【021】林の隙間から暖かい夕陽が差し込み、二人を赤く照らす
「いいね、そういう気持ち。大事にしてればきっと、大丈夫だと思う!」
ニコッと笑い、返事をするショウ。
「はい。……ショウさん、今日は、偶然だったと思いますが、私をお仕事に誘ってくださり、ありがとうございました」
「ん?別にそんな。お礼を言われるようなことじゃないと思うけど」
「……いえ。最近私、一人でちょっと思い詰めていて。お仕事もうまく行かなかったり、ぐるぐる考えてばかりいたので、ショウさんとお話をしているうちに、大切なことを思い出せました」
「なるほどね。なら、どう致しまして!」ショウは、腕をわざとらしく組む。
「……あははっ」サッキーは、フフっと吹き出しながら笑う。
林の隙間から暖かい夕陽が差し込み、二人を赤く照らす。
「さて、そろそろ戻ろう。帰りが遅いと家族が心配する」
「……あっ、すみません。つい時間を忘れて話し込んでしまいました」
サッキーとショウは、元来た獣道に戻り秘密の花園を後にした。
ガサガサと急足で遊歩道に戻り、公園の外へ。
地下鉄駅に到着する頃には、すっかり日が落ちてしまい、街灯がつき始めていた。
地下鉄の階段を下り、ホームに出ると。登り方向の電車が近づくことを知らせるチャイムが鳴る。
サッキーは、登り電車の乗り口に近づく。
「……私の家、こっちなんですけど、ショウさんは?」
「俺の家は、逆。それじゃ、ここで解散かな?」
「……そうなんですか。ではここでお別れですね。」
ギィーーー……
男性駅員のアナウンスが流れて、電車が入ってきた。
「サッキー、今日は、一緒に仕事できて楽しかった!」
「……私もです」
サッキーは、電車に乗るとクルッと向きを変え、ショウに手を小さく振っていた……
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