第4話 続 遠い国の返事 中 岩さかな
ぷかぷかと漂って居ると突然妙なものを見かけました。
「あれって、岩が泳いで居る??」
「古くなった木が流れているんじゃないの?」
「違う!尾ひれがあって、やっぱり岩が泳いで居るのよ。」
「ボトルさん、少し近づいてみて。」
ボトルさんはおそるおそるその岩のようなものに近づきました。
魚です!!
「おや、君たちはメールボトルだな。」
岩魚さんの方から話しかけてきました。
「はい、そうです、あなたは?岩?石?」
「私はシーラカンスと言うれっきとした魚だよ、千年も生きていて地球上の海で知らないことは何一つ無い。
いったい君たちはどこへ行きたいのかな?」(注:シーラカンスは本当は百年ぐらいの寿命です)
「私たちはメールボトル19と言います。」
手紙さんがそう言って起こった出来事をかいつまんで話しました。
「・・・だから本当は私たちは南西に向かいたいのです。デンパサールの浜辺のコテージに帰りたいのです。はぐれてしまったニャーモさんの処に帰りたいのです。」
「よく分かった。では私が連れて行ってあげよう。その紐を私の鱗に引っかけて。と言っても君たちにはできないな。よし私がやろう。」
シーラカンスさんは何度か紐をこするように触りました、。数回失敗したあと見事に紐はシーラカンスさんの鱗にはさまりました。
「よし、これで私が泳ぐので君たちはただ流れていれば良い。」
メールボトル19は声を合わせてありがとうと何度も言いました。遠い旅に出る決心をしましたが、幸運なことにこんなに親切な『岩シーラカンス』さんに出会えたのです。
「シーラカンスさんは千年も生きている間に体が岩みたいになったのですか?」
シーラカンスさんは笑って言いました。
「いや、生まれた時からこんな姿。だから人間達は私たちを『生きた化石』と呼んでいる。」 「そうなのですね。それでいつもはどの辺りの海域を泳いでいるのですか?」
「世界中。どこでも。今日はこの辺りで泳いで居て良かった。君たちの役に立てたのだからね。
それにしても・・・・私は長い年月の間にたくさんのメールボトルと出会った。こんにちはと声をかけてみるのだが、今までに返事をしたメールボトルは無かった。君たちみたいに話ができるメールボトルは初めてでちょっと驚いたよ。」
「私たちも不思議なのですが・・・・・どのお魚さんともお話ができます。」
「そうなのか。で、メールボトル19の19はなんだね?」
「前に私たちを助けてくれたマッコウクジラのPHR07さんがつけてくれた名前です。」
「おおお、君たちはあのくじらと知り合いなのか?PHR07は非常に優れたくじらだ。頭も良いし体格も良い、心根も優しくそして勇敢だ。数年前に奥さんをもらって可愛い子供もできた。奥さんもPHR07に助けられたのだ。
くじら仲間はみなその事を知っている。今にPHR07は北大西洋と北太平洋の王者になるだろう。君たちは良いくじらに出会ったものだ。」
メールボトル19は大好きなPHR07さんの事を褒めてもらって、とても嬉しくなりました。このシーラカンスさんは、本当に海のことは何でも知っているのだなと思いました。
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