチの生徒もがっつり指摘するやつは少ないかもな。

 ああ、それで現役の時に推薦入試の面接の先生の眼が語っていたものはこれだったのか。俺はこっち側だったのだ、その時既に。

 面白いものを見たら人に共有しようとするのは文學界の常であります。俺はマイキーの九流大学とウチの大学の生徒の面構えの差フゥーっ!!をふかしまくった。

「面構えが一人残らず違うねん。半分常に口が空いてる奴とかおらんやんここ。」

頑張って大学に入ったんだね、みたいな奴とかおった。

 俺は所で口撃力が高いかい?でも俺はマイキーの大学の奴等に思ったのは、優しくしよう、だけだ。

 そう言えば、マイキーから聞くキャンパスライフより、俺達の方が落ち着きがあるとは実感する。色々違うのだな。 

 大学一年の後期に、二年から始まるゼミを決定する。人気のゼミは選抜試験がある。俺と俺の全ての学部の友達は、

「源氏物語とかにマジで興味あると言っちゃってる奴とか頭おかしい。」

俺は常に仲間にそう言っている。口を開けばこうだ。そう、我々は最低の学生なのだ。クズ。この大学で史上最低かも知れん。誇らしい。

 ゼミでそうなっちゃうのは無理無理無理。どういう事?つまり興味も無い源氏物語なんかを専攻したら俺の人生終わる。平家物語も無理無理。興味ナシヲちゃん。死にそう。

 なので皆文芸コースを目指した。楽そう。人気のゼミで、故に定員オーバーになり、選抜試験があるのはこの文芸コースだけである。

 文芸コースとは。これは自分で小説を書いたらいいだけの夢のコースなのだ。興味もない平家物語とかを俺に研究させるですか?させるとでも言うんですか、あんた達は!そんなひどい事が出来るんですね、人間て残酷な生き物だ。

 「授業」、「試験勉強」、「試験」。この最低な三拍子を奏でるとでも言うのか。こんなくだらないワルツを永遠に繰り返すのですか。人間は悲しい生き物である。

 平家物語も俺のようなパンク野郎には研究されたら迷惑だろう。研究して貰わないで結構でごさいますってか。

 ね、俺の友達が付属の奴らばかりなのが解るでしょ。付属高校上りに俺が一人だけ混じってる。付属高校上りは俺の理解者である。

 小説作成の試験を皆で受けた。さぁどうなることやら。聞くと結構受けてる奴は多かった。話しかけたクラスの女子は皆受けていた感じ。

 結果、柏丸さんも含め皆文芸コースの切符を手にした。大勢落ちた。

 俺は優秀だったから文芸コースに行ったのではない。多分かわいそうな奴だったとか?

 一つ言えるのは、源氏物語とかを研究するのが苦痛だという気持ちが本物だっただけだ。

 あとはメンタルがふざけたヤツのほうが小説は面白いのかも知れん。あぁそれで、俺の仲間が一人残らず文芸コースに行ったのか。嗚呼 それでだ。真実はいつも一つ。

 

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