第20話 得意不得意

 この障害があったので、小学校と中学校はオレにとってまさに暗黒時代だった。自分に自信が持てなくて、劣等感の塊になっていた。


 学校って場所は、融通が利かないのだ。みんな同じようにできないと許してもらえない。

だから、オレみたいに苦手と得意がはっきりしている人間にとっては、居心地が悪いったらないのだ。


 できたところは当たり前と思われてあまり注目してくれないのに、できない所は重箱の隅をつつくように注目してきて、努力が足らないからとできるまでやらせようとするから。


 オレはどんなに頑張っても、普通に読み書きできるレベルにはなれなかった。オレにとっては普通に読み書きすることは、教科書を丸暗記するよりも難しいことだったんだ。


 そのように、読み書きは絶望的だったけれど、得意なものもあった。


 耳から聞いたものの暗記は得意で、一度聞いただけで覚えられることも多かった。

 絵も得意で、コンクールで何度か賞をもらったこともある。

 それにスポーツも得意で小中学生の時はサッカーをやっていてキャプテンも務めた。


 できない部分ばかり見られて劣等感も強かったけれど、こんなふうに、得意なことを見つけて認めてもらえたから、自信が取り戻せたのだと思う。


 本当は、苦手なことはできる人に助けてもらえばいいし、得意なことを伸ばして、さらに磨いていけばいい。それぞれが得意なことをやって、みんなで助け合えればいいのに。


 そんな簡単なこと、勉強が全然ダメなオレですらわかるのに、頭のいい学校の先生はわからないのかな。

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