第11話 陶芸教室

 コ口ナ騒動から始まり、入院、病気の宣告など、怒涛の日々から三週間が過ぎていた。


 真奈美の気胸の穴もやっと塞がり、体調が戻ってきていた。真奈美はあれから何もなかったかのように振る舞っている。一見すると以前と何も変わらない日常生活だった。でも、もう以前とは違うんだ。色んなことが致命的に変わってしまった。


 一ヵ月間お休みにしていた陶芸教室は、今日から再開を予定している。コ口ナで入院した時に、陶芸教室の生徒さん達には一ヵ月間自粛休みにすると連絡していた。


 体調がだいぶ回復してきたとはいえ、まだ完全ではない。しかも、難治性の病気なので完治はないし、この先進行していくしかないのだ。


 真奈美は退院してからも寝ている間は酸素療法で酸素ボンベを取り付けているし、外出するときも呼吸が苦しくなってしまった時の為に、酸素を持ち歩いている。そういう姿を見るたびに、真奈美が病気になってしまったことを自覚させられた。


 このような状態でこれまで通りの教室運営をやっていくのは難しいのでないだろうか。

現在設定されているクラスは全部で6クラス。

大人の部4クラスと子どもの部2クラス。

月、水、土曜の午前・午後で運営していた。


「今日から教室再開だけど、本当に大丈夫なの?」

「うん。体調はだいぶ良くなってるし。もう普段通りできそうだよ」

「でも、今日は乗り切れても、週に三回も丸一日、これからずっと続けていくとなると……」


 オレは、真奈美がどれぐらい辛いのかは実際にはわからない。はたから見ながら推し量るしかない。もちろん、今日だって手伝いに入るし、可能な限り支えたいと思っている。


「楓、心配してくれてありがとう。でも、大丈夫だから。私、この仕事が好きなんだ。これからも続けたいと思ってるよ」

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