十五章 変な所(大学)に落ちたのに新年度の模試で一流大学がC判定。俺は悪くない。なんだそれ

 二十歳になり、その年の秋が来てもどうも何の意欲もわかない。嗚呼困ったものだ。来年の四月大学に行くなら今年補欠になった所でいいので、今から勉強してもオーバーキルしちゃうよ。

 だから今はまだ勉強しない。補欠って多分一点やそこら足りんだけだろ。一点分だけ学力を上げればいいんか。そのために一年中勉強しても無駄無駄無駄無駄。オーバーキル?意味なきオーバーキルは好きくない感じぃ?

 俺、そこの大学に行ければいいしぃー。一年中勉強したら流石にもっと偏差値高いとこも余裕になってしまう、という無駄が生じてしまう。イケないね。

 足りなかった一点、プラスマージンくらい学力を上げて行けばいいでしょうが。まだ秋でしょうが!ギリギリでいつも生きていたいから。

 秋の初めの九月だよ、今。まあせいぜい師走辺りからやれば着地点がそこに来るな。何、俺は気ままにギターでも弾いているさ。高校の頃の同級生や中学の頃の同級生とはコンスタントに遊んでいる。今日も何か金峰山に行って帰る。

「あ、もしもし、今から出るけん、」

俺は笹木君に電話を掛けた。

「御意。」

笹木君が答える。笹木君は福岡の五流私立大学に俺と去年同じ予備校に通って入学して今一年だ。今、帰ってこっちに帰って来ている。

 後はしゅんちゃんだ、彼は何かパソコンが何かの専門学校に今行っている。二年目か。俺の高校で大学に行かないのは珍しい。

「あ、もしもし朕ですけど、今から行くよ来るよ。先に笹木さんを乗せて行くので。うん一時間後位に。」

「御意。」

 俺は赤か車に乗って健軍?かその先の笹木邸を目指す。嗚呼ブラック珈琲がないと駄目だ。冷たいヤツ。家から側のスパーとなむいひけるコンビニに寄らむとせむ。 

 俺は高校の頃にアイスのブラック珈琲の良さに気付いていたら、先生と対等だったろう。対等な関係を気築けていた。珈琲とは、そのやうなイケない飲料である。

 さ、珈琲を入手したし二人を拾うか。車でバイパスを走る。音楽をかけるが、最近はもう洋楽一辺倒に近い。クラプトンとかツェッペリンとかジェフベック、コーン、レイジ、そしてフュージョンも。フォーブレイ、ロベンフォード。ギター教室の先生に訊いてお勧めのアルバムを教えてもらい、CDを買う。邦楽はあまりもう聴かなくなった。これは普通の流れかも知れん。

 笹木邸に着き、拾う。

「俊ちゃん、今笹木君拾ったけん、今から向かう。」

「御意。」

俊ちゃんの家は帯山という所だ。ここから更にバイパスを、東にサクッと行けばいいだけ。

 俊ちゃんは家が入り組んだ所にあるので広い道まで出て来る、いつもの事だ。

「チャオー。」

「こんなちゅわ。」

「こんなちゅわ?何それ。」

「俺専用の挨拶になります。え、馬鹿にするんでちか?」

「であるか。」

「まあ、行こうか。俺のこんなちゅわ、パクるなよ。」

「大丈夫でした。」

「ま、金峰山行こうか。」

気を取り直し東の、帯山から西の金峰山に向かう。俊ちゃんが来たので多分音楽が洋楽からモーニング娘。に変わるかもしれん。車内の音楽が。詮無きことなのです。

 所で、俺が家を出たのが十時位だ。で、今十二時前。飯だ。

「飯はジョイフルにするぅ?」

俺が訊く。

「あ、ほっかほっか亭の海鮮のかき揚げ丼一択でしょうが。」

「そうなるよね。」

「あはは。わざとらしい、CMか!そうなるよねってならないよね。狂うぞ、あんまりそれやると。」

「え?何で。」

「いやいや、解るでしょ。」

「参考になります。」

「ま、じゃあ、ほか弁ね。」

あ、じゃ新土河原のほか弁かな。ここから俺の地元に舞い戻るが如くバイパスを西に行き、更に西にデカい山があり、それが金峰山だ。新土河原はまだ俺の家に近い。

 俺達は弁当を買い、金峰山の登山口の駐車場を目指す。そこで弁当を食べむとせむ。

 ぐねぐねと海岸の道路を走る。この辺りの地名は知らん。金峰山の近くの道。この道は結婚長くて、ぐねぐねとしている。で謎の川を曲がって、そして、いつも帰りに寄る売店を過ぎ、山っぽくなりけり。そして駐車場に着いた。

 さっそく海鮮かき揚げ丼のデカいタレをかける。パクパク。

「大変おいしゅうございます。」

「であるか。今日はやけにぶっ込んでくるじゃあねぇか。」

確かに美味しい。

「あ、車で山頂まで行く?」

俺が訊く、

「そうね。」

俊ちゃんが言う。笹木君も、

「それで。登山はぁ好きくない。」

だ。

「分かった。」

ここから五分位で山頂の駐車場に着く。

 食べ終わり、山頂に赤か車向かう。ワインディングロード。今、モーニング娘。が車内に流れている。結構な事だ。因みに山頂の駐車場は未舗装の砂利だ。

 てっぺんの駐車場に着いた。山頂は寺がある、売店も。さっさと珈琲を補充しないとイケない。俺は燃費が悪いのだ。

 とりあえず、2階建てのコンクリの展望台に登る。ここにカップルの南京錠がある。沢山。

「・・・・。」

俺は自分がこのやうな事をする奴よりは頭が良いのだけは解る。俺がデートで見たいのはここの夜景より夜景を見るバカップルの群れ。盛り上がる。

「なぜ、それが分からん、地球がもたん時が来ているのだ。」

そして、俺りうのカップルの会話はこうだ。夜景を、すごい密度して見るカップルたち。アブラムシか!こら!それを指差し、朕の台詞、

「ご覧ハニー。マイスイートエンジェル。人がゴミのやうだ。月が綺麗ですね的な意味です。」

「そうねあなた。」

だ!!

 まあいい。俺の友達にはこのやうな不心得者は一人も居ないはず。士道不覚悟だな。俺はバイオのゾンビに噛まれてもかうはならぬ。

 適当に展望台を降りさらく。寺もあれば、望遠鏡もあり、観光地ならではの説明書きも、あったり。

 ここからは遠いが、宮本武蔵のゆかりの場所もある。少年自然の家もある。

 あとは登頂の記録が見れるが一位の人は三日に二回ほど登るそうな。

 一時間程度して帰る事にした。

「あの売店寄る?」

俺が訊いた。俊ちゃんが、

「あの売店?あはは。」

笹木君、

「寄るでしょ、絶対。」

「命令ならそうする。」

売店に寄り俺はアイスシルブブレ。アイスを買った。二人も何か買ってる。必ず寄るな、この売店。いつもいつも。また風情のある景色の河内を通り、海沿いをぐねぐねして二人を届ける。

「ほいじゃあの。」

俺は言った、

「じゃあねぇ。」

まずは俊ちゃんを送った。

「ばいちゃ。」

「さょなら、さよなら、さよなら。」

そして笹木君を送った。こんな日常だ。最近は。

 そして歳月が、結構過ぎ、春になった。俺は狙っている大学を二年の連続で補欠合格してどちらも落ちた。一回目で補欠だったので、二年目に少し学力を受験三ヶ月前に上乗せして、確実にそれは達成させた。でうけたら。なんか偏差値上の方の学部に補欠になって。

 去年補欠のフランス文学科は落ちていた。何かがらっと問題が変わるのはいいが、じゃあ難易度高めの英文学科補欠になるん?

「何だそれ。」

 成績が良すぎて、代ゼミの特待生になって金が浮いた。俺は計画通りに成績を上げた証拠に最高峰の私立がC判定だ。フィフティフィフティね。 

 こんなの見たことない。この模試の結果からして着実にマージンを作って受験したのに疑いがない。この3月に。

「おかしいって。」

これなら、難関私立に進学してまうわ。俺の意に反してな。

 相変わらず、ギターは弾くが、勉強をしっかりしている。もう今年で二十一歳になるから。落ちたらヤバい。真面目に勉強しようと初めて思えてきた。

 夏が過ぎ秋が過ぎ受験が近付く。センターを受けるこたにした。

 あ、センターの会場は地元の国立大学か。

「By bus.」

サクッと受けてきた。

 これで後々願書を出せる所はぁー、えー。やはりー、 

「ん。」

何か難関のとこがあと一点足りてない。笹木君君が行きたがっていた、そして富畑君が進学して行った「ほうせい」大学が。まぁこんなものか。

 暫く経った。今一般入試を受けるために上洛している。恐ろしいことに去年まで二回連続で補欠で落ちて、現役の時に推薦で俺だけ落ちたあの大学は願書が間に合わなかった。うっかりミスだ。どんだけなん?受ける気満々だったわ。

 ということで、「ほうせい」大学だけ受験する事になってしまった。ちょっと落ちるともう年齢が年齢なのでヤバい。今、ホテルで真面目に勉強している。品プリでね。近くの本屋でレニークラヴィッツのベストを買って来た。経営学部は落ちて、今、法学部の受験を終えて残すは文学部日本文学科だ。フードコートでソースカツ丼を食っている。勝つとカツ丼を掛けてはいない。今真面目に正念場なのでこんなふざけている場合では全然無いよ。

 テレビは視ないが音楽は聴く。テレビは見ないようにジョンレノンのパネルポスターを置いて画面に立てかけた。

 日が明けて、日本文学科の試験の日だ。サクッと電車に乗り、受験した。漢文の問題は仮定を聞くてきていた。

 受験が終わって法学部の結果がボアソナードタワーの横に出ていたが、合格していた。それよりも、俺の番号の前後十人位ごっそり落ちていることにビビッた。

 確かに、自分が見えていない奴らは恥ずかしいものだな。

 もう済んだので明日帰る。まぁ日本文学科な落ちても法学部があるじゃない、という事で、張っていた気が緩んだせいで品川駅で降りるときに財布がポケットから落ちて、人に教えてもらった。

 ふ、四月から大学生活かよ。

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